東京は太平洋側で、私が上京してから40年ほどひどい雪の記憶は数少ない。

天気予報で大雪と知らされて、大方は予報外れとたかを食っていると痛い目に会う。

訪問看護に従事するようになった数年後、土曜日当番で2週続けて大雪になった。

朝起きると、玄関のドアが開けられないほどの雪。
私の長靴はふくらはぎくらいまでの小雨用のもの。
家の近所は、街の方が雪かきをしてくれて、何とか大通り(国道)に出られた。
普段は、自転車で8分ほどの道のりなのだが、大通りから事務所までに何か所もの難所続き。

週休二日制の会社や店舗は、土曜日の朝に職員がいない。たとえ大通りに面していても、雪かきがされていない。
開店予定のお店でも、開店準備前で雪かきはまだ。
融け始めた雪が、道路のわきで小川になっているのに、膝上までの雪が積もっている。

雪の上を一歩進むごとに、ずぼっと足が雪の中に沈む。エッコラショと膝をお腹まで上げて、雪の中から足をすくいあげ、今度はもう一方の足を雪の上から地面まで沈める。一歩歩くたびに、融け始めた雪が長くつの中に入り、数分歩いただけで、靴の中が冷たい雪解けの水でズブズブ。

やっと駅前につくと、駅員さんが雪かきをしてくれていてやっと雪のない地面。
雪水が入った長靴を脱ぎ、靴から水を出して、濡れた靴下をしぼって履きなおし、また濡れた靴のまま歩く。

地下鉄の駅からは、こんなひどい雪の日でも電車を使う人が道を作ってくれていて、何とか事務所の玄関先に。扉の近くの自販機のおかげか、南向きの玄関のおかげか、積雪は15㎝ほど。扉の前の雪を足と手でかいて、事務所に入る。

いつもなら自転車で8分ほどの道のりが、約1時間近くかかる。汗をかき、濡れた靴下からポッポと湯気が出ている。

たまたま会議で出勤した上司が、会議がなくなったので、いつもは一人で回るルートを二人で回る。

私は、替えの靴下と長靴を履き替えて、歩いて訪問。上司は、タイヤにチェーンが巻いて車で訪問。


2時間ほどの訪問を終えた後は、歩道の雪も消え始めていて、帰り道は、朝40㎝の雪もどなたかが雪かきをしてくれていて、すっかり歩きやすくなっていた。