※この記事は、2010年7月26日のmixi日記から再掲載したものです。


「好きなアニメは?」と聞かれてると、「あぁ、最近の深夜アニメとか…」って返しますね。
「プリキュアだ」なんて、堂々にカミングアウトできません(ここではカミングアウトしまくっていますが)。

飲料関係をレビューしようと思っても、どれも微妙すぎてどうレビューしていいのかわからないので、しかもネタがないので、またいつもの通り昔の東映アニメ作品のレビューです。


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「びっくりしたニャ、びっくりしたニャ、びっくりしたびっくりしたびっくりしたニャ♪」
…というわけで、今回は「長靴をはいた猫」です。
シャルル・ペローが著した同名の児童文学が原作で、1969年にアニメ映画として公開されました。

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「長靴をはいた猫」の主人公と言えば、ぺロですね。
現在では、東映アニメーションのロゴマークでお馴染みで、本社屋の建物やグッズなどに貼られている版権許諾証のシールにも描かれているので、作品を見たことがなくてもぺロぐらいは知っているのではないでしょうか。
1972年には続編「ながぐつ三銃士」、1976年にはジュール・ベルヌ作の「八十日間世界一周」をモチーフとしてぺロが活躍する「長靴をはいた猫 80日間世界一周」が制作されました。

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因 みに、ロゴマークに採用された経緯については、「動員数、興行収入ともに空前のヒットになったことを記念してロゴマークに抜擢されました」とのことです。 (東映アニメーション IR情報のよくあるご質問より、画像は2006年に制定された創立50周年記念のロゴマーク@大泉学園駅)

スタッフ面では、現在はスタジオジブリの映画監督である、あの宮崎駿さんが原画陣として参加しています。公式の上記説明以外にも、宮崎さんの東映アニメ所属時代の貴重な代表作でもあります。
その他に、今年4月に亡くなられた「ひょっこりひょうたん島」で著名な井上ひさしさん、「アニメーションの神様」こと森康二さん、音楽には「サザエさん」で著名な宇野誠一郎さんも参加しています。
井上ひさしさんに森康二さんに宇野誠一郎さんに宮崎駿さん…今となってはスタッフが豪華すぎて、それだけでも見る価値がある作品だと思います。


あらすじ。

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何 百年も昔のこと、ある国に、心の優しい少年ピエールと長靴をはいた勇気のある猫ペロが住んでいた。ピエールは、お金持の家に育ったが、父が死ぬと、遺産目 あての欲張りの兄たちに追いだされ、ペロはネズミを助けたことから仲間はずれにされてしまった。彼らは、ある雨の日に同じ農家に雨やどりしたことから仲良 しになり、旅をすることになった。
野山を越え、川や湖を渡って辿りついたお城で、ピエールは素晴らしい貼紙を見て喜んだ。それには、この世で一番お金持ちで、武勇にすぐれた若者をローザ姫のお婿さんにする、と書いてあった。
ところが、世界各国からは、王子や騎士たちが続々とつめかけ、手段を尽して姫の機嫌をとり結び、魔王ルシファも魔力を駆使して婿になろうとはかっ た。だが、ローザに申し出を断られると城を廃虚にし、王をブタにかえてしまい、満月の晩に姫を迎えに来ると言い残して去って行った。
広間に忍びこみ、一部始終を見聞ききしたペロは、魔王を退治すれば、ピエールがお婿さんになるのだと悟った。そんな折ペロは迷子になった子ネズミを助けた。
これを恩にきたネズミたちは、ペロの家来になって活躍し、ピエールは、姫に会うことが出来たのだった…。


感想。

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起承転結がはっきりしていており、正義の味方と悪の描き方もきっちりとされている映画です。
オープニングシーンは、ねずみを救った件で猫仲間の判決を受け、仲間から追われている「ペロ」の姿から始まり、猫側から見て裏切り者として、開始からペロの人となりを表現していて心躍らせます。
原作では猫の言うままに幸運を掴むだけの存在の主人公を、死をもおそれずに姫を救出に向かうキャラに設定にして、最後まで希望を捨てない事の重要さを訴えます。
この作品を鑑賞すると、宮崎アニメはこの作品に関わったことで始まったのではなかろうかと思います。大げさな階段シーンや最後の塔が崩れるシーンなどは、「ルパン三世 カリオストロの城」や「風の谷のナウシカ」を彷彿とさせますね。
ミュージカル風に進むのも楽しいですし、キャラクターは可愛らしいデザインで、動きやテンポも良く、わかりやすいギャグもちらほらと出てきます。
これぞまさに、子供から大人やアニメオタクまで、老若男女あらゆる世代が楽しめる娯楽映画です。
本当に完成度の高い傑作なので、古い作品や子供・ファミリー向けだなどと敬遠せず、是非一度ご鑑賞ください。きっと、感動してしまって裏切られたと感じること間違いなしです。

公式が回答していた動員数、興行収入ともに空前のヒットとなって、ロゴマークになったのも頷ける作品だと思います。(笑)
この頃の東映アニメーション長篇漫画映画もいいなぁ…もっとレビューしたいと思う今日この頃です。


「長靴をはいた猫」(1969年3月18日、「東映まんがまつり」内にて公開)

○キャスト
ペロ…石川進
ピエール…藤田淑子
ローザ姫…榊原ルミ
殺し屋猫のボス…愛川欽也
殺し屋猫A…田の中勇
殺し屋猫B…水森亜土
ねずみたちの父親…熊倉一雄
ねずみのチビ…水垣洋子
ダニエル(ピエールの長兄)、猫の首領…内海賢二
レーモン(ピエールの次兄)…八代駿
魔王ルシファ…小池朝雄
王様…益田喜頓

○スタッフ
原作…シャルル・ペロー
監督…大川博(東映創始者)
脚本…井上ひさし、山元護久
演出…矢吹公郎
音楽…宇野誠一郎
作画監督…森康二
原画…宮崎駿(現・スタジオジブリ所属)、高畑勲(同左)
配給…東映
製作…東映動画(現・東映アニメーション)