2010年09月28日(火)

『湖は餓えて煙る』

テーマ:ミステリーとか

『湖は餓えて煙る』  ブライアン・グルーリー/著、 青木千鶴/訳、 ハヤカワ・ミステリ(2010)


ピューリッツァー賞も取ったことのある現役新聞記者のデビュー作だそうだ。

2段組みで540ページもある・・・(^_^;) 
結構な日数を費やして読んだわけだが、その分、読書の楽しみも続いた。少々長いナとは感じたけど・・・。 



では、粗筋紹介。

アイスホッケー選手だった少年時代。大手新聞社の敏腕記者としてスクープをものにした若かりし頃。2度の絶頂期いずれの時期にも突然の挫折を経験した主人公ガス・カーペンター。

現在の彼は、生まれ故郷の小さな町の新聞社で編集長代理として地方紙の編集に携わっており、時にはアマチュア・ホッケー・チームでステッキを握ることもあった。しかし、今も町中の人々がガスの少年時代の失態を覚えており、また、大手新聞社を辞めて町に舞い戻ったガスに向けられる人々の視線は冷たい・・・。


ある冬の夜、ガスの暮らす町の湖に打ち揚げられたスノーモービルの残骸。

それは、10年前、ガスの所属したアイスホッケーチームを強豪に育て上げた伝説的コーチが姿を消した晩に乗っていたとされるものだった。しかし、コーチがスノーモービルごと氷の割れ目に沈んだとされる湖は、隣りの湖であるはずだった・・・。

少年アイスホッケーの町として繁栄した一時代を築き、町の英雄として崇められたコーチの死に対する疑念がガスの中で膨らみ出し、長い長い物語の幕が開く・・・。 



本作の構成と読みどころ。

2度に及ぶ過去の挫折に苛まれる主人公ガス・カーペンターが、ジャーナリストとしての誇りを蘇らせ、過去と対峙し、ストイックに真実に迫ろうとする姿勢を取り戻すプロットがブッ太い幹になっている。

その幹の周りには、10年前のコーチの死の謎、その裏に見え隠れする町の暗黒史に関わる謎、というミステリー要素が蔦のように絡む。

更には、アイスホッケーに夢中だった少年の頃から今も続く友情と恋の物語も絡む。

膨大なページを費やしているだけあって、主だった登場人物たちの書き込みは申し分ない。

・・・ってことは、主人公に感情移入さえできれば、物語世界を追体験できる読書を味わえる。優れた物語による読書の醍醐味って奴だ。


・・・ってことは、当然、お薦め作ってことになります。 それにしても最近のポケミスはイイなっ!


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2010年09月18日(土)

『英国策論 遠い崖3』

テーマ:歴史とか

『英国策論 遠い崖3 アーネスト・サトウ日記抄』   萩原 延壽/著、 朝日文庫(2007)


第1巻 『旅立ち』第2巻 『薩英戦争』  からの続き。


幕末から維新に掛けての日本で、最も日本語に通じた通訳官アーネスト・サトウの活躍が本格化しだす(かと思った)第3巻。 だが、この巻でのサトウの活躍は1章割り当てられているだけ。 この巻で大活躍するのはサトウの上司、新任の駐日公使パークスだ。着任当時37歳だったそうだ。


■ パークス着任

早くに両親を亡くし、父方の縁者がいるマカオに2人の姉が移り、初等教育を終えた後、彼も13歳でマカオに移って以来、生涯のほとんどを日本と中国で過ごしたパークス。 20年間以上、イギリスの上海領事として中国で活躍したパークスが、第二代駐日公使として乗り込んできた。。。

本章では、パークスの生い立ちや上海領事館時代の活躍が記されるとともに、日本着任早々から精力的な働きを魅せるパークスが描かれる。

仕事は出来るが、結構イヤな奴っぽい・・・というのが私の印象(偏見)。。。


■ 兵庫沖

天皇と将軍。日本の二重権力構造ゆえの責任と権限の所在のアヤフヤさ。幕府の政策決定、外交交渉の揺らぎや決定スピードの遅さに我慢のならないパークスは、第二次長州征伐のために出陣している将軍家茂がいる大阪、そして、天皇のいる京都、に近い兵庫に4カ国の艦船を進める。 威圧外交・・・。

そして、パークスは条約改正の勅許を得る。

ん~っ、21世紀に入っても日本の外交は、この頃からの伝統を受け継いだままらしい・・・。


■ 英国策論

アーネスト・サトウが、当時の横浜で発行されていた週刊の英字新聞ジャパン・タイムスに無署名で3回にわたって寄稿した論文。その内容は、日本に対するイギリスの政策論であり、これらが和訳されて「英国策論」として、写本が日本中に出回ることとなる。

サトウの主張で最も目立つのは、将軍による外交政策の決定権を、天皇と数名の有力大名から成る合議体に移行すべきとの論だ。要は、権力の移行を主張していることになる。

こうしたサトウの主張は、その後の幕末の動きを予想・予言したもので、サトウの卓見だったのか!? 恐らくは違うのだろう。この頃、進歩的な考えの日本人の中にも、こうした考え方は芽生えていたと観るべきなのだろう。とてもサトウのオリジナルの発想だとは思えない・・・。

ともかく、アーネスト・サトウの名前を一躍日本中に轟かせたのが、この「英国策論」だったそうだ。


■ 大名

生麦事件、薩英戦争、戦争後の交渉、を経験した薩摩藩。そうした経験から打ち出されたのは、外国との貿易は藩の利益になるということだった。幕府による干渉なしにイギリスとの貿易を進めようとする薩摩(実質的には、長崎のグラバー商会を通じて貿易を行っていた)。

そんな薩摩藩から、グラバー商会を通じて、パークスを鹿児島に招待するとの連絡が入る。

パークスは鹿児島からの招待を受け、長崎を経由して鹿児島に赴く。薩摩藩挙げての歓迎を受けるとともに、薩摩藩が抱く考えについても理解の一端を示し始める。

長崎に戻り、その後、第二次長州戦争が開始された最中、長州藩下関奉行の桂小五郎や、下関海峡封鎖を画策する幕府老中小笠原長行らとの会談を行う。
下関での会談を終えたのち、さらにパークスは、宇和島藩にも赴き、ここでも歓迎を受ける。

およそ一ヶ月半に及んだ旅がパークスにもたらしたものは、大名達に対する友好的な感情であった。。。


この第3巻では、パークスの人物像と彼が行った仕事に焦点が当てられていた。

幕府、そして幕府に敵対する藩、双方との幾度かの交渉・会談を経て、パークスは両者それぞれの言動に一定の理解を示し始めている。どちらかというと薩長に対する同調がみられるが・・・。

それでも、イギリスとしては中立の立場を堅持し、内戦への干渉を避けようとする外交官パークスのバランス感覚が目立つ。 フランスの駐日公使ロッシが、幕府側に重心を置いているのは対照的だ。


この時期、アーネスト・サトウの日記は記述が途絶えており、彼の詳細な動向についてはページが割かれていない。 ただ、「英国策論」が採り上げられただけだった。

この第3巻でまるまる1章を費やして採り上げられた、サトウの書いた「英国策論」がこの後、歴史の展開にどうのように関わってくるのか? 楽しみである。



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2010年09月12日(日)

『ぼくらの頭脳の鍛え方 必読の教養書400冊』

テーマ:なんでも読んでみよう

『ぼくらの頭脳の鍛え方』   立花 隆・佐藤 優/著、 文春新書(2009)


昨晩。 外出先でかなりの時間を持て余しており、しかも手ぶらだったので、「ブ」に飛び込んで本書を購入。

アイス・カフェオレを飲みながら、本書を読んで時間潰しをした。



立花隆と佐藤優がいろいろな本、著者、内容について対談する部分と、2人それぞれが選んだブック・リストで構成されている。


まァ、さすがにいろんなことを知っている2人だけあって、対談部分は面白い。 面白いが、私には理解できない話も多い。

この2人の対談で当たり前のように引用される書籍や思想家・歴史家・政治家達の名前全部を知っていて、この二人の言っていることが全部理解できる読者がいったいどの位存在するのだろう。 それが知りたい。


2人が自分の本棚から選択したブックリストは、彼らの本棚の中身が凄すぎて、一般人にはほとんど役に立たないと思うけど、文庫・新書100冊を選んだリストは、レベルを落としてくれていて、今直ぐにでも私にも読めそうなのがあった。。。けど、個人的に興味をひかれたのは10冊もなかったナ。。。


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2010年09月09日(木)

『カーデュラ探偵社』

テーマ:ミステリーとか

『カーデュラ探偵社』   ジャック・リッチー/著、  駒月雅子・他/訳、 河出文庫(2010)


夜しか働かない私立探偵 カーデュラ - Cardula - が活躍する話が8篇と、カーデュラ探偵モノ以外の5編で構成されたジャック・リッチーの短篇集。 日本でのオリジナル編集だそうだ。


特殊事情を持つ探偵カーデュラがナイスなキャラだ。

そんでもって、カーデュラの特殊性を活かしたストーリーも見事だ。


カーデュラの特殊性・・・、それは名前から類推できる・・・(名前はアナグラムになっている)


他の5篇の話も全部がイイ。 お見事としか云いようのない短篇集だ。 河出文庫エライ!

お薦めです。



河出書房さん、ジャックリッチーの短篇集、じゃんじゃん出版してください。文庫で。。。



前作の『クライム・マシン』 といい、今作といい、ジャック・リッチーは外せなくなった・・・。


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2010年09月08日(水)

写真も投稿できる?

テーマ:メモランダム

どれどれ、
photo:01

photo:02


どん兵衛の東日本(E)バージョンと西日本(W)バージョンの写真


iPhoneからの投稿
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2010年09月08日(水)

iPhoneからでも投稿できるのか?

テーマ:メモランダム
試しにやってみた
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2010年09月07日(火)

『回帰者』

テーマ:ミステリーとか
WALKING DEAD (2009)
『回帰者』  グレッグ・ルッカ/著、 飯干京子/訳、講談社文庫(2010)


シリーズ第7弾にして最終作。


主人公が拉致された少女を救出するため、手掛かりを求めて世界中を飛び回り、敵を倒し、ついには奪還するという、極めて単純な物語。

だが、展開の巧さと、人物の描き方がイイのと、物語に緊張感があるもんだから、ついつい読んじゃう・・・。

それにしても、もっと短くできるんじゃないのォ! っていうのが、真っ先に浮んだ感想。

長すぎでしょ。 捜索シーンの繰り返しが多すぎるでしょッ! 無駄にページ数稼ぎすぎでしょッ!

その分減点・・・。


・・・ともかく、およそ10年に渡って描かれてきたアティカス・コディアック・シリーズが終わった。

なんだかんだで楽しませてもらった。特にシリーズ前半の3作と4作目の番外編は。


いみじくも巻末の「解説」で北上次郎氏が云っているが、このアティカス・シリーズのピークは第2作と第3作にあった。個人的には第4作の番外編が一番好きだが・・・。

北上氏は、本シリーズについて、デニス・レヘインのパトリック&アンジー・シリーズとパーカーのスペンサー・シリーズを挙げて比較しているが、もう一つ挙げておきたいシリーズがある。

ニール・ケアリー・シリーズである。ニール・ケアリー・シリーズも、このアティカス・シリーズと同様、シリーズ前半と後半では作風も内容もガラッと変わった。

ガラッと変わった後、シリーズものは衰退を向かえる・・・北上氏が語る、シリーズものの絶頂期に関する論評はなかなか頷けるものだ。。。



シリーズ作の感想はコチラ →  『守護者』  『奪回者』  『暗殺者』  『耽溺者』  『逸脱者』  『哀国者』

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2010年09月02日(木)

『文明の生態史観』

テーマ:歴史とか

『文明の生態史観』   梅棹 忠夫/著、 中公文庫(1974初版、1998改版)



初めて読んだ。 誰もが薦めるだけのことはある。 確かに名著だ。 スゲー傑作だ。


スケールの大きな文明論。

読んでる途中でジャレド・ダイヤモンドを思い出した。ダイヤモンドが述べていることより簡潔で単純なモデルなだけに、なお一層の一般性がありそうだ。


この本を読んでいる途中での私の頭の中に浮んでいたイメージは次のようなコト。。。


ユーラシア大陸を、単純に東西方向に長い楕円形だと考える。その楕円形の中心位置に棒を挿す。その棒を軸として、楕円をコマのように回転させると、楕円の上に乗っかっているイロイロな物がみんな外周の方に寄っていってしまう・・・。

かつての中国、インド、ロシア、イスラム・地中海といった、楕円の中心近くに置かれていた4大帝国の力は、コマの回転速度の上昇にともなって次第に楕円の外周部へと流れていく。楕円の外周部・・・その西端にはイギリス・フランス・ドイツが位置し、もう一方の東端には日本が位置していた。

大航海時代以降の西ヨーロッパ諸国や明治維新以降の日本の隆盛は、コマの外周に移ってきた力を捉えたものだった・・・。


コマの軸に回転力を与えたものは何だったのか?

4大帝国は、帝国の外縁部の乾燥地帯に暮らしていた蛮族による侵略を絶えず受けており、ときおり帝国は解体し、その後また再生を果たすということを繰り返していた。帝国外縁の乾燥地帯よりも更に外側に位置し、比較的温暖な気候で人口もそこそこあった西ヨーロッパ諸国や日本では、いつしか封建社会を経験していた。封建社会の後にブルジョワ革命を経験した楕円外周部の各国は、いつしか母体であった帝国よりも文明を高度化させていた・・・。

コマの軸に回転を与えたものは、帝国の自己崩壊と楕円外周国が歴史の経験値を積んでいたことによるものだった・・・!?



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ん~~っ、頭の中では、もっとイロイロなことが思い浮かんでいる。。。のに、巧く書けない。

日を置いて、もう少し整理しながら、この記事を書き足していこう・・・。

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