マニラのゴミ捨て場で働く10歳くらいの少女に著者は聞いた。
「あなたの夢は何ですか」彼女は答えた。
「私の夢は大人になるまで生きることです」
子どもたちは極度の栄養不良で猛暑の中、悪臭と有毒ガスが蔓延している劣悪な環境で一日中働き、15歳まで生きていけるのは三人に一人だそうだ。
著者はこの言葉で子どもたちを支える運動を本気でやっていこうと決意し、日本の中学、高校を廻り、講演する。中には居眠りをしたり、私語をしたり、歩き回る生徒もいる。そんな状況が二年続き、何度もやめようと思った。
ある時、少女が売られていくという話をしたら、なぜか笑い声が起きた。思わず怒鳴りつけた。
「おまえたちはどんな気持ちで家を去っていくのかこの子たちの気持ちがわかるか!それがわかって笑ったのか!」
真剣さは生徒にも伝わる。生徒たちは映像に向き合い、涙を流す。ある生徒は自殺を思いとどまり、活動に協力する生徒も出てきた。
著者は言う。講演で私は寄付をしてくださいとお願いはしません。なぜなら私たちが彼らを援助するのではなく、私たちが彼らに教えられているからです、と。
本書のタイトルだが、「一生懸命に生きるから自分も他人の命も尊いと思えるのです」だそうだ。
ハッとさせられた。このような視点でボランティアを語った人は今まで知らなかった。
昭和36年生まれの私は貧困も飢餓も知らない。それなのに飽食の国の自殺者数の多さ。
本書の中の子どもたちは私に問いかける。
「豊かな日本にいるあなたは毎日一生懸命に生きているのですか」と。
