素朴な夫は、安倍総理が粘着してる憲法9条改正案のニュースを見て「日本は憲法9条で武力を持つことを禁止している。だから自衛隊は違憲だろ?だから憲法に自衛隊明記するのはいいんじゃない?」と小学生並みのことを言っていました。

 

 

群青さんの憲法関連の記事を一部転載させていただきます。

 

 

 

 

《以下一部抜粋》

 

●憲法学者・木村草太さんによる「9条改憲」の争点

全国保険医団体連合会の2018年4月5日全国保険医新聞。インタビュー記事だそうです。一部抜粋いたします。

 

image

 

 

 

◎9条に「自衛隊」、真の争点は任務の範囲

 安倍首相は年内の改憲発議を目指しているが、公文書改ざん問題で内閣支持率が低下する中、見通しは不透明だ。憲法学を専門とする首都大学東京教授の木村草太氏に、憲法学者として今の改憲論議をどうみているか、9条の意義、憲法と医師・歯科医師のかかわり、政権の政治手法の問題点などを聞いた。

 

▲攻撃ない段階の武力行使認めた安保関連法

杉目 安倍首相が改憲しようとしている現在の9条には、どのような意義があるのでしょうか。

木村 現在の政府解釈は、「9条はあらゆる武力行使を禁止する文言だ」との理解を出発点にした上で、「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」と規定する13条などを根拠に、国民を外国の武力攻撃から守るための武力行使は「9条の下での例外」として認められるとしてきました。他方、外国の防衛を援助せよと書いた憲法の条文はありませんから、2014年7月1日の閣議決定までは、政府は、集団的自衛権(※1)の行使や、国連の安保理決議に基づく集団安全保障措置(※2)への参加を基礎付けることはできないとしてきました。

 

原則として武力行使一般を禁止し、明確な憲法上の根拠がない限り例外を許さない。

 9条は、こうした形で、日本政府の武力行使を厳しくコントロールしてきました。

 これについては、先進国の日本は、武力を使った国際貢献に参加すべきなのに、9条がその障害になっていると批判する人もいます。しかし、武力行使をしないからこそできる国際貢献もあるでしょう。世論調査を見る限り、積極的に武力行使に参加できるように9条を改正すべきだという声は、強くありません。

 

杉 安倍首相がおこなおうとしている改憲は、9条2項はそのままにして自衛隊の存在を書き込むというものですが、現行憲法の下では、自衛隊はどのような位置づけなのでしょうか。

木 先ほどお話したように、日本が武力攻撃を受けた場合に、自衛のための必要最小限度の武力行使をすることは9条の下でも例外的に許されるとされます。

政府は、国内の防衛は行政事務の一つだと説明しており、自衛隊は行政組織と位置付けられています。行政組織なので行政のトップである内閣総理大臣が最高司令官になるし、その活動も、行政に関わる憲法規定で統制されるということです。

杉 2015年に成立した安保関連法で、自衛隊の権限は大幅に拡大されましたが、その際の議論では、「立憲主義」の言葉がよく使われました。

木 憲法は、過去の国家権力による失敗、特に「戦争」「人権侵害」「権力の独裁」の三大失敗を反省し、それを繰り返さないために、人類の英知を集めたルールです。こうした憲法に則って政治を進めることで、人権を守り、権力乱用を防ごうというのが立憲主義です。

杉 保団連は、平和は医療・社会保障の大前提であるという立場から安保関連法に反対しました。憲法違反だという多くの意見があるにもかかわらず、可決・成立しました。

 これは立憲主義に反するのではないでしょうか。

木 安保関連法では、いわゆる「存立危機事態」(※3)の場合に、集団的自衛権の行使を認めています。しかし、日本の存立危機とは、日本が武力攻撃を受けている事態を意味すると理解するのが自然ですから、個別的自衛権(※4)で対応すればよいはずです。

 ところが政府は、日本が武力攻撃を受けていない場合でも、「存立危機事態」が認定でき、集団的自衛権を根拠に武力行使ができると説明しました。これは、「存立危機事態」という文言の理解としても不自然ですし、日本が武力攻撃を受けていない段階での武力行使は憲法9条に違反すると、私を含めて多くの憲法学者が考えています。

(中略)

 

▲国民だます改憲手法

杉 安保関連法で自衛隊の権限は大幅に拡大しました。なぜ改憲をしてまで、自衛隊を憲法に書き込みたいのでしょうか。

木 安倍首相は、日本国憲法の内容に不備があるから改憲したいというより、改憲の事実をつくることにこだわっているように見えます。だから、改憲しなければならない理由が不明確になり、改憲したいという情念だけが前面に出てしまうわけです。

 自衛隊を書き込むだけだと言えば、公明党など他の党も賛成しやすいし、国民投票でも可決しやすいと考えたのだと思います。

杉 この改憲案を、憲法学者としてどのように評価しておられますか。

木 自衛隊の明記に賛成の人でも、①「個別的自衛権の行使までの自衛隊なら賛成だけど、集団的自衛権には反対」という人と②「集団的自衛権まで認めてもよい」と考える人がいます。ただし②集団的自衛権まで認めてよいと考える人は決して多くないので、「集団的自衛権の明記」を発議すると否決の可能性も高い。

 安倍首相は、自衛隊がどこまで武力行使ができるかを曖昧にして、「今ある自衛隊を書き込みます」という言い方をします。この言い方なら、①個別的自衛権までは認めてもいいと思っている国民も賛成に回るかもしれません。しかし、自衛隊明記が可決されれば、安倍首相は、「集団的自衛権も行使できる自衛隊が、国民投票で承認されました」と言い出すでしょう。これは、国民をだますような卑怯なやり方です。

 マスコミも世論調査で「自衛隊明記に賛成か」ということばかり聞いていて、「集団的自衛権の容認に賛成か」という質問はしません。メディアが、改憲論議の争点を見抜けていないと思います。

 私は国民投票をするなら、自衛隊の任務の範囲を明確にした上で行うべきだと思います。その際の争点は、集団的自衛権の行使容認の是非です。

(中略)

 

※1 集団的自衛権 武力攻撃を受けた被害国からの要請に基づき、被害国の防衛のために武力行使をしてもよいとする権利
※2 国連の安保理決議に基づく集団安全保障措置
国連加盟国が、侵略国などに対し、安保理決議に基づいて措置をとること。1991年のイラクのクウェート侵略に対する多国籍軍の武力行使(湾岸戦争)など
※3 存立危機事態
我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある」事態。安保関連法で集団的自衛権を行使できる前提条件とされている
※4 個別的自衛権 他国からの武力攻撃を受けた国が自らの防衛のための武力行使をしてもよいとする権利

 

《転載以上》

 

 

夫や周りの人に説明するのに、忘れないように保存しておきたくリブログさせていただきました。詳しくは群青さんの記事をお読みください。