お寿司屋さんのカウンター
「お寿司屋さんのカウンターにテラゾーを使おうかと考えているんだけど・・・」
そんなご相談を設計事務所様からいただきました。
お寿司屋さんのカウンターといえば、よくあるのは銀杏や檜のカウンターですよね。
それをお寿司屋さんにテラゾーのカウンター
個人的には今ひとつイメージが湧きませんでした。
しかし、設計事務所様からいただいたデザイン図面を見てみると「へーーーー、面白いデザインだなー」と。
そしてまずはサンプルを作ることになりました。
サンプルがこちら、
白いカウンターにしたいとのことで、白大理石を使用。
横から見るとこんな形
カウンターの鼻先は、丸みを帯びて尖った感じ、プラス反対側はRで立ち上がっているという、技術的にはなかなか難易度の高い形状。
さらにこのカウンター平面図を見るとわかりますが、全長およそ7メートルでへの字の形をしています。
これを一枚板のシームレスで作るという、なかなかの難工事。
その後の設計事務所様との打ち合わせで、私からひとつ提案をさせていただきました。
「お寿司屋さんなので、貝殻を入れてみてはいかがでしょう?」と
「それ、面白いね!!」と言っていただき、早速サンプルを作成
設計事務所様、オーナー様共によろこんでいただき、テラゾーの仕様が決定。
そしていよいよ現場乗り込みです
木製の下地は動きやすいので、グラスファイバーメッシュを全面に伏せ込んだ下塗り材を一層入れ、ひび割れ防止対策を施します。
下塗り乾燥後、塗りつけ作業です。
塗り継ぎできないので、一気に塗り上げていきます。
その後に続いて設計事務所の担当の方が登場し、貝殻を撒いていくのです〜
カウンターの全面に貝殻を入れるのではなく、貝殻をランダムに見せるという作戦。
続いて撒いた貝殻を、テラゾーの中に伏せ込んできます。
こうして塗りつけ完了
乾燥後、表面を削り始めると、貝殻が中から出てきました〜
ここからおよそ7工程にわたり研磨作業で磨き上げていきます。
そして最後に、特殊な浸透性撥水材を塗布して完成です。
結構知らない方がいらっしゃいますが、テラゾーは基本、セメントと大理石を混ぜ合わせて作られます。
セメントも大理石も主原料は石灰です。
石灰はカルシウム由来の素材のため、水を吸ってしまう性質があり、大理石は基本的に外部や水が多く使われるところには不向きと言われています。
当初、カウンターにテラゾーを採用するお話をいただいたとき、私が心配したのはお酒やお醤油などが染み込まないかということ。
なので、カウンターのサンプル板を提出した際、「当社でもテストして問題ないと確認しておりますが、念のため、オーナー様の方でもお醤油などを垂らしてみて、ご確認ください」とお伝えして事前確認をしていただいておりました。
こうして無事に施工完了
先日、お店がオープンしたということで、伺ってまいりました。
じゃーーーん
今までのお寿司屋さんの概念を覆すようなデザイン
付け台の部分はガラスが置かれ、さらに下から照明が当てられていて光る仕組みになっていて、
お寿司が乗せられる器もアクリル製のものを使い、透けているのが面白かったです。
貝殻も大きさも大小さまざま、ランダムに見えていてお寿司をイメージさせていい感じでした。
端部の収まりもいい感じ。
への字のシームレスカウンターのコーナー部分もいい感じ。
壁から天井に巻き込むように竹が張り巡らせれていて、洋風に見えそうなディテールを和を意識させるような使い方をしていると私は感じました。
デザインの力ってすごいですね。
お寿司も大変おいしかったです。
こちらのお店、オープンはしているのですが、まだあまり公にしていないと御店主様がおっしゃっておりましたので、今回、お店の詳細はご案内いたしません。
お世話になりました、ありがとうございました。