中盤戦に入った名古屋場所

 

 愛知県体育館で行われて暑いと言われてきた名古屋場所は、来年からはしっかりと冷房が効く体育館になるようだが、土俵上では熱い戦いが展開されている。今場所の初日からほとんど観てきたが、久々に登場した横綱照ノ富士が初日から六連勝と好調のようだ。

 

横綱は立ち合いに当たってから前に出る相撲で勝ち進んでいるが、ずば抜けた体力をいかんなく発揮している感じだ。何と言っても彼は白鵬のように策を弄することなく本来の横綱相撲を見せているところが良いが、時たま出てきて勝つということでは横綱の責任を果たしているとは言い難い。この後も勝ち進めるか?

 

 大関陣では、琴桜豊昇龍がそれなりに力を発揮しているが、いささか物足りない。この二人には優勝争いに絡んで横綱の独走を許さないようにして欲しい。今日からの中盤戦で全勝するくらいの勢いを見せて欲しい。

 

カド番の貴景勝は怪我の回復が思わしくないようで、これが致命傷となって力士生活に暗雲が漂っている感じがする。何と言っても場所前に力士との稽古ができていないようで、今場所も六日目を終わって二勝四敗と負け越しており、いよいよその座がいよいよ危うくなってきた感じだ。

 

 大関から関脇に陥落した霧島は今場所二桁の勝星で大関に復帰できるが、初日から三連勝したときには本来の相撲を取り戻したかのように感じていたところ、その後三連敗だ。昨六日目はこのところ進境著しい平戸海戦で、差し手争いの攻防から最後は押し出されていた。負けが込んで自信を失っているのかもしれない。

 

先場所初優勝の新関脇大の里みは今場所も期待していたところ、初日から連敗して序盤戦三勝二敗となり期待感が萎(しぼ)みかけていたところ、五日目、六日目と本来の相撲が戻って来たようだ。今日の熱海富士戦でどのような相撲が取れるか注目したい。

 

 先場所途中休場して前頭十二枚目まで番付を落としていた朝之山には、今場所は優勝戦線に絡んで欲しいと期待していた。初日から三連勝とその期待が膨らんでいたところ、四日目の十一枚目一山本戦に臨み、立ち合いから攻め込まれて体勢を崩し、膝を折るように押し倒された時には大怪我を負ったと思った。

 

案の定、その後の検査で靱帯や関節の骨を損傷する大怪我を負って手術をしなければならなくなったことが分り、回復には長期間が必要となってまた幕下辺りまで陥落する可能性が出てきた。以前から足腰や腕力の鍛錬が必要ではないかと思っていたが、今後どのような姿で復帰してくるだろう。

 

 怪我から復帰してきた十四枚目若隆景に注目しているが、かつて関脇の座を長く務めていた頃迄の力を取り戻すにはもう少し時間がかかりそうな感じがする。それでも、ここまで四勝二敗と星を伸ばしており、今日の錦富士戦で相撲巧者ぶりを発揮できるだろうか。

 

 他にも、元大関の御嶽海が二枚目まで番付を戻しており、初日の大の里戦では貫録を見せつけた。同じくここまで四勝二敗と星を伸ばしている十枚目正代が、この後どれだけ星を伸ばすか。他の力士たちも熱戦を展開して、暑い名古屋場所をより熱くしてほしい。

 

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