駅の改札口で  - 目は口ほどに - | 。。。 かお♪ 。。。  

。。。 かお♪ 。。。  

八好(すがぽん)流マイム埼玉教室
①12/3 稲荷山公園駅前サピオ2F          

         私は定期券が好きだ。

        改札で入れた定期がピュッと出たのを取るのが好きだ。


        

        前日で定期が切れて、この日は回数券で乗車した。



        改札を出る時、「ああ、今日は出ないんだなあ」と思った。


        ところが、何と、出てきたではないか。立派な定期券が!


        

        え~! え~?

        後ろの人が待ってるので、その定期を取りあえず手に取った。


         なあに? どういうこと?

         こんな不思議なことが、あるだろうか?




         そんな不思議なことは、ないのだ。


         誰かが取るのを忘れたのだと気づいて、すぐ駅の事務所へ向かおうと

         した。…が、待てよ。

         私の前の人なんだから、その辺にいるはずだ。


         名前は?と見ると、「テラ○○・・・」と男性名。大勢の後ろ姿の中の一人に

         違いない。


         私は意を決して、大きい声を出した。「テラ○○さ~ん」



         すると、10mぐらい先にいた中年の男性がクルッと振り返った。


         私は、「ほらね」という感じで、定期を見せながら近づいていった。 

    


         その人は、「ああ、どうもありがとうございます。」と言って、・・・

         という具合になると想像していた。



         ところが、だ。

         

         私は、ここで、「目は、口ほどにものを言う」というのを体験した。



         その人は、カッと目を見開き、私を凝視した。


         そして、その目から、はっきとりと次の言葉が、私に向かってきたのだ。


  

         「何デ 俺ノ 名前ヲ 知ッテンダ!」



         私は、「だって、定期に書いてありますから」と言いたかった。


         が、もし言ったら、その人は余計に驚くだろう。


         私は、何も言わずにハイッと定期を渡し、また歩き始めた。




      ***********************かおん***