母の連れ合い(この男) | 認知症の義母と暮らしてました

認知症の義母と暮らしてました

今年、85歳になる義母は認知症です。昨年からうちに引き取り同居しています。義実家の片付けもあります。
ようやく特養に入り義実家ももう少しです

こんなこと書いたら
供養にならないとわかってるけれど
悪口は運を落とすとわかってるけれど
人として小さいとわかってるけれど
吐き出さずにいられらない





葬儀屋さんが来ての打ち合わせ
祭壇や棺や諸々決めるとき
葬儀屋さんがカタログを見せて
一つ一つ説明してくれて
どれにされますか?





この男(母の連れ合い)が言う言葉はまず
「それはどうしてもいんの?」

葬儀屋さんがそうですねーと言うと
「いちばん安いやつ!」
大きくキッパリと

葬儀屋さんがどっちでもいいですと言うと
「いりません!」
一際大きく尻上がりに



この男、お金に汚いのは
長い付き合いで前から知ってるけど
この期に及んでこれほどとはと
さすがに唖然とした
母がお世話になってると思って
今までお父さんと呼んでいた自分に
吐き気がした





お金がないならともかく
4桁の退職金には手をつけず
厚生年金と企業年金があるんや
いつも自慢げに言う
(母の子供である私と弟には1円も
使ってもらったことない
絶対いらないけど)

そんなに豪華は求めてないけど
あまりにみすぼらしいのは
母が不憫




値段の段階がいくつかあって
せめて下から2番目でいいから
こっちにしてとお願いすると
葬儀屋さんの手前
「まあええけど」




一通り選んで
献花と仕上げのお膳以外の
見積り書ができた
赤い△の欄があった





そこには母が積み立てしていた
分の金額が書かれていた
そこそこの金額だった
それを見たこの人
一際大きく高い声で
「うおーよかったなーうわぁー」
と叫んだ

「そんな大きい声で喜んで………
隣の部屋で寝てるんやけど………」
と眉をしかめてたしなめたら
横を向いた





確かに今回も使えるけど
母の目的はまだ結婚してない
この男の二人の息子のためだった
二人の名前が証書に書かれている
証書を用意したのはこの男
わかっているはずだ





そういえば母が病院から
家に帰ってきたときに
一番にこの積み立てのことを
使えるか葬儀屋に聞いていたな





長い付き合いで
想定の範囲内とは言え
なんとも言えない
気分の悪さ




お金がないならそれなりでいい
一番安いからみすぼらしいのではない
安いのをバカにしてるわけではない
心がこもっていればとわかっている
でも4桁の貯金があると自慢するくらい
あるのだから何十年と連れ添い
他人の子を3人も面倒見てきた母の
最後くらいせめて普通に
見送ってやってほしい



経済観念は人それぞれだけど
私には理解できない





その夜
台所で洗い物しながら旦那に
どうしてもあの男がお金を渋ったら
うちで出してもいいかと聞いた
「当たり前やろ、そんなん聞かんで
ええ」
危篤と聞いてからも
泣いてる場合ではないと気をはって
家でも病室でもずっと泣かなかった




旦那の言葉にはじめて泣けた








読んでくださりありがとうございます