民主党版天下り:政府の関与・ガバナンスの強化=「政治主導天下り」 | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

民主党版天下り:政府の関与・ガバナンスの強化=「政治主導天下り」

秘書です。
昨日、こんな天下りに関する記事がありました。
さて、民主党政権はどう対応するのでしょう?



■<特別民間法人>天下り横行 常勤役員130人の半数占める
5月15日2時32分配信 毎日新聞
 国から自立して公的な事業を行うとされる「特別民間法人」全38法人の常勤役員計130人のうち、半数近い57人は国家公務員からの天下りであることが毎日新聞の調査で分かった。うち8法人は全員天下りだった。特殊法人などから衣替えした同法人は、国が役員を任命しないなど独立性を高める狙いがあったが、天下りの受け皿になっていた。38法人の一部は、20日からの事業仕分けの対象になる予定で、制度のあり方も問われそうだ。

 常勤役員全員が天下りなのは、警察庁所管の自動車安全運転センターや、厚生労働省所管の建設業労働災害防止協会など。同センターは設立以来、全常勤理事が天下りだった。同協会の専務理事は少なくとも5代程度、国からの天下りという。各団体は「経験を生かせる」などとするが、天下りの指定席として引き継いでいる形だ。

 100%天下りではないものの、天下り比率50%以上の団体も11法人に上る。非常勤も含め国からの天下り役員がゼロなのは、日本公認会計士協会など5法人だけだった。

 各法人の常勤役員の年収は1300万~1500万円に上る例が多い。土光臨調のスタッフとして制度を発案したという鈴木良男・旭化成顧問は「業界が発展する前に国が面倒を見た特殊法人を業界に返そうと発案した。天下りの横行は想定外で、本来の趣旨とは異なる」と話している。【長谷川豊、森禎行】

 ◇特別民間法人の常勤役員数と天下り数

 ▼警察庁    常勤役員/天下り

自動車安全運転センター 6/6

 ▼金融庁   

日本公認会計士協会 2/0

 ▼総務省    

日本消防検定協会 4/1

消防団員等公務災害補償等共済基金 2/1

危険物保安技術協会 3/3

日本行政書士会連合会 0/0

 ▼財務省    

日本税理士会連合会 0/0

 ▼法務省    

日本司法書士会連合会 2/0

日本土地家屋調査士会連合会 2/1

 ▼厚労省    

社会保険診療報酬支払基金 5/4

陸上貨物運送事業労働災害防止協会 1/1

建設業労働災害防止協会 2/2

林業・木材製造業労働災害防止協会 1/1

港湾貨物運送事業労働災害防止協会 1/1

鉱業労働災害防止協会 0/0

中央職業能力開発協会 4/2

中央労働災害防止協会 4/4

企業年金連合会 5/2

石炭鉱業年金基金 1/0

全国社会保険労務士会連合会 1/1

 ▼農水省    

農林中央金庫 16/2

漁船保険中央会 4/1

全国農業会議所 1/0

全国農業協同組合中央会 5/0

全国漁業共済組合連合会 3/1

 ▼経産省    

東京中小企業投資育成株式会社 5/1

名古屋中小企業投資育成株式会社 7/0

大阪中小企業投資育成株式会社 6/1

高圧ガス保安協会 5/3

日本電気計器検定所 5/3

日本商工会議所 5/2

全国商工会連合会 2/1

日本弁理士会 0/0

全国中小企業団体中央会 2/1

 ▼国交省    

日本勤労者住宅協会 1/0

軽自動車検査協会 7/5

日本小型船舶検査機構 6/4

日本水先人会連合会 4/2

 ◇合計 130/57


では、民主党政権は、このような天下りに対して、どのような対応をするのでしょうか。
この観点から注目すべきは、今年3月10日衆院内閣委員会における中川秀直の質問に対する枝野大臣の答弁です。
http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_kaigiroku.htm

○中川秀直議員 ・・・例えば、鳩山政権の判断として、日本開発銀行総裁、日本政策投資銀行総裁の流れをくむ株式会社日本政策投資銀行の役員ポストの人事において、あるいは日本輸出入銀行、国際協力銀行総裁の流れをくむ株式会社日本政策金融公庫国際協力銀行の役員ポストの人事において、三つ目は、国民金融公庫、国民生活金融公庫総裁の流れをくむ株式会社日本政策金融公庫国民生活事業本部の役員ポストの人事において、これらの人事異動については同一の役所からの就任は認めない。ごらんのとおり、もう何代もですから。明らかに、先ほど申したとおりです。また、他の役所とのたすきがけの人事も認めない。これをひとつ、本当は枝野大臣にも仙谷大臣にも伺いたかったんですが、いらっしゃらなくなりましのたで、枝野大臣が、法令解釈担当大臣としても、先ほどのお尋ねにお答えいただきたいと思います。

○枝野国務大臣 法令解釈の担当大臣という立場から申し上げますと、法令上といいますか、政府としての公式の、天下りについては、法令に違反して、省庁のあっせんで再就職をするということでございます。しかし、我が政権として考えております、いわゆる広い意味での天下りを許さないということの範囲には、今御指摘をいただいたような問題が生じないようにしていくということになっていきます。

 これは、現行の制度でどこまでできるのかということと、それからさらに、今おっしゃられたようなさまざまな機関に対する、例えば政府としての関与、ガバナンスをどれぐらい強めることができるのか、関与、ガバナンスを強めることができれば、当然そこでそういった人事を許さないということを直接的にできるようになります。

 そうしたことも含めて、行政刷新の立場から、法令上どこまで強制的にできるのか、運用でどこまでできるのかということについては今後さらに精査をしてまいりまして、御指摘のような問題が生じないことを目標にしていきたいというふうに思っております。


上記の赤字部分にご注目ください。
「政府の関与・ガバナンス」を強めるための人事を行う、ということです。
これが民主党政権の、新天下り政策の哲学的部分です。

この新天下り政策の哲学から生まれたのが、5月中に閣議決定するといわれる「退職管理基本方針」に基づいて、人事交流機会の拡大の美名のもとに行われる「休職出向」や「大臣等の任命権の下の現役出向」です。


(参考)「退職管理基本方針」(総務省案)の(別添)人事交流企画の拡充に係る環境整備について

○公益法人等への休職出向

・退職手当に係る在職期間の通算
・・・全期間通算を可能とすることについて早急に検討し結論。 

・適用範囲の拡大
高い公共性が認められる公益法人やNPO法人の認定等の選定を行うことを前提に、当面、人事制度面において休職出向により対応することの可否について早急に検討し結論を得るよう、人事院に対し要請。

○独立行政法人等への役員出向

・独立行政法人等の役員公募
各大臣等の任命権の下、職員が役人出向する場合においては公募の対象外。

・対象法人の拡大
法人に役員受入れニーズがあり、当該法人の退職手当支給規程に在職期間の通算規定が置かれることを前提として、役員出向の対象とする必要性について早急に検討し結論。


つまり、「役所の人事担当者や官僚OBなどに代わり、大臣などが任命権を使って、政治主導で天下りさせますよ、だから役人は政治家の言うことを聞きなさい」ということです。

この天下り全面解禁・合法化は、民主党あげて推進しています。民主党内に異論が一切ありません。

この問題に、党内人事抗争は一切関係ないようです。

「政府の関与・ガバナンスの強化」の哲学を共有し、民主党一体で、民主等版の政治主導による天下りを推進している。

民主党内の人事抗争に最後の改革期待をつなぎとめているみなさん!

人事抗争と政策は別問題です。

民主党内に政策論争はありません。

政局期待から、政策批判を自己抑制するのは正しくありません。

政策批判をやらないと、間違った方向への改悪(政治主導の天下り)がとまりません。

正しい政策論議が背景にない人事抗争は、路線闘争ではなく、ただの権力闘争で、その結果は政策に何の意味もありません。