今回のお話は仲良くしてもらってるお友達とのお庭(ピグライフ)での会話がきっかけで書いたお話です
色々話しているときに『紀子ママの話とかは書かないの』って訊かれて、『無理』って答えました
Every Day I Love You のときにもチラッと書きましたが、私は紀子ママが直樹にしたことがどうしても許せません
(もちろんそれを止められなかった重樹に対しても思うところはあります)
紀子ママは嫌いではないし、台湾版のママは大好きです だからこそ、どうしてあんなことをしたのか解りません
原作では女の子とバレた時に周囲の態度が変わって人間不信になったと説明されていたと思いますが、今回重樹の台詞に入れたように、私は直樹を一番傷つけたのは最愛の母親からの拒絶だと思っています。
幼少期の子どもはとにかく存在全部をまるごと愛してあげなくてはいけないのに、女の子として育てられたら『男の子の僕はいらないんだ』って思うはずです ひねくれても仕方ないです 直樹が可哀想です
『じゃあ、許す為の話を書くとか』と言われて、その場は『う~ん』と渋い返事をしたんですけど、その言葉がすごく引っかかって、許す為の話...どんな理由があったら許せるか...って考えました
男の子ではなく女の子でなければならない理由を考えたときに、すぐに思い浮かんだのが血友病でした。
血友病は白血病と並んで昔はよくドラマや小説に出てくる病名で、男の子だけに遺伝する病気だと思っていたんです。
実際は、血友病の原因となる遺伝子はX染色体上にあり、伴性劣性遺伝という遺伝の仕方をします。女の子はX染色体を2つ持っているから、もし一方に問題があってもその機能をもう一方の染色体が補完するので発症しません。
この場合、自分は発症しなくても保因者となるので、血友病の子どもを生む可能性は残されます。
男の子だけに遺伝すると誤解されたのはこのためだと思われます。逆に言えば、両親共に血友病の場合は男女共に必ず血友病になりますし、父親が血友病で母親が保因者の場合は4分の1ずつの確率で血友病の男女が誕生します。
(詳しくはこちらhttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A1%80%E5%8F%8B%E7%97%85 )
それで、紀子が直樹を血友病から守る為に女の子にしようとしたのなら、理解できるかもと考えたわけです
そこまで思い詰めるほど血友病を恐れるのは好きな人を血友病で亡くしたから紀子自身にも血友病の子どもを産む可能性が亡くなったのはいとこ幼馴染であり初恋の人でもある生まれてきた直樹が彼を思い出させるから余計に恐怖を感じる直樹に似ていて名前も似ている(またまた安易)直くん完成
お友達と話をした翌日には、紀子と直くんの悲恋をベースにしたお話を書くことを決めていました
お話を書き始めるにあたってタイトル曲を『The Rose』 に決定 タイトルに合わせて薔薇を登場させなきゃなと思い、初恋のピュアな感じと血友病の止まらない血の赤とも対比するイメージの白薔薇を取り入れることに
花言葉を調べると「あなたを尊敬します」「私はあなたにふさわしい」「純潔」という意味がありました
「私はあなたにふさわしい」は、お話の中にわかりやすく出てきましたが...
直くんとのんちゃんの初恋は触れるだけのキスで終わった純愛なので、白薔薇の「純潔」という意味を表したつもりです。
最後の直樹の独白にある『あの人に手向ける白薔薇』にも、命懸けの愛を貫いた「あなたを尊敬します」という意味と、父親が亡くなっている方は父の日に白薔薇を供えるので、父親じゃないけど直くんのあの言葉がなかったら紀子は結婚し子どもを産む決心はつかなかったはずだし、自分は生まれてなかったということで直樹の感謝の意味もこめました。
そうだったんだって皆さんの声が聞こえる気が... 書かなきゃ絶対わかりませんよね
白薔薇を使おうと思った時に、すぐに洋風の東屋の周りに薔薇が咲いている情景が浮かんだので、二人のお気に入りの場所にしました 『薔薇の季節』が巡ることで時間経過も表現しやすく、大事な場面のキーポイントにも、ずっと同じ空気感で統一するための小道具にもなったと自分では思っているので、白薔薇を取り入れてよかったです
ネタバレになるので言えませんでしたが、人が亡くなるお話は辛くて読めない方もいらっしゃると思ったので、それとなくわかるように最初から直くんは優しくて儚げな感じを意識して書きました。幸福の王子に似ていると書いたのもそうです
情景描写もいつもより多めに入れて、セピア色の切ない想い出って感じが出るように書いたつもりです
わざと直くん目線の一人称では書きませんでした。一切心情描写もしていません。
どんな敵役(例えば神崎玲子)でもオリキャラには自分の気持ちを語らせてきたのに、今回それをしなかったのは、血友病だとわかっているからかどこか控えめで、紀子に対する気持ちを抑えている直くんを表現したかったからです
正直、心情描写せずにどこまで直くんという人となりが伝わるか不安だったのですが、皆さんが直くんの優しさとか紀子への想いをわかってくださって、できることなら二人をずっとこのまま一緒にって言ってもらえて凄く嬉しかったです
あと、一人称で書くとそのキャラの気持ちになっちゃうので、死なせることがわかってるキャラにあんまり入り込むと自分が辛くなっちゃうって思ったのもあります。結局、直くんとのんちゃんが可哀想で辛くて泣きながら書いてましたが...
悩んだのがいつ直樹に重樹が話すかってとこです 結婚が決まってからの方が自然な気もしたのですが、それだと直樹は殺人的スケジュールに陥ってるし、結婚後だとあの紀子の披露宴での暴露があるので説得力がまるでないし
直樹が家族の前でプロポーズした後で、北英社の融資が決まって一息ついたタイミングにしました
押しが強い紀子になったのは、悲観的で受け身だったことが直樹を傷つける結果になり、どうにかできることは自分で何とかしようする積極性に変化したということで誤魔化しましたが、どう考えてもこのお話の紀子だったら、披露宴で直樹の隠したい過去を暴露したりしない気がします。パラレルな紀子だと思っていただければ
前回のあとがきで今までのお話と違った雰囲気になると予告しましたが、イリコトの話じゃない上に琴子が出てきたのは最終回のみというお話だったので、読者の皆さまに読んでもらえるか非常に心配だったのですが、アクセス数も前作より多かったくらいだし、素敵な話だったとか感動したとか言っていただけたのでスゴクすごくうれしかったです
途中辛い展開が続いたのに、最後までお付き合いいただき本当にありがとうございました
コメしづらいお話だったのにコメントをくださった皆さま、本当に感謝してます ペタもとっても嬉しかったです
ネタバレになるので詳しくは言えませんがアメンバー限定(大人な話じゃありません)で短編を書いてから、新連載に突入したいと思います。シリアスじゃない切ない系のつもりです 待ってて下さいね
P.S.アメンバー申請したのに承認されないという方...年齢確認のメッセを入れてます。返信をお願いします