今回は進行役に高橋綾さん(大阪大学COデザインセンター)を迎えました。

 

なないろスタッフ三人は、前日に名古屋で開かれた高橋さんによる「こどもと真剣に向き合うための哲学対話」セミナー(カフェフィロ主催)にも参加してきたばかり。子どもとともにする「セーフな探究のコミュニティ」はどんなものかを、レクチャーや、参加者同士の対話ワークショップを通して探究してきたこともあり、犬てつでは高橋さんがどんな対話を進められるのか興味津々です。

 

 

高橋さんが目指すのは「ケアリング」を重視する哲学対話。

思考力アップや、問題解決型のディベートとは違い、ケア的対話で重視されるのはこんなこと↓のようです。

 

●相手や自分が安心して対話に参加できているかをケアし、互いに尊重しあえる関係性(コミュニティ)を作ること

●答えを出す、問題を解決する、ではなく、互いによく「理解」しあったか、自分や他人に対して新しい「発見」があったかに心を向けること

 

●言わなければならないこと、期待されていることではなく、自分が本当に言いたいこと、「わからない」「自分は違う」などが安心して言える場を作ること


***** 

 

犬てつでも、まずは三つの「大丈夫か?」を確かめることから対話がはじまりました。

 

 1) からだは大丈夫? (体調は悪くない? 昨日声を出し過ぎて今日は声がでないとかない?)

 2) 気持ちは大丈夫? (とっても悲しくて人と話す気分じゃないとか、話をするなかで悲しい気持ちになったとかがあれば教えてね。)

 3) 頭は大丈夫? (考えすぎて疲れてない? もう考えられないとか、誰かが難しいことを言ってわかんないとかがあれば言ってね。)

 

これを言葉で確認するだけでなく、身体を使って一つ一つ自分のなかに落とし込みながら、みんなで楽しく確認作業を行います。

 

そして、コミュニティボールを使うときのお約束の確認。

・ボールをもっている人がお話しする

・ボールをもっている人が話をしているときはその話を聞く

 

こうした一連の基本的な約束事をみんなで確認する作業が、これから「てつがく対話の場がはじまるよ」という心づもりをみんなに与え、「ケア的関係」を成り立たせる基礎になるのだなということを実感。

 

次いで、ボールをまわしながら、自分が呼ばれたい名前と、「ずっと同じ年齢でいられるとしたら何歳でいたいか」という問いが投げられました。

 

 

なかでも「8歳」が人気の答え。2年生を中心にした参加者にとって、夏休み真っ盛りの「今」が一番楽しい時なのかもしれませんが、10歳の子どもからも「8歳」という言葉がでたということは、小学二年生というのはスペシャルな時代なのかもしれません。

 

他にも体力が衰えてくる前の35歳がいいとか、いや、そのときはもうすでに体力は衰えはじめているから31歳がいいとか、切実な感覚からでた答えに大人たちが盛り上がる一方で、子どもたちは集中力が切れてきて、休憩を入れることに。休憩時間もどれくらいとるのがいいかをみんなに聞いてから、多数決で10分間に決定です。

 

***** 

 

休憩後は、子どもたちのテンションもあがるゲーム!形式の「哲学ゲーム」(質問ゲーム)。二つのチームに分かれて得点を競います。

大きい子(大人)チームと小さい子チームに分かれた方がいいか、混合チームがいいか、これもみんなの意見を聞いてから多数決をとり、大きい子(大人)チームと小さい子チームの二手に分かれることになりました。

 

  

・勝ち負けじゃなくて、楽しむゲーム。

・できれば答えがはっきりわからなくて、難しいなあ~と思うような質問がいい。

・人を困らせたり、恥ずかしがらせたりするような質問は、心の大丈夫かが心配なのでダメ(お父さんの年収はいくら!?とか)。

・お互いのチームに二つ質問を出して、どちらの方が面白い考えがでてきたか、よーく考えてでてきたなという答えだったかを多数決で決める。

 

  ゲームの説明のあと、チームで話しあう時間を10分とって、それぞれに質問を発表します。子どもチームは思い思いの質問を考え、伝え、意見を交換してから、多数決で決めていました。

 

 

そうやって決まった小さい子チームからの質問は、

1 なぜ、あなたは

   ぼく、わたしを生んだんですか?

2 なぜ ねんれいは 変わるんですか?

 

一方の大きい子(大人)チームからは、

1 いつまで 子どもでいられるの?

2 なんで 友だちが 友だちだって わかるの?

 

 

それぞれの質問について、チームで答えを話し合う時間をもう10分間とります。

 

子どもチーム二問目の「なぜ年齢は変わるのか」がとても良い難問で、大人チームは10分間のほとんどをこの質問に費やして頭をひねりました。子どもたちに「面白い!」と思ってもらえるような答えを探りだすには、自分が伝えたいことよりは、子どもたちがどんなつもりで質問をしてきたかを考えるのが先決とはわかりつつも、ついつい自分の思いを語ってしまう大人たち。あっという間にタイムアップになりました。

 

 

まずは大人チームの答えの発表です。

 

質問1 なぜ、あなたは ぼく、わたしを生んだんですか?

(答え)まずは、みんなが私たちのところに来てくれました。そして、来てくれた子がどんな子か知りたくなって、会いたくなって生みました。(お互いの共同作業だったんです。)

 

質問2 なぜ年齢は変わるんですか?

(答え)みんなが生きてきた日数をお祝いとして数えているから、お祝いが増えていくと年が変わります。

 

子どもたちもまずまずの様子。高橋さんからも「頑張ったね」の言葉をもらい、大人たちもそれなりに満足のいく答えをだせた達成感があります。

 

*****

次いで子どもチームの発表。でも、子どもたちはまだみんなで意見をまとめることはできなかったので、でてきた答えを全部言うことにして、その発想力で勝負!とのこと。

 

 

質問1 いつまで子どもでいられるの?

(答え)・20歳(お酒とかたばことかOKになるから)

   ・勉強が終わったら(大学生まで? それとも高校と大学は絶対行かなくてはいけないところじゃないから中学生まで?)

      

質問2 なんで友だちが友だちってわかるの?

(答え)・友だちだから!

   ・友だちを大切にしていると友だちになれる。

   ・相手と自分が両方友だちと思っていれば友だち。

   ・けんかしても仲良くしていられると友だち。

 

論理的につめてきた一問目の答えに対し、二問目の「友だちは友だから!」というシンプルな答えに、大人チームはとうならされます。理屈じゃない、素直に思う気持ちをそのまま伝えていいんだ、それが説得力があるんだなと、子どもたちの言葉に気づかされました。

 

投票の結果は、11対9で子どもチームの勝ち。でも、両チームともに一人二票ある相手チームからの票も集め、がんばった成果をお互いに認め合う納得の結果でした。

 

*****

対話の時間はこれで終了。途中集中が途切れて歩き回ったりしてしまう子どもたちもいましたが、最後に書いてもらったアンケートには、「いろんなことを考えて話して楽しかった」という意見がほとんどでした。

考えるって楽しい! 他の子どもたちの考えを聞くのが楽しい!

みんなと一緒に話すことで、自分の世界が広がることを、子どもたちは実感としてつかんでくれたようでした。

 

関西弁でてんぽよく、ツッコミと笑いを交えながら繰り広げられる高橋さんの進行は、なんでも話していいんだという場の安心感を生んでいました。そして、とても参考になったのは、どうしたいか、どうすればいいかは、みんなに聞いて決めればいいんだということ。休憩をとるかとらないか、時間を何分にするか、どの質問を採用するか――自分の意見も言うけれど、みんなの思いも共有できれば、心は柔軟に場の流れに寄り添うことができる。意見が通らなくても、自分の意見も尊重されているということへの根本的な信頼感があれば、いろんな意見を受け入れることができ、共同作業の場を楽しむことができるんだ、そんなことへの確信を深めることができました。

 
犬てつをはじめていくにあたって、こんな素晴らしい機会を作ってくださった、高橋綾さん、セミナーを企画いただいたカフェフィロさん、参加いただいているみなさんに本当に感謝です!

 

 *****
 

さあ、次回からは、ちらしも作って市内の全小学校に配布します。

9月17日(日)10時~11時半

10月15日(日)10時~11時半

11月26日(日)13時~14時半

の三回の開催予定です。

定員に限りがありますので、ご興味のある方は早目にお申込みください!

 

(ミナタニ)

 

AD