京極さんの「鬼談」を、息子にプレゼントしてもらった!
そいで、昔書いたの思い出したから、再掲。
書いた時は哲学怪談目指したんだよなぁ。
コワイか怖くないか、読んでみて。
「無鬼」
一番、怖い鬼はさ・・・無鬼だよ。
なんたって、西洋人も何冊も本を書いてるぐらい、だからねぇ。
あぁ、もちろん「無鬼の本」ってなってるんじゃないよ。
いろんな名前でさ、いろんな形でさ、でも書いてあるのは「無鬼について」なんだわな。
洋の東西を問わず、「ある」んだよ、無鬼ってのがさ。
こいつには、角はない。
角ってのはさ、強く見せようだとか、メスを獲得しようだとか、なんか意味があってあるもんだろ?
無鬼には。意味ってもんがないからさ。
角も溶けてなくなっちまった。
角が溶けてく、その時間にはさぁ。
鬼ものたうちまわるんだね。
のたうちまわる無鬼に、バッタリ、行き合っちまうことがあるんだがね。
無鬼だとは、わかんねぇんだよな。
鬼と人とを区別するのは、なんたって、角だからな。
あぁ、あんたも、行き合ったことがあるだろうよ。
気が付いてないだけでさ・・・
あぁ、そうだった。
無鬼の特徴はさ。
自分は人間だと思い込んでるところなんだよ。
ふふふ。
もうとっくに、人間じゃないのにねぇ・・・
あたし?
そうだね、人間だとは思うんだけどさ。
無鬼だったとしても、分からんわけだから・・・
ふふふ。
あんた、どっちだと思う?