みなさん、お久しぶりです
ななこです
ちょっと色々あって前回の投稿からかなり時間があいてしまいましたが、今回は6,7月の公演振り返りをしていこうと思います
Countess Maritza (伯爵令嬢マリツァ)
ほとんどの同僚が迫力あるジプシーダンスに配役されている中、なぜかこのメンバーだけはチョコチョコ踊る可愛いメイドに配役されて面白かった公演です(笑)
写真で私が持っているお皿に本物のビスケットが乗っているのですが、あまりに沢山乗っていてジャンプした時にお皿から落ちそうだったので、舞台袖でみんなで何枚か盗み食いしたのもいい思い出です
私のインスタに本番映像も載せているので、興味のある方はご覧ください
(nanako_sato_7で検索🔍)
Wiener Blut (ウィーン気質)
この公演の2日前にあったドンキホーテでソリストだったので、過労になるということで私はこれには配役されていなかったのですが、オペラ部門のレパートリーの中で個人的に一番衣装が可愛い演目なので、「どうしても出たい」と自分から志願しました
プロになっても、「可愛いお衣装を着るために舞台に立つ」という信念は変わっていません(?)
公演自体は特に何の見どころもありませんでした。
ドン・キホーテ
まさかまさかの、キトリの友人役を踊らせて頂きました
バレエ団に所属している方なら分かるかもしれませんが、配役というのは7,8割ダンサーのイメージで決まるので、悪役から姫まで全て一人で経験するダンサーはほぼいないと言ってもいいと思います。
私のバレエ団内でのキャラ付けはキラキラ担当(笑)、妖精や姫などを任されがちなので、今回はもう確実にキューピットだろう、と思っていました。
(役の大きさ的にも、キューピットは夢の場だけの登場ですし、入団2年目の私にぴったりと思ってました)
そしたらまさかの大どんでん返し、沢山のソリストの先輩方を差し置いて、キトリ・メルセデスに次ぐ大役の友人役を頂き、全幕通してソリストとして踊らせて頂きました
妖精担当(?)の私がカッコいいキトリの友人に配役され、今まで同じキャラではなかった、言い換えれば"役を奪い合う"ことがなかった先輩たちの枠を私がぶん取る形となり、今までにないほどそれはそれは妬まれて精神的に大変でしたが(笑)、「ついに私もこの位置まで来たか」と思った公演でもありました。
いつも間抜けなことばっかり言う私のイタリア人の彼が、この時ばかりは「ななこがその他大勢の一人なら、誰も妬まない。ななこのことを妬む人は、自分がその他大勢で誰にも興味を持たれていないから、他と違うななこが羨ましいんだ。」と的を得た事を言っていて、感動した覚えがあります(笑)
私はお豆腐メンタルなので、本番前日にも目が腫れるほど泣きましたが、なんとか乗り越えました
あと、いつも年功序列で配役する監督が今回は私以外にもチャレンジングな、いわば実力主義的な配役をしていたので何事かと思ったら、この公演はプロのための国際コンクールSara Nora Prima2024(諸事情でなくなってしまったヴァルナ国際コンクールの後釜)のオープニングとして上演される為、世界中から著名なバレエ団のディレクターが見にくるので、年功序列で下手なおばさんたちをメインキャストには入れられなかった、とのことです
おばさんソリストたちを封印したことによって結果的に舞台のクオリティは爆上がり(笑)、いつも私を応援してくださるファンの方々にも「新しいななこが見れて良かった」と喜んで頂けました。
おやゆび姫 千秋楽
去年10月の初演から、毎回チケットを完売させている私の代名詞『おやゆび姫』が、この第6回目の公演をもって千秋楽を迎えました
最後は海沿いのサマーシアターで、沢山のお客さんの前で上演することができました
(子ども向けのバレエ作品が6回も、そしてサマーシアターでも上演されるのは異例だそうです)
無名の新人だった私が、一躍有名になるきっかけとなったこの作品。
この主役に抜擢されてから、たくさんのメディアで取り上げて頂き、新聞でのインタビューまで経験させて頂きました。
まさに、シンデレラストーリーです
金髪でもない、青い目でもない、日本人である私が、ヨーロッパの文化であるクラシックバレエの世界で、ましてや本場ヨーロッパの劇場で、主役を踊ることは出来るのだろうか?とずっと心のどこかで思っていましたが、入団半年でアンデルセン童話の主人公に抜擢されて、「イメージにぴったりだった」と沢山の人に言って頂いて、もっと上にいける、と自信がついた作品でもありました。
もちろん楽しいことばかりではなく、真ん中を踊るプレッシャーや責任感も学びました。
「メインキャスト・準主役」と「主役」の間には大きな差があります。
どれだけ大きな役を踊ろうと、主役でなければ感じない重圧があります。
それをまだ新人の時に経験させて頂けたのは、本当にありがたく貴重な経験だったと、今でも思います。
おやゆび姫は、これからも一生私の中に生き続ける、最高の思い出です
My fair lady (マイフェアレディ)
長いこと新作を発表していなかったオペラ部門が、何年かぶりに新作ミュージカルを発表しました。
おやゆび姫で忙しい私や 他のソリストランクの先輩たちも問答無用で総動員、ある日突然振り付け家がバレエ団のレッスンを偵察しに来て、勝手にオーディションをし、私は勝手に選ばれました(笑)
踊りたくても選ばれなかった同僚たちが多くいる中で、おやゆび姫の練習時間を削られてブチギレていた私は、終始態度が悪く「誰か私と替わって!!」と言い続けていました
というのも、このミュージカルのために、私たちバレエ部門は毎日10時間休みなしで働かされ、土日も返上で12連勤していたのです。
それプラスでおやゆび姫や他のオペラ作品のツアーなど、バレエ団全員が過労で極限状態、主演作品を抱えていた私はその筆頭でした。
いつも尊敬していたバレエ監督やリハーサル担当の先生の劇場に対する立場の弱さも痛感し、私を推してくれている劇場のトップである総監督へも嫌悪感しか抱けませんでした(笑)
このままでは日本のサラリーマンのように過労死する、ということで退職届の下書きを書き始めたあたりでバレエ監督から呼び出され直々に劇場のスケジュール管理不足について謝罪され、この公演が終わった直後に三連休になることが公式発表されました。
とまあ何ともドタバタな初演でしたが、楽しかったか楽しくなかったかで言えば、まあ楽しかった。と言えます。本番は。
でもやっぱりバレエの舞台ほど楽しいものはないので、100点中60点といったところです