呼び出し電話という落語がある。

まだ電話の普及率が少なくて、電話のない家がほとんどのような時代を切り取った落語だ。

唯一、電話のある家というのは、その呼び出し電話のために、電話を貸すだけでなく電話がかかって来たら、そのお宅まで呼びに行かなくてはならない。

そこの奥様が言うには、洗濯をしていたら、電話があって呼びに行き、

電話が終わって、洗濯をしていたら、また電話がある。一日中電話、洗濯、電話、洗濯なんだと旦那様に訴えるというシーンがあるのだが、

確かに、うちも呼び出し電話のお世話になったことがある。

思えば、うちのお隣は声優さんのご親戚のおうちで、はす向かいは、人気歌手(当時は変な格好して歌う人くらいの認識)のご実家。他もうちをのぞけば、金持ちそうだし電話くらいあったような感じで、もしかしたら、うちだけご厄介になっていたのかもしれない。

電話を利用すると、そこの家で、何かしら買い物をしてくるものだから、そっちの方が関心があった。

そう思うと、落語の中の家のように

遠くまで呼びにいくなんてことはなかったか、まだ私が幼児の頃の話かもしれない。

何しろ、3歳前は海馬が発達していないらしいから、記憶がない。

 

けれど、うちだって、その数年後には、電話があったと思うので、この呼び出し電話というのは、本当にちょっとの期間だったのだろうなと思う。

 

家電が普及したころ、好きな人が出来ると、家電にかけると親が出て、大変だったと言う時代もあって、これがある意味、家の中では、呼び出し電話かな?

家族が多いと、意中の相手を電話口に呼び出すのも大変だった時があったと言うのに

今は、スマホに電話すれば本人が出るという訳だ。

いや、それも進んで、メールやLINEでの応答で、そこで電話してもいいか了解を取らないとやはり生の声は中々聞けないのかな。

 

ところで、今はどうなのか解らないが電話を入れるのには、加入権とか言うのが必要で、色々と手続きが大変な時代があったのだろうか?自分でやらなかったせいでよく解らない。

親の家の電話も弟が止めてくれた。

手続きが大変と言えば、お米を買うのとかも米穀通帳とか言うのがあったらしい。

子供の頃、おばあちゃんが米穀通帳がないとお米が買えないって言っていた記憶がある。

思えば、世の中の進歩というのは著しくて、音楽を聴いたり録ったりするのも、レコードから、カセット、CD、MDと進歩して、最近では、スマホで録ってPCで聞いたらなんて言われる始末。

 

お孫ちゃんが落語が好きなのだけれど、落語って、こういう古い話題も多いのに、

楽しそうだ。色々なことを知らないと楽しめないのじゃないのかなと余計なことを考えながら、この落語を楽しんだ。