備蓄米って… | 中島農産「母の気まぐれ日?記」

中島農産「母の気まぐれ日?記」

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とうとう「5年?記」になってしまいました。

 

5月30日金曜日に令和7年の田植えを終えました。

 

本当に心を痛めながら、悔しさ悲しさをひきずりながらの田植えでした。(正確には私は田植機に乗れないので手伝いのようなものですが…)

 

 備蓄米…今やこの言葉を知らない人はいないのでは…というくらいずっと聞いているような気がします。

 

 備蓄米は、減反政策からできているのをだれも報道してくれません

 

ですから私の知っている限りの事を留めておこうとと思います。

 

21年産、22年産の通常米は60㎏私たち生産者ベースの金額は1万3千円前後だったと思います。

 

備蓄米用のお米はその金額より2,3割低い一万円前後です。

 

備蓄米がどんな仕組みで農家が出しているか、私が理解している限りおさらいしたいと思います。

 

備蓄米は、減反(減反率は3割から4割)の中の転作作物の一つです。

 

但し、条件があります。1反(10㌃)に9~9.5俵(1俵は60㎏)で計算します。

 

つまり、一反に8俵しか取れない圃場では通常米の中からこの分を補充しなければいけません。

 

圃場にもよりけりですが、収量は通常1反、8~8.5俵という所でしょうか。

 

同じ圃場で通常米と同じに作っていても、前記したように通常米より2~3割安い値段で出しています。

 

 国が農家からお米を買い取るのではなく業者の入札になったのは税金で保護するのは市場原理に反するもので、税金の無駄使いだと問題になったからだと記憶しております。

 

その頃に米の輸入も始まったのではなかったでしょうか。

 

そして、今の農水大臣の御父上が総理大臣の時に、アメリカの広大な農場を見学した時の言葉を今でも思い出します。

(インタビューに答えたものだったと思います)

 

「素晴らしい。農業はこうでなくちゃ。日本の農業もどんどんアメリカを見習うべきだね」と

(言葉は少し違うかもしれませんが、こんな内容でした)

 

その後、日本では4ha以下を農業の減反・転作に対する助成の対象から外すような政策がとられたと記憶しております。

 

農家は生産組合を作り何とか4haにして、減反・転作に対する助成が受けられるようにしていましたが、年々その助成も減少していったと思います。

 

農業政策も変化をしているので、上記のままだとは思っていません。農家を守ろうとした良い改革もあったはずです。

 

ただ、その後、二十数年お米の値段が上がることもなく、機械を買い替えるには農業以外の収入で補填しなければいけない状況ででした。

 

年々、兼業農家の数は減っていきました。

 

ですから、今、報道で農家の所得補償をして農家を守る事が必要と言っていますが、きっと情勢が変わればまた税金の無駄使いと農家と農協が責められるのでしょうね。

 

 農業協同組合は、農家が組合費を払って運営しているものです。

 

農家の多くは団体ではなく個人です。営業部も経理部も総務部も持っていません。

 

だからこその農業協同組合の仕事は農家の営業、経理、総務に該当すると思っています。

 

農協の金融や信用の業務も農家に必要だったから派生した仕事です。

 

農機具の販売、メンテナンスもそうです。

 

農協の機械担当の人たちは、(農機具の)圃場で動かなくなったコンバインをすぐに駆け付けて、暑い炎天下の中で修理をしてくれます。

 

効率が一番大切な企業の方たちにはわからないかもしれませんが、日本では米はほとんどの地域で年に一回の収穫です。

 

必要な時期は短いかもしれませんが、その必要な時期に使うことが出来なければただの鉄の塊になってしまいます。

 

そして、本当に大変な故障の時は農機具メーカーの方たちに協力を要請して何とかしようと頑張ってくれています。

 

農家が困ったときに動いてくれるのが農協です。

 

農業をしていない大臣には、必要がないかもしれませんが、私たち農家には必要です。

 

自動車の販売もそうです。軽トラックを一番買っているのは農家だと思うのですが…

 

肥料を大手の量販店やホームセンターで買った方が安い…だからそちらにまかせればいい…

 

量販店やホームセンターは営農の指導をしてくれますか?品種、圃場に合わせた肥料、適切な時期の防除の指導はだれがするのですか?品種に合わせた肥料を作ってくれますか?

 

農家が収益を出すために努力しているのは、安いものを作るためではありません。

 

安心、安全そして美味しいものを作るためです。それを切り捨てないでほしいです。

 

県や市は品種の開発や品質、収量を守るために農協と力を合わせ指導をしてくれています。

 

農協だけではできないことですが、県や市だけでもできない仕事だと思います。

 

農協も今は本当に人手が足りていないと思います。そんな中、頑張ってくれている職員の皆さんには、農家の一人として感謝しています。

 

ですから農家ではない人に、「農協って必要なのかなぁ」と言われたのは違うと思いました。

 

特にTVで世間に影響力のある Kさんがそうおっしゃった時は、ショックでした。

 

同じ番組に出て、お米を食べないとはっきりおっしゃっていたコメンテーターのFさんは、「農家を守る必要がなぜあるのか、市場原理に任せて足りなければ輸入すればいいじゃないか」と…

 

これが世間の本音で、安い米を必要としている方たちの目指すところなのかな…と。

 

 この二十数年間、毎年のように米の消費量の落ち込みを報道していました。

 

令和22年には、コロナの影響もあって米価が60㎏2000円近く下がりました。(コシヒカリ60㎏で、農家が受け取ったのは11,000円位でした。)

 

ずーっと言われていたことですが、米を食べる人が減って、米余りが続いていると言っていたのに、なぜ急に米が不足してきたのかわかりません。

 

農家は色んなものが値上がりする中で、米の値段を上げる事が出来ない状況で努力して米を作ってきました。

 

そんな中、値上がりしない米は優等生と言っていた人もいました 。

 

海外からの旅行者が、日本の物価はなんて安いんだと驚いていたのが不思議でしょうがありません。

 

日本国内では、ずっと物価高と言っているのですから。

 

これは農水省だけの責任なのかな…といつも疑問に思います。

 

誰かの責任、誰かを悪者に設定するのに、農家や農協が一番手っ取り早いのでしょうね。

 

いつも最後は農家や農協が悪いように言われるのは、都合の悪い存在なのでしょうね…きっと…そう理解するしかないのでしょうね…わたしたちは。

 

「米の適正価格は、農家を守るために必要です。」

 

この言葉もよく聞きます。二十数年前のあの時に言ってほしかったですね。

 

農家はいつの時代もお代官様や、商人に虐げられる立場でしかないのでしょうか。

 

 何より心配なのは、災害が起こった時のための備蓄米を出す農家がなくなるのではないでしょうか?

 

それとも国の命令で強制的に持っていかれるのでしょうか?

 

お代官様と大店の商人のつながりには、農民は太刀打ちできない…ずーーっと昔から同じなんですね。

 

(私の記憶をたどって書いたので時期がずれている事があるかもしれません)