解説

デンゼル・ワシントンが監督・脚本・主演を務め、1930年代に全米討論選手権で優勝したワイリー大学の実話をもとに映画化したドラマ。1935年、人種差別が根強く残るテキサス州マーシャルのワイリー大学で働く黒人教師トルソンは、歪んだ社会を正すのは教育だけと信じ、ディベートクラスを立ちあげる。トルソンの指導のもと、討論大会に向けて特訓を開始する生徒たちだったが……。共演に「ラスト・キング・オブ・スコットランド」のフォレスト・ウィテカー。

2007年製作/128分/アメリカ
原題:The Great Debaters  映画comより

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閉店セールで購入したDVD

ディンゼル・ワシントンとフォレスト・ウィテカーの共演に興味を惹かれて買いました。

       

フォレスト・ウィテカーと言えば、「大統領の執事の涙」で、8人の大統領に仕えた執事の役をやりましたが、その執事は、親の世代は、奴隷として働いていたみたいですから、彼とこの映画の軸となる生徒の一人であるジェームズ・ファーマーjr.が、ほぼ同じくらいの歳のようなのです。

そう思うと、奴隷制度がまだまだ記憶に新しい時代だったのではないのでしょうか。

しかも、ジェームズ・ファーマーjr.は、飛び級で大学生になっているのでしょうか。

14歳とか言っています。ひと際あどけない顔をしていますが、何に対しても好奇心を持っています。他の学生たちや、親たちの世代は、もっともっと黒人と言う事で大変な思いをしている時代かと思います。

 

黒人が通うワイリー大学の教授メルヴィン・トルソンは、白人と対等に戦えるように、言葉という力で戦えるディベート部を立ち上げます。

ワイリー大学はカレッジと言っていますので、大きな大学ではないようです。

 

ディベートの授業をして、その45人の中からチームを選びます。

圧倒的に優秀でディベートの経験のあるハミルトン・バージェス、2年間休学していたものの、本が大好きなヘンリー・ロウがメインメンバー。

唯一の女性で、ディベートをするために転校をしてきたサマンサ・ブックとファーマー教授の息子、ジェームズ・ファーマーjr.が補欠の4人がチームとなります。

 

トルソンは、彼らにディベートのやり方や、発声の方法などを徹底的に教え込みます。彼らは頭角を現し始め、黒人の中では、敵がいないくらいになります。

トルソンがアメリカ中の大学に手紙を送って試合を申し込んでいます。そのうちに

白人の学校でもディベートを受けてくれるところも出て来ました。が、学内には入れて貰えません。牧場のようなところにテントを張っての試合です。

バージェスは、白人と戦うというところで、チームを抜けます。

 

保安官がトルソン教授の家に目をつけて、いつか逮捕してやろうとしているのを見て、怖くなっていたのです。

 

オクラホマシティ大学での対戦では、ヘンリー・ロウとサマンサ・ブックが弁士となって戦い勝利しました。

ファーマーjr.は、記録を撮ったり、弁論のための調査をして、チームに貢献していますが、弁士として出られないのに不満を持っています。

 

トルソンは、ダメ元でアメリカ全土にある大学にディベートの依頼の手紙を送り続けています。それと勝ち続けるワイリー大学に、興味を持ったのか、ミシガン大学やジョージア大学からも試合の申込が来ました。

 

喜びも束の間、トレソンが小作農を集めて組合を作っている首謀者として、保安官とテキサスレンジャーから拘束されてしまいます。

  *テキサスレンジャーは、映画「テキサスレンジャー」でボニーとクライドを

   追って活躍しています。

 

マーシャルの住民たちが保安官のところに押しかけている中、ファーマーjrのお父さんであるファーマー教授が弁護士テイラーとトレソンの妻を連れて抗議に来ます。

ファーマー教授に言い含められて、トレソンを条件付きで釈放します。

 

これらの騒動でトレソンはブラックリストに載ってしまい、いくつかの大学には断られたものの、同じテキサス州にあるプレイリービュー大学からオファーが来ます。

  *プレイリービュー大学 ワイリー大学からは、600㌔。近くの都市

   ヒューストンからも車一時間くらいかかる郊外の大学です。

   ここもテキサス州の名門です。

 

この大学に車で4人が向かう途中、黒人が木に吊るされているのを見つけてしまいます。とっさの機転でトルソンが学生たちに身を伏せるように言って、その木の下にいる白人の集団から逃げます。

 

しかし、学生たちの恐怖は治まらず、ロウは、宿泊先から逃げ出してしまいます。

本番の弁論では、サマンサ・ブックが出る事が出来ず、ヘンリー・ロウとジェームズ・ファーマーjr.が壇上に立ちますが、演題が、迫害に関することで負けてしまいます。

 

ところが帰ってみると、ハーバード大学から試合の申し込みの手紙が届いていています。

列車に乗る時になって、保安官が駅に来ているのを見たトルソンは、行かれない事をみんなに伝えます。ミシシッピ州ケンブリッジにあるハーバードは、州の外なので、釈放の条件外なので、行かれないが、ヘンリー・ロウがリーダーとなって頑張るように伝えます。

こういう時もまだ若いジェームズ・ファーマーが、いつまでも送る人たちを見ている様が痛々しいです。

 

この映画は、このジェームズ・ファーマーjr.の目が生きています。

どんなに弁論が上手でも、立ち向かう事に関して、まっすぐな目で見る若き弁士

一瞬で、不安とか戸惑いが見ている者にも伝わります。

このジェームズ・ファーマーjr.をやった役者さんは、ディンゼル・ウィテカーと言いますが、どちらの息子さんでもないそうです。

 

しかもこのあと、指導者を失っただけでなくいつもの方法で戦えなくなります。

いつにない歓迎を受けて、嬉しい気持ちと困惑

彼らの試合はどうなるのでしょう。

 

こういう時ばかりは、英語が解るともっと感動できるのではと思いました。

日本語訳は、意味が難しくて、巻き戻して字幕を見ないで観ました。その方が解るような気がしました。

 

 

このジェームズ・ファーマーは、この7年後1942年に人民平等会議を創設、公民権運動家となったそうです。ちなみにサマンサは、弁護士。ヘンリーは、牧師だそうです。

 

この映画で、ヘンリー・ロウ役をやったネイト・パーマーは、この後、

「バース・オブ・ネーション」(2016)の監督、主演をしています。バージニア州の奴隷が知識を得て反乱を起こした映画だそうです。彼の活躍も見守りたいです。

 

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