【3月19日(月)】

5時

公立高校合格発表日、そして手術。

早朝、だれもいない神社でお参りをする。

こんな時だけ神頼み。

もうそれしかない。

何もできない自分をなんとか保とうと必死。



手術は朝9時

それまでの間、病院の遊び場で一緒に遊ぶ。

落ち着かない。

時計が気になる。








9時

手術室に一緒に入ってくれる

お姉さんが迎えに来る。

いよいよだ。



「トオチャン ダッコ」



私がダッコをする。

こんな日本語ないかもしれないが

心が爆発するかと思った。

ダッコだけで涙がとまらんかった。

手術室到着、私はここでお別れ。




「絶対に、とおちゃんとかあちゃんのところに帰ってくるんだよ」




言えなかった。

しゃべれなかった。

病室に戻る。




手術は8時間

朝9時スタート

2・3時間かけていろんな管を通し

昼ごろ、頭をあけて、本格的な手術に入る。




10時

合格報告が

続々とラインで送られてくる。

塾の同僚が合格掲示板で撮った

生徒の写真を送ってくれた。

いい笑顔だ。うれしい。

毎年、高校の掲示板で

生徒と一緒に喜びを分かち合っていた。

今年は病院で過ごすことになるなんて。





11時

塾生すべての合否結果を確認。

現実に戻される。

1分1秒が長い。

おそらく、そろそろ頭を開けて

本格的な手術に入るころ。

何もできない

時計をながめるしかなかった。





12時

病院内の喫茶店で昼食

今日一日何も食べていない。

私は味噌煮込みうどんを注文

一口食べてお腹いっぱい。

味もまったくしない。

こんなことは初めてだ。

残しまくる。ごめんなさい。

息子のいない病室に戻る。




1時

ICUの合同説明を受けに

病室を出て説明室に。



廊下を歩いていると、アナウンスが。

ピンポンパンポーン

「最近盗難が多発しております・・・・。」

その後も色々なアナウンスが流れる。

ピンポンパンポーンが流れるたびに

「丹羽様至急手術室に・・・・。」

みたいなアナウンスがあるんじゃないかと

毎回毎回不安になる。

ピンポンパンポーン恐怖症だ。



ICUの合同説明には6組ぐらいいた。

今日手術する人が6人はいるということだ。



なぜか説明はギャルっぽい女の人だった。

すごく大事な説明が

たいしたことない説明に思えてきた。

不安と心配で極限状態だった私を

少しなごませてくれた。

説明を終え、息子のいない病室に再び戻る。







自分を大切に⑥に続く