バチコーーーーーーーン!!!!!!


モノ凄い衝撃音が会場に響き渡った。

立ち上がる長谷川の足元はグニャグニャ・・
レフェリーの手が大きく交差されたのは当然だろう。
水を打ったみたいにシーンとなったのが印象的だった。


昨晩のボクシング3大世界タイトルマッチ。
当初東京両国国技館での開催予定だったが、
東日本大震災による原発事故が原因の計画停電と自粛により、
開催地が神戸ワールド記念ホールに変更となった。


地元神戸での開催。
しかも震災チャリティーマッチとして行われるとの事。
そして何よりも長谷川×ジョニー・ゴンサレスと云うマニア垂涎のカードだ。
これも何かの縁だと直感し、即座に観戦を決めた。
ボクシングファン歴60余年。新開地に駐屯していた進駐軍の草拳闘も観戦していた
筋金入りでもある義父も一緒だ。


シトシトと降りしきる生憎の春雨の中、
急遽変更された神戸での開催にも関わらず会場は満員。
5千円の一番安い席だったが、丁度赤青コーナーの対角線で
非常に見やすくラッキーであった。

粟生・西岡とノックアウト防衛が続き、大トリの長谷川の出番を待つ間、
一緒に観戦に来た義父がしきりに



『長谷川はちょっと危ないな。ゴンサレスの一発が・・』


と言っていたのが気になったが、私はまあ勝つだろうと見込んでいた。
しかしゴングが鳴り、長谷川とゴンサレスが対峙したのを見た瞬間、
まずフレームの違いに驚いた。

ゴンサレスがこちらに背中を見せると、向こう側の長谷川がスッポリと
隠れてしまうのだ。
そしてゴンサレスのリーチ。テレビで観るよりも長い。
まるでカマキリの様だ。

自分の見込みが外れるかも・・と思ったのは、
1ラウンドを終了してオヤオヤ?と感じた長谷川の動き。


硬い。


緊張のせいもあっただろう。
震災チャリティーマッチの大トリ。しかも前の2人が快勝していた
だけに余計ケチはつけられない・・
そう思って当然だ。

でも私が感じたのは、そういった硬さよりも階級を上げ筋肉が付き、
パワーアップしたことによる硬さだ。

かつての様にヨコの動きが無い。フットワークも無い。

常にゴンサレスの正面に立っている。

パンチを放ったあと、以前ならクルリッと相手のサイドに廻り込み、
反撃をさせなかった。
今回の相手は西岡に倒されたとはいえ、百戦錬磨のハードパンチャー。
正面に立ち続けるのは危険極まりない。

長谷川もそれは当然判っていて、そうしようと頭の中では考えていたの
だろうが出来なかった。
そして、危険な刺し合いをしている間に、
とうとう一番喰らってはいけない右の爆弾を浴びてしまった
・・。
私の勝手な推測だが、そんなところではなかろうか?


いずれにしても1年前の大一番、モンティエル戦での敗戦と、
今回のゴンサレス戦の敗戦とでは、
内容も意味合いもまったく異なっている。
前回の敗戦は紙一重。今回の敗戦は完敗だったと私は感じる。
公式ジャッジでは三者とも長谷川リードだったが・・。

単なる調子の悪さ以上の何かを感じた。


被災地への元気付けとして結果は残念であったが、
ボクシングの面白さ。一発の怖さ。
いつも上手くゆくとは限らない。

時には負けることも、倒されることもある。

長谷川が体現してくれたボクシングは、
人生にも通じる強烈なメッセージになったと思う。



最後に見事な勝ちっぷりを披露してくれた粟生・西岡は勿論、
桜の様に吹雪いて散った長谷川へ伝えたい。
本当に観に行って良かった!
ボクシングの真髄を堪能させて貰った、と。
彼らが強かったからこそ、世界の1流どころをこの目で
観ることが出来た。



ゴンサレスの右だけでゴハン5杯は軽くイケる!!!


とにかくその功績は計り知れない。
今はただただゆっくりと休んでほしい。



こんな夜はまっすぐ帰って眠るには惜しい。
興奮冷めやらぬ2人で雨止まぬ夜の三宮へ。


そして最終バスに乗り遅れ、身重の妻に遅い帰りを怒られた・・。


肉・肉・飯・飯・菜・魚・魚 ~ベジタリアン始めました。~
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