飛濤亭
前回のブログでもお伝えしたように、土のサビは土の中の鉄分が反応して出てくるので、鉄分が含まれていない土壁はサビません。
しがたって、土壁がすべてサビるわけではありません。
書院造りなどの広間のお茶室は土のサビはタブーで、いつまでも美しさを保っていなければなりません。
京都に行くにあたり、今実際に見ることが出来るサビた土壁を調べました。
京都の有名なお茶室はなかなか現物を見ることが出来ないのです。
その中で一件、どうしても見てみたいお茶室がありました。
それは仁和寺にある飛濤亭(ひとうてい)というお茶室でした。
仁和寺のホームページを見てみましたが、やはり飛濤亭は見ることが出来なさそうでした・・・
そこでダメ元で仁和寺に直接お電話をさせていただき、私の思いをお伝えしたところ、
なんと!
見せていただけることになったのですーーーー
というわけで仁和寺に到着し、お寺の方にご案内いただきました。
こちらが飛濤亭です。
外部は風雨に晒されるので、土壁がかなり傷んでおりました。
黒いサビが土壁に出ていて、スサが浮き出ていて、傷んでいても美しい・・・
さらに詳しく調べてみると、過去の修理の結果、茶室内外の壁に赤土を薄く塗った跡があり、天井や鴨居などの木部から
ベンガラと見られる赤い顔料が検出されたとのこと。
すなわち、土のままではなく、土に着色をして仕上げられていることがわかりました。
上の写真を見てもわかるように赤色の土が残っているのがわかります。
そしていよいよ内部の土壁を見せていただくことにーーーー
ところが、大変残念ながら、内部は写真撮影禁止でした。
というわけで、みなさんには、内部の土壁の写真をお見せることが出来ません。
お茶室の障子を開け、内部の土壁を見ました。
写真で見てすごいなーーーと思っていましたが、正直、言葉になりません・・・凄すぎて・・・美しすぎて・・・
表現する言葉が見つからない壁でした。
この飛濤亭を紹介していたある本によると「壁は錆壁で塗られ、藁スサが露出し、西面や南面から夕陽が射して壁面が黄金色に見える」と書かれてありましたが、それがわかる気がする。
ただただ、じーーーーーーーっと壁を凝視し、目に、心に、魂に、その壁を焼き付けてきました。
この壁をモデルとして「美しくサビた土壁」を作る研究をしようと思っています。