追い詰められていく・・
こんにちは。広報Mです
出発日まで残り10日、2日間競技の通し練習も残りわずか3回となりました。
残り3回のスケジュールは
(月曜・火曜)で、リハーサル1回目
(水曜・木曜)で、細かな修正をしながら通し練習
(金曜・土曜)で、最終リハーサル。最終リハーサルが終わり次第、道具の発送の準備を行う。
(日曜)に、大会前最後の休み。
(月曜)には、道具の発送という予定。
さらにこの期間の中で、未だに決まっていない自由課題のデザイン、施工法、材料の配合の決定も行わなければならないという、
今思い出すだけでも息が詰まるようなスケジュール。
月曜日、1回目のリハーサルがいよいよ始まります!
作業台や棚の配置も大会とほぼ同じようにセッティングして、万全の準備です。
『第一モジュール開始してください』
いつもの合図でリハーサルはスタート!
リハーサルなので、社長も大会同様の見学位置から見守ります。
私は自分の出番(材料練り、洗い物)以外は隣の建物の研修センターに移り、自由課題の材料の配合を研究していました。
ひと段落がついたので、リハーサルが心配で道場に戻ると
ちょうど、競技中に必ずとらなければならない10分間の休憩時間で、社長と泰喜さんが何やら話し合っていました。
何と❗️リハーサルでも、また問題が発生していたのです
モールディングに亀裂が入っていたのでしたー
『えぇっ!!まだ、問題起きなきゃダメなの〜!?』
モールディングは何度も改善して、問題は起きなくなっていたので、まさかリハーサルで割れてしまうなんてありえない・・・。
このギリギリ待ったなしのスケジュールの中での、重大なエラー発生。
社長も泰喜さんも、かなり緊迫した雰囲気。
泰喜さんの『いやぁ〜〜〜』という声が道場に響きます。
しかしこの10分の休憩時間では、原因がはっきりせず、リハーサルはそのまま続行することに。
休憩前に仕上げていたもう一種類のモールディングを作業台から取り外そうとすると、
ボキッ。
もう一種類のモールディングも折れてしまったのです。
ここで社長が『何かおかしい!一回辞めよう!!』と言い、1回目のリハーサルが中止となりました。
『二種類のモールディングが両方とも割れるということは、施工方法の他に何か問題があるはずだ。この原因を見つけよう』と言う社長。
社長は問題があると「エラーに偶然はない、必ず原因がある!」と言い、原因を徹底的に見つけます。
今までずっとやってきて起きなかったのに、なぜ今回出たのか?
モールディングの断面を見てもおかしくないし、施工方法もいつも通りだったようだし・・・
『もしや!』
『作業台に問題があるのでは?!』と、作業台を確認します。
作業台を指で強く押すと、ほんのわずか台が歪むことを社長が発見
『なんだこれ!作業台のベニヤ板動くぞ!!』と社長。
実は前日「リハーサルに向けて完璧な段取りを作ろう!」と泰喜さんと私で、作業台がほんのわずか水平ではなかったことを見つけ、その微調整のために作業台のベニヤ板の間に薄いパッキンを挟んだのですが、逆にそれが原因で歪みを生んでいたのでした。
『パッキンを挟んでいたのか!』と驚いた様子の社長。
泰喜さんと私は、水平ばかりを気にしていて、作業台を押した時の歪みの有無は確認していませんでした。
より良い精度のために良かれと思ってやっていた事が、重大なエラーの原因になっていたのです
まさか、まさかのエラーでした。
この状態では今後の作業も上手く出来ないので、1回目のリハーサルはここで中止し、作業台の天板を剥がし調整をし直すことに。
したがって計画したスケジュールが狂ってしまったので、今後のスケジュールを再調整しなくてはなりません。
『泰喜、今後の予定はどうしたい?』という社長からの問いかけに
『日曜の休みを削って、明日もう一度リハーサルをしたいです。』と泰喜さん。
「そっか、大丈夫か休まなくて」と社長。
「大丈夫です!!」と泰喜さん。
「了解!日曜日は俺も来れるから」と社長。
とにかく二人とも必死です。
翌日火曜日、全てをリセットして再度1回目のリハーサルがスタート
もう失敗できないという思いからか、泰喜さんからはいつも以上の気合いというか気迫のような凄さが感じられました。
その時の写真を振り返っても、それが画面を超えて伝わってきます。
作業台を改善して臨んだ、リハーサルのやり直し。
無事に石膏置き引きのモールディングはひび割れることなく完成しました!!
午前中の作業が無事に終了。
「よかったーーー」とホッと一息。
社長は、この日の午後から東京出張の予定が入っており、午後からの作業は泰喜さんと私、2人のリハーサルとなりました。
「何も問題なく終わりますように・・・」と私はただただ祈る気持ちで作業を見ていました。
そして、やり直しのリハーサルが全て無事に終了しました
良かったーーーーーー
出来栄えも良く、『きれいですねー!』と満足する私とはかわって、
『これじゃ敢闘賞だな』と自分の出来に厳しい目で振り返る泰喜さん。
どこまでもストイックです。
翌日、リハーサル2日目
第2モジュールスタート!!
社長のいないリハーサル。
室内は『ピーーーンッ』と張り詰めた空気の中、泰喜さんの作業する音だけが聞こえ、私の呼吸音も忍びなくなるような空気感。
第3モジュールのスピード競技も順調にクリア
第4モジュールの仕上げの塗り壁もキレイに仕上がっていきました。
こうしてリハーサル1回目の2日間の全ての作業が無事に終了!!
翌日、木曜日
朝、出張から戻って来ていた社長は
泰喜さんの準備が整うと、待ちきれなかったように
「スピード競技さ、もっと早くなる方法見つけたよ!!」と子供のように嬉しそうな顔で、泰喜さんに伝えます。
「これをこーしてさ、こーするとさ、な!!もっと時間稼げるだろ!!」って話しているんです。
社長は出張中でもずーっと五輪のことを考えていたらしく、『これ以上は早くできないね』と話をしていたはずのスピード競技の改善案を発見していたのです。
最終リハーサルも含めて、残りの通し練習は2回しか残されていない状況での作戦変更、それをまた見事に対応する泰喜さん
凄すぎる・・・
私はというと、泰喜さんが作業をしている間に、自由課題の材料の配合を研究しにいきます。
他の空いている時間は、小道具作り。
それぞれが、限られた時間を技能五輪のために必死に過ごしていました。
金曜日。
この日、昨日社長から提案のあったスピード競技の新しい作戦を試しました。
すると、社長の思惑通り、新しい作戦が上手くいき、スピード競技の時間はさらに短縮
『この作戦はいいね〜。』と嬉しそうな社長と泰喜さん。
こうして、スピード競技の施工法は最終リハーサルの前日に決まったのでした!!
ギッリギリですよね
しかし、この土壇場での改善が、競技で大きな結果を生むことになるのです!
最終リハーサル。
この日は道場内は異様な緊張感に包まれていました。
「最後の一回だね」と社長が泰喜さんに。
その言葉を聞いて、私も超緊張状態に
ここまで来ても社長はまだ新たな要求を泰喜さんにしてきます。
「出来上がりだけではなく、組み上げる前の材料の置き方ももっと美しくした方が良い」と。
「わかりました」と、それに答える泰喜さん。
「どこまでやるの? この2人は変態だ。」
無事に午前午後合計6時間の第一モジュールが終了ーーー。
これでも「お疲れ様ーー」とはなりません。
また社長がさらなる改善点を見つけ、泰喜さんに提案。
たった1ミリの精度について『あーでもない、こーでもない』と、ここまで来ても二人でやり合っているのです。
ほんと年齢や立場を超え、2人は一体のようでした。
翌日の日曜日。最終リハーサルの最後の日。
この日は、仕事が休みの日にも関わらず、
健太郎さんと、喜平さんも応援に駆けつけてくれました。
必死に最終リハーサルを行う泰喜さんをじーーーっと真剣に見る喜平さん。
日曜日にも関わらず、五輪の練習が見たくて道場に足を運んだ喜平さんは、自分が塗っているイメージを持ちながら見ているようでした。
私を含め、四人の熱い視線に見つめられる中、大きな問題もなくようやく最終リハーサルを終えることができました
私には無事に最終リハーサルを終えたように見えましたが、
最終リハーサルを終わってもなお、相変わらず社長と泰喜さんは「あれがこう」とか「いやぁ〜〜」とかやり合っていました。
「ちょっとちょっと、もう時間がないですよ」と私の心の声。
だって、
最終リハーサルが終わり、午後からは荷物をまとめて、明日宅急便の引き取りに間に合わせなくてはならない。
さらに、まだ自由課題の最終決定がされていないし