大林素子さんのライフワークの一つとなっている舞台、2009年の初演から主演の鳥濱トメ役として出演している舞台、11年目の公演が開幕しました。
 
 
 
大東亜戦争中、軍指定食堂だった「富屋食堂」を舞台に、特攻隊員達や、戦後やってきたアメリカ兵士達のドラマを鳥濱トメさんの視点を通して描く舞台。
 
あああ、、、なぜ、戦争が起きたのだろう。なぜ、若く未来ある男子が特攻隊(特別攻撃隊)にならなければいけなかったのだろう。切ない、悲しい、でも、これは本当にあった現実なのだ。
 
戦後74年、戦争を知らない人が増えている世の中、本当に起こった歴史を是非、多くの人に知って欲しい。
 
吉本芸人、ペナルティのワッキーさんは、2013年の公演から参加。特攻隊員役としてお笑いの活動とは違うシリアスな一面を見せています。今回の舞台でも迫力満点で泣かされました。
 
はんにゃ金田君、元陸上自衛隊で元弾丸ジャッキーのテキサスさんも出演。
 
オーディションで選ばれた俳優さんも含め、60名の舞台。
 
舞台のネタバレになりますが、見れば見るほど泣けるので書きます。
 
(ネタバレ注意の方はスルーしてください)
 
夢は、見事に特攻する事しかないと語っていた特攻隊員の遺書には家族への思いと夢が溢れていた・・・
 
恋人のマフラーを身に着け特攻する隊員・・・
 
日本の特攻隊に志願した韓国人の特攻隊員・・・
 
特攻の前日に入籍したいと言う願いを親に受け入れてもらえない隊員・・・
 
夫が特攻隊と知らずに訪ねてくる妻に隊員たちが嘘で繕うもわかってしまう・・・
 
お弁当を持って訪ねて来た母に、隊員たちが嘘で繕うも、「頭が悪くても息子のことはわかります」と泣く母・・・
 
父母が亡くなり、幼い妹を残して特攻しなくてはならない兄。「あしたはなにをしてあそぶの?」と妹に聞かれ、「明日、お兄ちゃんは大事な日なんだ・・・」と涙する兄・・・
 
プロペラの故障だと何度も引き返してくる特攻隊員はなじられ、殴られた。今、死ねない理由があった。あと1週間経てば昇進して、母ひとり子ひとりで育ててくれた母に最期の親孝行ができる。泣きながら隊長にお願いをした。警察署長は聞かないふりをしてくれた・・・
 
特攻隊員たちは「神様」と呼ばれた。
 
が、戦争に負けると、特攻隊員の写真や手紙は焼き捨てられた。けがらわしいと言われた。犬死にと言う者もいた。
 
悲しい、切ない、悔しい、けれど、起こった事は現実だった。
 
特攻隊の軍指定食堂だった「富屋食堂」が、戦争に負けたあと、アメリカ兵士達を受け入れなければならなくなった。
 
危なっかしいアメリカ兵士とトメさんの、言葉が通じないやり取りが唯一ほっこり・・・
 
危なっかしいアメリカ兵士がトメさんの身長を指摘・・・
 
かつて、兄が特攻に行き、残された妹、しーちゃんを演じた女の子が、大きくなって今回はトメさんの次女役で出演。
 
かつて、こにたんこと、小西博之さんが演じて渋みが深かった警察署長役の藤森太介さんもとても印象に残りました。
 
堀川隊員のお母さん役の野田佳代さん、お姉さんも泣かせました。堀川隊員が特攻の前日に生けた花を抱きしめるお母さん。生まれたての我が子を抱きしめている様に涙が止まりませんでした・・・
 
ワッキーが残してゆく奥さんを演じた方、どこかで見覚えが・・・と思ったら、アパホテルのミスコンの審査員をされていた、2002年準ミス・インターナショナル日本代表の鳳恵弥(おおとりえみ)さんでした。私の頃は、ミス・インターナショナル、ミス・ワールド日本代表大会だったので出身は同じ(私は準ミス・ワールド)
 
特攻に出るワッキー、追う奥さん。ワッキーが敬礼をすると、深くおじぎする奥さん。そして、微笑み合う二人。まるで本当の夫婦のようでした・・・
 
初日、千秋楽は完売との事です。いっぱい泣いて、心の洗濯をしました。
 
 
【東京公演】2019年5月2日(木)~ 6日(月・祝)
新国立劇場・小劇場
 
脚本・演出:藤森一朗
 
出演:
大林素子 / 佐々木絵梨花 / 金田哲(はんにゃ) / 薫太 / 塩崎こうせい / 鳳恵弥 / 塩出純子 /鈴木聖奈 / 小林萌夏 / テキサス / ワッキー(ペナルティ) / 他
 
 
2019年6月2日 (日)豊田市民文化会館 小ホール
 
2019年6月4日 (火)浜松市勤労会館 Uホール
 
大林素子ブログ

https://ameblo.jp/motoko-oobayashi/

 

大林素子さんはトメさんそのもの。特攻隊員隊お世話をして、戦争に負けたからとアメリカ兵士を受け入れなければならない葛藤、良からぬ噂、娘たちの葛藤、、、アメリカ兵士を見て、本当に戦争って何でするのだろうと思いました。皆、この世に生を受けた時はオギャーと赤ちゃんとして生まれ、大きくなって、なぜ、兵器を作るのでしょう・・・

 

鳥濱トメさんのお孫さんのお店、新宿の『薩摩おごじょ』に行きたくなりました。いえ、行こう。