日本を最後まで支えた日本の職人文化気質 | ”秋山なお”の美粒ブログ

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 幕末、黒船がやってきて、日本の政治は一変した。巨大な官僚機構の江戸幕藩体制を崩壊させるには、ものすごいエネルギーが必要だった。当然に、その幕藩体制に乗る人もいれば、反体制側にいる人もいる。しかし、崩壊への道へ進ませたのが、黒船である。どれだけの人の命が失われたかである。そして、明治時代、時はまさに、富国強兵である。これを支えたのが、庶民である。女工哀史など、いまでは死語になるだろうが、それらの貧しい人々によって、国は栄えた。その頂点が、戦艦大和である。しかし、そこに立ちむかってきたのが、やはりアメリカである。最後は、どうなったか、広島、長崎に投下された原子爆弾である。日本は、吹っ飛んだ。無条件降伏である。一面、焼け野原である。そして、復興である。日本にのこったのが、戦前につくられた軍国主義の残骸である。明治維新後、日本人が作り上げた遺品が焼け野原の中に放置された状態であった。復員兵、学徒出陣から戻ってきた学生、バラック小屋からの復興である。貧しいから、そこらへんにあるものを利用する。底辺には、戦艦大和。ゼロ戦を作った技術、技巧があった。女子学生でも、銃後をまもるため、戦時下、旋盤を使い、武器を作ってきた。一億総職人で、戦時物資を作り上げた。木っ端微塵にアメリカにされても、日本人が生きている以上、そこに、職人の魂は残った。

 

 

 戦後19年かけて、日本は復興をとげた。新幹線を通し、東京オリンピックを成し遂げたのである。それを支えたのが、日本の職人文化である。日本の中小企業、零細企業である。今を時めく戦後に生まれた大会社でも、当初は、どこも零細企業である。零細企業が中小企業となり、大企業となった。高度成長時代であれば、いいものをつくれば、需要があったから、どこでも大きくなれた。総合商社がそれをバックアップした。銀行も資金援助した。右肩あがりのインフレ経済である。中小企業が大企業となり、上場すれば、町工場のおやじが、だれでも、億万長者で、企業のトップとなった。汗水働いた結果、莫大な金が入ってきた。中小企業のオーナーだった人々は、連日、飲めや歌えやの大宴会である。それに群がる提灯持ちも多数いた。しかし、そんなバカ騒ぎも長く続くわけがない。当然に。その絶頂が、バブル崩壊で崩れた。

 

 

 そして、IT革命の波に乗り損ねた。なぜなら、日本は、GNPで世界2位と、浮かれすぎたからである。豊かになりすぎたからである。その後、日本人は、戦後、焼け野原から築き上げた先人の遺産を食いつぶして生きてきた。貧しさを忘れれば、新しいものを生み出さない。今あるもので充分、その資産を食いつぶしている状態であれば、無理することもない。歌う事を忘れたカナリアの運命はどうなるか、これが、今の日本である。給料はあがらない。資産は目減りする。少子高齢化で、どんどん人口が減少する。50年後は、8千万にもみたないだろう。当然に、今の大学生がリタイアするころ、日本はどうなっているのかである。

 

 

 日本が没落するきっかけとなったのが、中国の躍進である。中国が躍動するきっかけとなったのが、鄧小平氏が権力闘争に打ち勝ったからである。毛沢東路線との決別である。鄧小平氏は、共産主義に資本主義を取り入れた。個人主義の塊の中国人を一つに、利権でまとめ上げた。開放政策である。黒猫も白猫もねずみを取る猫はいい猫と、言ってのけた。海外資本を受け入れたのである。もうければ、善、豊かになれば、善、政治と経済を分けたのである。その意思表示は、天安門事件で、現れた。自由化を求める学生を軍隊で鎮圧した。

 

 

 経済は開放しても、政治は一党独裁で抑えたのである。政治の自由を与えなかったが、経済の自由は与えたのである。金である。当然に、頭のいい中国人は、海外の技術をコピーした。中国がWTOに加盟後、中国市場は自由化された。当然に、富は日本から中国へ流れる。日本が貧しくなるにつれ、中国は豊かになるのは当然である。この30年で、日本はすたれたが、その代わり中国は繁栄した。30年前は、中国のエリートが訪日団として、日本にやってきた。今では、観光目的で日本にやってきて、中国人が稼いだ外貨を日本で落とすようになった。内需は支えられた。

 

 

 立場が逆転した。私が、若い時、最初に北京にいったとき、百貨店では、化粧品を測りうりしていた。王府井の公衆トイレには、扉などなかった。紙などなかったから、縄が引かれていた。殆どの人が自転車にのり、一生懸命動いていた。きっと、日本の昭和30年代の初めのころと同じだったと想像する。だから、中国が伸びて当然である。安かろう悪かろうだったが、今ではしっかりとしている。アマゾンで購入するもの、殆どが中国製である。うまく作ってある。コストからみて、何も文句を言えるものではない。

 

 

 中国に、政治的な自由はない。あるのは、儲ける自由である。束縛から自由になるため、起業を起こす。もうけて、もうけて、この国から、出ていく。それが、彼らの人生となる。一党独裁だから、共産党以外は、権力は実質とれない。中国は、血縁、個人主義、三国志の時代から、変わらない。当然に、裏金が有効な手段である。しかし、体制は崩れない。香港で行き過ぎた自由化運動があれば、天安門事件と同じように、制圧する。しかし、経済は止めない。コロナがでたら、巨大都市、上海をロックダウンする。上海をロックダウンさせても、もう中国は、だめになることはない。暴動がおきても、すぐに鎮圧する。

 

 

 日本民族としては、情けないが、戦争で、アメリカにまけ、経済戦争では、中国に負けた。アメリカと中国は表裏一体の関係である。どこかで、必ず、歯止めがかかる。それが、民族性である。まともにやって、日本人が、アメリカ人に勝てるとは思えないし、中国人にまけるとは思わないが、ただ、国力をみれば、中国は圧倒的優位な立場にある。意思決定は、迅速である。でなければ、この30年間の進歩の速度は、考えられない。中国では、国益のためなら、バラック小屋を一日でつぶし、数か月で高層ビル群にする。当初は完璧でない、失敗もある。ビルが崩れる。原因がわかる。すこしずつ改良されていく。全体のために個を犠牲にするが、実はその個も裏では金でつながっている。一党独裁のように見えても、どこかで、三国志の世界が今でも生きている。50年後の世界は50年後にやってくる。50歳以降の人は、50年後にはほとんどいない。地政学的にどうなっているかである。

 

 

 日本が伸びるときは、いつの世でも、混乱期である。太平の世では、何もしない。現生利得であるから、あえて、リスクなどとらない。しかし、現状でいけば、どこかで、もたなくなる。いずれにしても、世界はどんどんかわるから、それに対処して、人生設計をしていたほうがいい。これから、自動翻訳機がでてくる。すくなくとも、中国語と英語の発音方法だけは、学んでいたほうがいい。自動翻訳機から流れる音声を認識できるくらいの素養はひつようとなる。