調査日誌(勉強中)195日目 -大正5年に浪江駅で取り扱った荷物- | 『大字誌 浪江町権現堂』(仮)編さん室、調査日誌

『大字誌 浪江町権現堂』(仮)編さん室、調査日誌

2021年3月12日より『大字誌 浪江町権現堂』(仮)を刊行すべく活動をはじめました。

2021年9月23日。

 

浪江町大字権現堂について勉強中の西村慎太郎です😊

前回は近代以降の林業と浪江小林区署、または製材所について確認しました。内陸から多くの木材が運ばれて、東京などに輸送されたものと思われ、今後、その具体的な生産から流通までを検討できる資料があればと願っています。

流通という点でいえば、石井清巳『現今之浪江町』(石井清巳、1918年)に大正5年(1916)の「浪江駅乗降人員及重要貨物発著(ママ)調」が掲載されています。この統計表を見ることで当時の浪江駅での流通の一端を見ることができるので、今回はこれを検証してみたいと思います。

 

乗車人員 60,714名

降車人数 60,196名

ちなみに東日本旅客鉄道(JR東日本)の「各駅の乗車人員(2010年度)」によれば1日平均734名です。

東日本旅客鉄道「各駅の乗車人員(2010年度)」

 

※以下、発噸数/著噸数として記載。発噸数とは輸出トン数、著噸数とは輸入トン数のこと。

 

米 370/58

麦 0/189

大豆 0/181

食塩 0/254

砂糖 62/243

和酒 123/165

陶磁器 401/12

鉄及銅 14/21

木炭 3,212/0

木材 11,678/1705

煉瓦 0/11

石油 0/35

石炭 0/300

人造肥料 20/298

豆粕 22/172

海産肥料 0/5

其他肥料 96/311

生鮮魚 38/3

塩干魚 19/127

繭 384/47

綿布 0/51

牛 2/2

馬 231/24

飲料水 0/3

生果 64/151

甘藷 11/104

味噌醤油 0/152

土器 0/26

セメント 0/47

薪 63/7

麦粉 0/145

落花生 0/10

野菜 0/10

 

まず、食料品でいえば、米は輸出が370トンと非常に多いですが、他は輸入が多いことがうかがえます。塩や味噌・醤油といった調味料の多くは輸入されており、浪江周辺ではこれら調味料が自家製ないしは鉄道輸送を伴わない規模の流通、あるいは外部からの輸入に頼っている様相がうかがえます。この点、鉄道輸送を伴わない規模の流通についてはこれから検討してみたいと思っています(これについては一次資料の当てがあります😄)

 

魚についてはあまり多くないですね。ちょっとこれは意外に少ない量で、請戸港で水揚げされた魚は鉄道を用いて運ばれたと評されており、大正5年段階ではまだまだ大規模な輸送になっていないということでしょうか。

 

その点、格段に量が多いのは、やはり木炭の3,212トンと木材の11,678トンですね。内陸の村々の生業と、浪江での製材の重要性がうかがえます。

 

これらの輸送を担った運送店が『現今之浪江町』の巻末広告に記されていて、水越運送店・金澤運送店・齋藤運送店が確認できます(9頁)。今回の資料はすでに表化されているものでしたが、浪江駅での輸出入の様相の一端は分かるものと思われます。ぜひ一次資料があるようなら分析してみたいところです😄