奇跡は起こる。 

 

 

そんな体験ができる1日になるとは、

ぼくは思いもしなかった。 

 

 

“困難は、その人に乗り越えられるものしかやってこない。”

 

 

という言葉を聞いたことがある。 

 

 

ぼくはこれまで幾度となく困難を乗り越えてきた。

 

パスポートをなくしてもレンタカーに乗れたし、

警察に捕まったってすぐに立ち直った。

 

そして、交渉してロスへ行けることにだってなったのだ。

これで安心して日本に帰ることができる。ぼくは乗り越えたのだ。 

 

 

あるいは、ぼくはさらなる困難というものを望んでいたのかもしれない。

 

 

様々な問題を解決していくにつれ、

次第に“これですんなりは終わらないな”という

予感さえし始めていたのだ。 

 

 

ぼくの予感は現実となった。 

 

 

ぼくは朝の5時に起床し、丁寧に歯を磨き、顔を洗って化粧水をつけた。

そして、手際よく荷物を整理して、タクシー乗り場へ向かった。 

 

キャッシュは残りわずかだった。

 

様々な事件が起こり、

予定していたよりも多くのキャッシュが

必要になってしまったからだ。 

 

それでも問題はなかった。

 

アメリカはカード社会なのだ。

 

ラスベガスの空港でタクシーを降り、

カードで支払いを済ませた。 

 

6時に空港に到着し、緊張のチェックインの瞬間を迎える。 

 

昨日TSAに見せたものと同じものをゲートで見せる。 

 

国際免許証、警察にもらった紛失証明書、

クレジットカード、日本の免許証、学生証。 

 

一瞬、TSAが怪訝な表情を見せる。

 

そして、応援を呼ぶ。ゲートにTSAがむらがる。

入念なチェックが入る。 

 

 

・・・

 

 

オーケーが出る。

 

 

ぼくは通過したのだ。 

 

 

10時発の便は、ロサンゼルスに11時に到着した。

ロスの空港で、パスポートの確認を行う。パスポートはやはりなかった。 

 

 

 

領事館の受付は12時まで。

 

 

ここを過ぎてしまうと、

あるいは帰国できないかもしれないのだ。

 

空港で予想以上に時間がかかってしまったが、

なんとか間に合いそうだ。 

 

再びタクシーを使って日本領事館へ向かう。 

 

 

11時35分過ぎに領事館前に到着する。

 

 

よし、どうやら間に合いそう。 

 

 

55ドルが請求される。 

 

先ほどと同じようにカードを差し出す。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「no card」 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???

 

 

 

 

 

 

 

「no card(カードは使えない)」 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぼくはどうやら無銭乗車をしたようだ。 

 

 

 

 

 

ぼくの目には、怒りという表現しか思い当たらない表情をした

運転手の顔が映し出されていた。 

 

 

ぼくは、帰国できないことと、同時に殺されることを覚悟した。

 

 

なにしろ手持ちには、2~3ドルと、

福沢諭吉が描かれたお札しか持ち合わせていないのだ。

 

ここはもちろんアメリカである。 

 

 

 

 

 

ぼくは頭が真っ白になった。

 

そして、すぐ戻るからと告げ、

キャリーバックを担保に反射的にタクシーを飛び出した。 

 

目の前にある高層ビルに入り、片っ端から声をかけまくる。 

 

「ATMはどこだ?」と。 

 

そして、ATMにたどり着く。 

 

・・・使い方がわからない。 

 

近くの人に血相を変えて使い方を聞く。 

 

・・・英語がわからない。 

 

しびれを切らしたその人は、

2つ隣にバンクがあるから、そこに行けと言った。 

 

銀行へ全力疾走した。 

 

銀行には、いかにもデキそうな、

スマートな人間が立っていて、ぼくに優しく声をかけてきた。 

 

「どうかされましたか?」 

 

2万円を握り締めた日本の青年は、

かなり焦っていたようだった。 

 

 

「チェンジ!チェンジ!円、ドル、チェンジ!!」 

 

 

状況を把握した銀行マンは申し訳なさそうに答えた。 

 

「申し訳ありません。ここでは日本円とドルは交換できないんです。

うーん困りましたねー」 

 

ぼくは絶望のふちに沈み始めていた。 

 

そのとき、銀行マンは何かを思いついたようだった。 

 

「そうだ、少し先にトレードセンターがあります。

そこなら交換できるでしょう」 

 

そう言って、トレードセンターの方向を指差し、

道順を説明してくれた。 

 

ぼくは、説明された英語が一切わからなかった。

 

とにかくオーケーと言い残し、

指の刺された方向へ全力疾走した。 

 

目的地はなかなか見つからなかった。 

 

スケボーをやっていた若者たちに話しかけた。 

 

「おー!トレードセンターはこの坂を下ってすぐのあの緑の建物だ。

すぐにわかるはずだよ。大丈夫だ。頑張れ。Good Luck!」 

 

 

このとき時間は11時50分を過ぎていた。

 

 

全力疾走による汗と、待たせている運転手や、

迫りくるタイムリミットに対する冷や汗が尋常ではない。 

 

トレードセンターに辿り着く。

 

しかし、入り口がなかなか見つからず、

建物の周辺を走り回る。焦りが頂点に達する。 

 

なんとか入り口を見つける。

 

そして、2万円をドルに変え、来た道を戻り、

スケボーの若者たちに礼を言い、タクシーへ急ぐ。 

 

高層ビルが立ち並ぶ昼間のロサンゼルスで、

汗だくで本気でダッシュをする日本人はひと際目立った。

 

しかし、そんなことはどうでもいいことだ。 

 

タクシーへ戻り、うんと多めにチップを渡して、謝った。

 

彼は笑って許してくれた。 

 

そして、ホッとする間もなく、領事館へ駆け込む。 

 

11時58分綱渡りで帰国への切符を手にした。 

 

 

 

 

 

この出来事には2つの奇跡がある。 

 

 

 

 

 

 

1つは領事館の近くにトレードセンターがあったこと。 

 

もう1つは、ドルに変えた2万円である。 

 

 

この2万円は、もともとは財布に入っていなかったはずのものなのだ。 

 

出発前、

 

「もしものために2万円くらいは

日本円を持ってった方がいいんじゃない」

 

と母に助言されて、

家を出る直前に財布に入れたものなのだ。 

 

助言は的中した。 

 

 

困難は、決して1人では乗り越えられない。 

 

誰かの支えや協力があって、

初めて乗り越えられるものなのである。 

 

 

そんなことを痛感した出来事だった。 

 

 

次回、最終章。

 

ドラマはこのままでは終わらなかった。

 

 

 

 

 

 

 

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