料理人の仕事は、人の幸せをデザインする仕事です。

 

お客様が望んでいるもの、またはそれ以上のものを提供できたとき、

自分自身も「この仕事をしていて良かった」と心から感じられる。

 

ギブすることによって、自分にも幸せが返ってくる。

そんな世界です。

 

お客様が望んでいるもの、つまり“欲求”には2つの種類があります。

顕在意識の欲求と、潜在意識の欲求です。

 

顕在意識の欲求とは、簡単に言うと顧客ニーズ。

ゲストが言葉に出すそのものです。

「あれ食べたい」

「こんなワインがいい」

「少し寒いから温度を上げてほしい」……。

 

そして、難しいのが潜在意識の欲求。

ビジネス的には“顧客インサイト”とも呼ばれます。

言葉に出さない、ゲスト自身もまだ気づいていない、

深層心理の中にある欲求のことです。

 

たとえば

なぜ高額のワインを頼むのか?

単純においしいワインを飲みたいからなのか。

それとも、その場の優越感を味わいたいからなのか。

もしかしたら、インサイトは「モテたいから」なのかもしれません。

 

物質的に満たすだけなら、顧客ニーズを満たせばいい。

しかし、喜びや感動といった“心の満足”を生み出すには、

インサイトを満たす必要があります。

 

少しでも喜びや感動を増やしたいのなら、

目に見えない深い部分まで見る力。

言葉にならない声を聞く力。

それを、常に鍛えていくことが大切です。

つまり

日常から深く思考する癖をつけることです。

 

もう少しお話しすると、

「自然食レストランって、すぐに閉店してしまう」

そんな印象があります。

おそらく「オシャレ」「オーガニック」「ヘルシー」

といったニーズがあると判断して出店されているのでしょう。

女性にはいかにも響きそうなワードです。

 

確かに、Instagramに女性が投稿する食事は、

カツ丼でも、家系ラーメンでもない。

サラダやスムージーです。

 

しかし、SNSにあげるために一度は来てくれても、

潜在的なインサイトに合致していないため、

お客様は自然食レストランに通うまでは至らないのだと思います。

 

本当は、せっかく外食するなら、

こってりしたものや、背徳感を味わいたいのだと思います。

 

インサイトを読み切れていないから、

潰れていくレストランは後を絶たない。

ということなんです。

 

日々、「人はなぜそういう行動に至るのだろう」と考え続けること。

それこそが、インサイトを導き出してくれるのです。





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 竹内尚樹の飲食店の学校

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