サムライジャパンよ、日を背に負いて戦え! |   荒野に呼ばわる声

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      耳を澄ませば聞こえてくる
                 
                   南山 遥

 サムライジャパンよ、日を背に負いて戦え!

 

 何となく思ったことが的中した。

 今話題のサッカーワルドカップのコスタリカ戦のことである。

 

 前評判は、日本は多少苦戦しても快勝できるだろう、ということであった。スペイン戦で7失点した相手チーム。強国ドイツを破った日本の選手の奮闘ぶりを見て、誰もがそう思った。

 

 しかし、試合の開始前の陣地取りを見て、違和感を感じた。

「日を背に負いて戦うべきではないか⁉」と。

 

 今の日本人は神話をほとんど顧みないし、「我が国は神国である」と言っただけで、首相が辞めさせられる国となった。しかし、その日本のチームの胸には三本足の「八咫烏」が誇りをもって張り付けられている。それは特別な烏、建国の時に神武天皇一行を勝利に導いた道案内の烏である。

 この神武一行が敗戦した戦いが一つだけある。日の昇る生駒の山から攻撃する敵に挑んだ、今の枚方市の「くさかの坂の戦い」である。日に向かって矢を放つことになったのだ。

 

 その敗戦を顧みて神武天皇は、

「われは、これ日の神の子孫にして、日に向かいて仇を討つは、これ天道に逆らえり。・・・退きて、日の神の威い(いきおい)を背に負いまつりてゆかん」(古事記・神武天皇の巻)と、遠く熊野灘に迂回した。そして、日を背負って戦い、勝利して、奈良の橿原に宮を立てて肇国とした。

 

 多くの現代人は笑うがよい。しかし、せめて八咫烏をエンブレムにして胸を張るサムライジャパンよ、神話のごとく徹底して、日を背(そびら)に負いて戦え! 日の勢いをもって勇敢に戦え! 

                       南山 遥