解説
実写版「美女と野獣」のダン・スティーブンスが“完璧な恋”を仕かけるアンドロイドに扮したラブストーリー。ベルリンの博物館で楔形文字の研究をしている学者アルマは研究資金を稼ぐため、ある企業が実施する極秘実験に参加することに。彼女の前に現れたハンサムな男性トムは、初対面にも関わらず積極的に彼女を口説いてくる。そんなトムの正体は、全ドイツ人女性の恋愛データ及びアルマの性格とニーズに完璧に応えられるようプログラムされた高性能AIアンドロイドだった。「3週間の実験期間内にアルマを幸せにする」というミッションを課せられたトムは、抜群のルックスと穏やかな性格、豊富な知識を駆使したあざやかな恋愛テクニックで、過去の傷から恋を遠ざけてきたアルマの心を変えようとするが……。アルマを「まともな男」のマレン・エッゲルトが演じ、2021年・第71回ベルリン国際映画祭で最優秀主演俳優賞を受賞。2人の実証実験を見守る相談員を「ありがとう、トニ・エルドマン」のサンドラ・フラーが演じた。ドラマ「アンオーソドックス」など監督としても注目を集める女優マリア・シュラーダーがメガホンをとった。
2021年製作/107分/PG12/ドイツ
原題:Ich bin dein Mensch
配給:アルバトロス・フィルム
何を隠そう、この映画は、ダン・スティーブンス目当てで観たのですが、
まずドイツ語が堪能でびっくりしました。ロボット役なので、難しい言葉も出てくるし、流ちょうに長セリフを言うのに、目を見張ってしまいました。
彼はインタビューで学校でドイツ語を専攻していて、
ドイツ映画『ヒルデ-ある女優の光と影』(2008)でもちょっとドイツ語を話したので、誰かの目に留まったのじゃない?みたいに言っていましたが、主役のヒルデの二番目の夫役だそうで、ドイツ人の役だったのでしょうか。
見た目もドイツっぽいかもしれませんが、彼は、色々な役をこなしていて、ほんのちょっとの役「ルーシー・イン・ザ・スカイ」や、顔がほとんど出ない「美女と野獣」にも出演していましたね。
この映画では、主役のアルマ(マレン・エッゲルト)がベルリン国際映画祭で最優秀主演俳優賞したそうですが、私はトム(ダン・スティーブンス)にくぎ付けでした。
ロボットらしい動きや、人間じゃないのと思わせられる動きをしてアルマを振り回します。いや、彼女は3週間という実験期間なので、最初はうっとおしく感じているのですね。彼女の上司から独身は彼女しかいないとのことでいやいや頼まれただけなので、最初は適当にレポートを出しておこうくらいの気持ちだったようです。
ところが彼女の気持ちに沿おうとするトムが完璧であればあるほど、嫌気がさしてきてしまうのです。
トムは、プログラミングに忠実なのか、ほんの些細なことからも彼女の気持ちを汲もうとします。
最初は、二人の出会いとか話し合った方がいいとアドバイスされたにも関わらず、無視をする彼女。
元彼が、彼女の部屋に残した絵を取りに来た時に、家に招待されたときに、トムは、
細かい情報から、出会いを作り上げます。
トムが彼女の理想に沿ったロボットであることは、後々解るのですが、そうなると
今度は別れが辛いですよね。
一度愛してしまったものを手放すのは、関心のないものを手放すのより、どれだけ辛いか。
そして、こんなに愛情を注げるものと出会ってしまったら、人間はどうなるのだろうか?
沢山の感想が出てくると思います。良かったら、ご覧になって観てください。


