お客様から「調律料金安いですね!」と言われることが多いので、料金に対する考え方を少し。

 

調律料金のシステムは業者によって大きく分けて2パターンあります。

 

・前回の調律からの年数に関わらず一律料金

・前回の調律からの年数によって基本料金+追加料金(1年ごとに1,000〜2,000円程度)

 

当社では空き年数に関わらず一律料金になっています。

作業料金が安くなる理由は、この調律の追加料金がかからないことが大きくなっています。

 

かと言って、やみくもに安い設定にしているわけではありません。

適正な料金より安くすることは作業のクオリティを落とすことになりますので、

作業には適正な料金を設定するべき、理由の無い値引き・値下げはしない、というのが根本的な考え方です。

 

空き年数に対する追加料金を頂いていないのは、単純に頂く必要が無いと考えているからです。

 

年数の空いたピアノの調律は、確かに毎年調律をしているピアノよりも少し手間がかかります。

合わせてもすぐに元の狂いに戻ろうとするので、通常1回のご訪問で1周の調律で済むところを、2〜3周調律しないと弾ける状態にもなりません。

 

ただ、ここで大事なのは数周の調律をしても、調律が空いていた年数分の狂いが1回でチャラになるわけではない、ということなんです。

 

「長年の狂い=歪み」がなくなりピアノが安定した状態になるためには、数周調律をした後に半年ほど置きます。もちろんその間にはたくさん弾いてなじませて頂きます。

そうすると取りきれなかった歪みが狂いとしてどんどん出てきます。

そしてその狂いをふまえて再度調律、また期間を置き調律、という数回のサイクルが必要です。

 

もし1回のご訪問で空き年数分の歪みが0になるのであれば、追加料金というシステムも納得なのですが...逆に言えば1回のご訪問でたとえ連続で何10周調律をしても、この“歪み”は時間をかけないと絶対に取れないんです。

 

そういった意味では、毎年調律しているピアノも、長年調律していないピアノも、一回のご訪問でできること(かかる労力)は実はそんなには変わらないんです。

2〜3周の調律が必要という手間がかかる以上、1周で済む安定しているピアノより労力は確かに大きいのですが、その分歪んでいるピアノは音の合わせるポイントを大きくとる(安定しているピアノほどは細かい刻みまで合わせられないし合わせない)分、労力が少ない部分もありますので、それも考えると調律料金が2倍・3倍となるほどではないと思っています。

 

また、同じ空き年数でもピアノと環境が違えば歪みの度合いは同じになりませんし、調律の記録がなければそもそも正確な空き年数がわからないため、単純に空き年数で料金を決めることが難しいという事情もあります。
 

はじめに料金を決める際に、こういったある意味ペナルティ的に追加料金がかかるシステムに疑問を感じました。

(ちなみに調律を長年しなかったことで受けざるを得ないペナルティがあるとすればそれは、安定するまで調律を短い間隔で行わなければならないこと、すぐに安定した状態にはならないので完成までの期間ピアノが力を出し切っていない状態で弾かなければいけないこと、修理やタッチの調整が必要になる可能性が高くなること、ピアノの寿命が短くなること、などでしょうか。)

 

長年期間が空いたピアノの調律にはリハビリが必要で、体のリハビリと同じで1回にたくさん行うことは出来ないので必要なのは時間と回数です。

 

追加料金がかかることで、この「歪んだピアノにはリハビリが必要」という感覚がお客様に伝わりづらくなっているとも感じています。

よく聞く話ですが「追加のお金をかけた調律をしたから今までの狂いがチャラになった、これで当分調律をしないで大丈夫!」と思ってしまい、また期間が空いてしまうのはもったいないことです。

 

料金への考え方は調律会社によってそれぞれですので、高いところが悪い、安いところが良い、ということは全くありません。実際に調律の追加料金がかかる業者さんでは無料で行っている他の作業が、当社では有料ということもあると思います。

 

これらは実は料金設定の説明という以上に、ピアノを良く保っていくにはお客様と調律師との協力が必要不可欠だと考えている当社としてすごく重要な考え方なのですが、なかなかご訪問時にすべて説明するのは大変なので、うまく簡潔にお伝えする方法はないかと悩んでいます。

 

 

ピアノ調律・修理

つくしピアノ調律所

http://www.tukusi-piano.com/

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