Shape Of My Heart vol.16 | φ ~ぴろりおのブログ~

φ ~ぴろりおのブログ~

イタズラなKiss&惡作劇之吻の二次小説を書いています。楽しんでいただけると、うれしいです♪ 

何となくイラつく気分を静めようと、コーヒーを淹れるためにキッチンに向かった。風呂上がりの琴子と階段で出くわす。

一瞬驚いた顔をして気まずそうに目を逸らす琴子に、自分だって顔を合わせたくないと思っていたのに憤りを感じる。

「今日、海までドライブしたんだって。」

「えっ...」

「デートだったんだろ。」

「そんなんじゃ...」

「別に隠さなくていいだろ。」

「隠してなんか...」

「思ったより早かったな。」

「な、なにが...」

「...オトコ見つけるの。」

「ちがっ...」

「まぁ、早くオトコ見つけろって言ったの俺だし..

 安心したよ。ずっと落ち込んでられてもな...同じ家に暮らしてたらイヤでも目に入るし...

 お前、痩せただろ。デートでうまい飯でも食わせてもらってたら、すぐ元通りになるよ。よかったじゃん。」

「...」

バタバタバタッ...琴子が目に涙を溜めて、階段を駆け上がって行った。

『思ったより早かったな。』 『オトコ見つけるの。』

なんで泣くんだよ...本当のことだろ...俺のことが好きだって、あんなに言ってたのに...

『安心したよ。ずっと落ち込んでられてもな...同じ家に暮らしてたらイヤでも目に入るし...』

...言い過ぎた...泣いて当たり前だ...なんで、俺...


『思ったより早かったな。』 『オトコ見つけるの。』

そんなんじゃないのに...どうしてそんな意地悪を言うの?

『安心したよ。ずっと落ち込んでられてもな...同じ家に暮らしてたらイヤでも目に入るし...』

そんな風に思っていたの?...目の前で落ち込む私が鬱陶しかったの?

入江くん...もう、わかったよ...入江くんは、はやく私が誰かと付き合えば安心できるんだよね。

私が落ち込んでるとイヤでも気になるから、はやく安心して心置きなく沙穂子さんと幸せになりたいんだよね。



「真田くん、いまからテニス部出るの?」

「ああ。そうだけど。」

「チロル持ってる?何だか甘いものが食べたい気分なんだ。」

「もちろん。手出して。ほら。」

「ふふっ。今日は三色アイスなの?いちごとココアはわかるけど醤油ミルクって...食べてみよう。」

「はははっ。結局食べるのかよ。」

「へへっ。ホワイトチョコの中に、マシュマロが入ってて、みたらしの味がする。うん、おいしいよ。」

「ならよかった。相原も今から出るのか?体調は?」

「体調はもう大丈夫。今日は友達と約束してて。」

「そっか。じゃあ、また明日な。」

「待って...あのね...遊園地行きたいなと思って。」

「えっ?ほんとに??」

「うん。連れてってくれる?」

「もちろん。どこか行ってみたい遊園地ある?」

「あんまり行ったことないから、わからないんだぁ。」

「わかった。ちょっといくつかピックアップしてから相談する。電話しても大丈夫か?」

「うん。」

「じゃあ、電話するから。」


「「えーっ。いつの間にそんなことに。」」

「しかし、真田くんっていい人だね。A組だったんでしょ?」

「うん。そうなの。でも、全然偉ぶってなくて、やさしくて、思いやりがあって...」

「冷たい入江くんより断然そっちの方がいいじゃん。遊園地に行くってことは、付き合うってこと?」

「まだわかんないけど...ちゃんと考えるつもり。」

「よかったよーっ、琴子。あんたが前向きになってくれて。」

「いままで辛かった分、今度は幸せな恋をしなよ。」

「...うん...そうだね。」


トゥルルル トゥルルル

「はい。入江です。」

『あっ、入江。俺、真田。悪いけど相原と代わってくれるか。携帯にかけても繋がらないんだよ。』

「わかった。待って。」

真田からの電話に軽く動揺している自分に戸惑いつつ、子機を持ったまま琴子のいるキッチンへ。

「おい。電話だぞ。真田から。」

「真田くんから?ありがとう...もしもし。」

...なんだよ。テレくさそうな顔して...そんな顔お前には似合わないんだよ。

「うん。ごめんね。携帯、バッグに入れっぱなしだった。」

...携帯でいつも連絡取ってたのか...いつから...

「うん。行ったことない。」

...どこ行くんだよ?

「絶叫系?得意かどうか?わかんない。」

...絶叫系...遊園地か...

「うん。スカッとするの?ほんとに?乗りたいな。」

...そんなのに乗ったら、お前なんて泣くのがオチだろ。

「うん。土曜日?大丈夫だよ。」

...土曜日...俺は、サンプルチェックのために出社だ。

「朝早くても大丈夫。起きられるよ。」

...ほんとに起きられるのかよ...朝寝坊のお前が...そんなに楽しみなのか。

「わかった。うん。じゃあね。」

...真田と親しげに話す琴子...

「うん。おやすみ。」

...やさしく笑って言う琴子...


俺のことだけ見てた琴子が、他のオトコとデートの約束をしてる。

目の前で見てるのに...まだ、信じられない...俺は、信じたくないのかもしれない。


~To be continued~