盛り上がる話の中で
「私が中学・高校の時に参加してた
合同書道展のOBとして覚さんが来てて、
いつも帰りにご飯に連れて行ってもらってたんだ~」
と甘えた声で直ちゃんが言った
「え!!!!!?????
名門ばかりが集まって開催している合同書道展?」
飲んでいたお茶を吹き出しそうになった
「直ちゃん書道やるの?」
「うん!やっていたよ」
と直ちゃんは笑って応えた
この店に来て以来の仰天だった
なぜなら宮ちゃんと直ちゃんはお祭りが大好きで
お祭りが二人を結び付けたのだと聞いていたので
バリバリの下町育ちチャキチャキ娘だと思っていたからだ
詳しく聞くと…
直ちゃんは、
父方の叔父が浩宮様(皇太子様)とも親交のあった有名な書家で、
母方の祖父は鎌倉の鶴岡八幡宮の参道にある狛犬を作った
有名な彫刻家だった
そんな環境で育った彼女は、
中学・高校の恩師の影響で書道を始め
最終的には大学も書道をするために通ったらしい
生粋のお嬢様だったのだ
しかも普通ではない
この店に来て以来二つ目の仰天だった
呆気に取られている私をみて
「覚さんなんかもっと凄いよ!
きっとあゆみさんも色んなところで覚さんが書いた字を
見ているはずだよ」
と直ちゃんは言った
食いつくように
「どこで?」と聞き返した
例えば…と言ったあと、
数々の有名ブランド、アーチスト、お店などが出てきて私は驚いた
「確かに見たことある…」
声にならない声で呟いていた
「ねぇねぇあゆみさん、覚さん今度書展やるのよ!一緒に行かない?
それで帰りは六義園の紅葉見に行こうよー綺麗だよー!」
ポカンとなってる私に直ちゃんが話しかけてきた
「ぜひ来てください」
と覚さんも言ってくれた
私は間髪入れずに
「行きます!行かせて下さい!」
と言っていた
「あゆみさんも何か書いてもらったら?」
とまたもやびっくりする発言をする直ちゃん
「翼の折れたエンジェル書いてもらったら?」
とまたまたびっくり発言
そこですかさずマネージャーのバンビが
「ひまわりが良いです!」と言った
「えーーーーーー!!!バンビまでそんな事言っちゃうのー」
恥ずかしい気持ちと、嬉しい気持ちと、びっくりした気持ちで
椅子からひっくり返りそうになった
話が重なり合う中
「良いですねぇー」
と覚さんもまでもが言ってくれた
覚さんこと小林覚さん(筆文字アーチスト)が
私の作品“ひまわり”を書展で書いてくれる事になった
帰ってベッドの中に入った私はなかなか眠れなかった…
仰天の連続にびっくりのあおりが入ったからなのか…
大好きな“ひまわり”が筆文字アーチストの手によって
また一つのアートを生み出すからなのか
“人の縁にありがとう”
と思いながらその興奮と抱き合った
つづく