遺伝子の戦略

遺伝子の戦略とすればまるで「遺伝子の意志」があり自分の行く末を決めているかのような印象を与えるが決してそうではない。遺伝子の戦略とは遺伝子を生命といわれるものがつむぎ未来に伝えることが個別の生命体を超えた宇宙の意志のようなものがあると考えることが妥当であろう。今の地球での生命体の頂点に立つのは人類であるが今から先にさらなる進化をしていくであろう。特に人類ならしめているのは他の生命体にない脳・神経系統の発達である。CAG配列の繰り返しの数を脳・神経系統の発達に使用するが発達には常にリスクを伴い行き過ぎると破たんを招くということであろう。しかし36回という数字は現在の脳の限界点であろうか。今後進化した人類が登場すればさらにその数が増えることはないであろうか。つまりCAG配列の繰り返しの数が36回を超えてもこれを容認できるだけの脳・神経系統の他の要素の発達などが将来は獲得できるのではないだろうか。もしかするとハンチントン病と診断されていない方の中にもうすでに36回を超える数を獲得しその結果通常の人類が到達できない脳・神経系統をもっている方がおられる可能性はあるのではないか。例えば人を魅了する舞踏の達人であったり世界的な科学者などではないだろうか。調べてみてもいいかもしれないしもうすでに世界的な企業はこれを始めていると伺っている。(アメリカ・ヨーロッパ、中国などは国家戦略として多くの遺伝子サンプルを集めている。)

 神経系統の遺伝子戦略と同じように全体の遺伝子戦略もハンチントン遺伝子のような要素があると予想される。つまり進化するということはある程度のリスクを抱えながら行われているということであろう。現実世界の中で世界の偉人といわれる方の家系には精神疾患を抱える方が多くおられることはよく知られた事実であり、自閉症の親はどちらも理科系でインテリジェンスが高い場合発生率が高くなることも知られた事実である。

進化の究極の結果を予想すれば宇宙の真理を理解して神のごとくの頭脳を持つことだとすればそこに行き着くまでに生命体全体を遺伝子のマスとしてとらえれば、ある程度のリスクを繰り返しながら遺伝子の完成形を形作るのであろう。

そう考えれば生命体の存在意義を遺伝子の戦略から見ればほぼすべての生命体は不完全なもので長い時間と確率的な意味合いで進化が進んでいく。脳・神経系統の進化を促す遺伝子は確かに「ものがよく見える」「周りの状況判断にすぐれる」「過去・現在・未来の時間的な流れの理解」などから未来に向けての戦略を立てることができるなどの利点がある。しかし体格・筋力に優れた他の生物に比し生態系の頂点に立つには隕石落下や大幅な気候変動などがなければ人間がこれほど多くなることはなかったのではないか。襲いう考えるとダーウィンの進化論よりラマルクの用不用による獲得形質の進化のほうが説明がつきやすいのかもしれない、つまり脳・神経の進化こそが進化のそのものの究極の目的とすれば宇宙そのものの進化圧がそうさせているのかもしれない。

 

Chiara Zuccato/Elena Cattanero:ハンチントン遺伝子のパラドックス、日経サイエンス201611月号(SCIENTIFIC AMERICAN日本版)原題名The Huntington’s Paradox (SCIENTIFIC AMERICAN August 2016) :70-752016 

増井徹、齋藤加代子、菅野純夫:遺伝子診断の未来と罠、日本評論社、東京、2014 

Elena Cattanero/Dorotea Rigamonti/Chiara Zuccato(ミラノ大学COE神経変性疾患研究所):ハンチントン病の謎、日経サイエンス20033月号(SCIENTIFIC AMERICAN日本版)原題名The Enigma of Huntington’s disease (SCIENTIFIC AMERICAN December 2002) :54-602003 

ハンチントン病の利点、日経サイエンス20084月号(SCIENTIFIC AMERICAN日本版)(SCIENTIFIC AMERICAN) :16-182003 

福嶋義光(監修):遺伝医学やさしい系統講義、メディカル・サイエンス・インターナショナル、東京、2013 

岡田尊司:発達障害と呼ばないで、株式会社 幻冬舎、東京、2012