命がけの奇跡と、なにもやらなかった30分間の後悔
昨日のつづき・・
9月25日月曜日![]()
いよいよ全国左官技能競技大会の成績発表です。
朝、無事に課題を終えられたことに本当にほっとしていました。
では成績発表です!
篠岡君、なんと
4位入賞でした〜![]()
素晴らしい〜![]()
本当によく頑張りました![]()
ほんの一ヶ月ちょっと前には真剣に辞退を考えるほどの状況からのこの成績はある意味奇跡です。![]()
篠岡君の命がけの努力がこの奇跡を生み出したのだと思います。
本当にこの一ヶ月間、よく耐えました。
「命がけ」なんて言葉、私あまり使わないのですが、今回は篠岡君は本当に「命がけ」でした。
地獄の特訓から二週間ちょいした9月2日のことでした。
この日は朝から塗り壁の行程。
壁を塗り始めて15分くらいした時、彼の様子がおかしい・・・
肩で息をして、はぁはぁ言いながら壁を塗っているのに気がつきました。
しばらくほおっておいたのですが、はぁはぁ息づかいが荒くなって来ました。
そして、背中を見るとびっしょり汗をかいて、制服にシミが上がっている…
「どうした?具合悪いのか?」と私。
「いえ、大丈夫です」と彼。
「大丈夫じゃねぇだろ!」と私。
「・・・・」篠岡君。
「そんなゼイゼイいってて、どうしたのか言え!」と私。
「・・・・ここのところずっと寝られなくて・・・」と彼。
プレッシャーからなのか、私のせいなのか、夜眠れなくなっていたのです。
これだけ朝早くから夜遅くまでお昼ご飯食べる以外、一切の休憩無しでハードなトレーニングしているのにそりゃ寝なけりゃ本当に死んでしまいます。
それでも彼は塗り続けようとしました。
結構、危険な状態だったと思います…
「お前・・・そんなに頑張って・・・そんなに大変だったのか・・・少し休もうか?」![]()
なんて言うはずありません。
「お前さぁ、なに甘えてんだよ!寝れなくて具合悪いんです・・なんて・・・どこまでガキなんだーーーーーー
」
「絶対に毎日トレーニングしなきゃ間に合わないのわかるんだろ!寝れなきゃ酒飲んででも、それでも寝れなきゃ睡眠薬飲んででも寝なければ!ってなんで考えねぇんだ、この×△□×ーーーー」![]()
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「今すぐ壁剥がして、材料片付けて帰れ! んでもってすぐに病院行って睡眠薬もらってきて、布団入って寝れなくても横になって、夜睡眠薬飲んでとにかく寝ろ!!」![]()
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「もし、もらえなかったら困るから、帰りに事務所に寄って俺の睡眠薬置いておくから持って行け!」と私。
「俺だって仕事の事考えて眠れないときなんてしょっちゅうあるんだよ!でも、寝なきゃ仕事のパフォーマンス落ちてだめだと思ったらどんな手段使ってでも少しでも寝る努力すんだよ!!
お前はそれだけ今まで真剣に仕事に打ち込んでなかったんだよ!」
「今までのお前の生き方の結果なんだよ、だから技術の前の生き方変えなきゃだめだって言ってんだよ、この×△□△ーーーーピーーーープーーーー![]()
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」
地獄の特訓期間中、唯一のお休みがこの1日でした。
翌日から彼は睡眠薬を飲みながらトレーニングしてきました。
「人が目的のために命をかける」ってことは、それを達成するためにはどんなことでも、それがどんなにやりたくなくいことでも、必要であれば何でもするんだっていうことだと思うんです。
それぐらいじゃなきゃ、優れた結果なんて出せるはずがない。
厳しすぎるという意見もあるかもしれません。
でも、ここで仮に優しい声かけて休ませて、最終的に結果が出なければ、地獄の特訓はただの思い出したくないひどい体験すなわち失敗体験で終わってしまう。
でも、こうして素晴らしい結果が出せれば、「地獄の特訓」は素晴らしい思い出になり、彼の中に本当の自信というのが生まれると思ったんです。
私も、地獄の特訓を彼に与えている以上、なんとしても彼を成功させるんだ
という強い覚悟がありました。
まさに寝ても覚めても、出張中でも、「どうすればもっと早くできるか・・・」そればかり考え、ひらめいてはラインでやりとりして・・・と、そんな毎日を送っていました。
とまぁ、こんな事件もあったんですよ〜![]()
そんなわけでーーーー
今回の奇跡は偶然に起きたのではなく、彼の命がけの努力が起こした奇跡だと思うんですよね〜
この写真は、競技終了の日の夜の懇親会の写真。
顔も疲れて腫れちゃってパンパンだけど、いい笑顔でしょ?![]()
成績が発表され彼の課題の元に行くと彼は笑みを浮かべ「ありがとうございました」と私に頭を下げてきました。
「よかったね」と一言。
続けて、「私はどこが悪かった?」と質問しました。
「あそこと、ここと、ここと…」と篠岡君。
さらに「お前、スケール持ってないか?」と、スケールを用意して、「課題が解体される前に、自分の仕事の寸法をすみずみチェックしろ」と指示を出しました。
こういうことをすぐに自主的にやるようにならなきゃ本当に変わったとは言えない。
ここで満足に浸ってるようだからまだまだなんです。
順位や結果も大事です。でもその後に、なぜそうなったのか?自分のなにが足りなかったのか?を知ることはもっと大事で、それこそが未来へつながるのだかから。
ちなみに三位との得点差は416対412.4の3.6点という僅差でした。
ここで昨日の時間が余っていたのにもかかわらず、なにも出来なかった、いやしなかった30分間が登場してくるわけです![]()
周りにいた関係者誰もが「もったいなかったね」と言ったあの30分。
篠岡君への最後の言葉。
「あの30分間でどれだけの事ができたのか? そしてもし、それができていたとしたら結果はどうだったのだろう・・・」その悔しさをかみしめなさいと。
「最後はお前の今までの日常が出るんだよ。」と。
表彰式の彼の姿を見て、まだまだ本当に変わったとは言い切れない。
長年染み付いた生き方、考え方は1ヶ月やそこらで簡単には変わらない。
だからこそ、なにもやらなかった30分を一生悔やむほどの強い後悔にさせたい。
そうなれば「なにもやらなかった30分間の後悔」は、彼のこれからの職人人生に何より役に立つのではないかな〜と思うんです。
命がけの奇跡と、なにもやらなかった30分間の後悔
彼の今後の変化に期待しています。
こうして私たちの、全国左官技能競技大会は終わりました。




