(日米同盟)民主党には対米路線を明らかにする義務がある | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

(日米同盟)民主党には対米路線を明らかにする義務がある


米国の新駐日大使に、元国防次官補のジョセフ・ナイ・ハーバード大教授が就任することが24日内定した。そのナイ氏は19日に、菅直人代表代行、鳩山幹事長、岡田副代表、前原副代表4人と会談している。何が伝えられたのだろうか。


ナイ氏はクリントン政権下で国防次官補を務め、冷戦終結後の日米同盟の役割を再確認する「ナイ・イニシアチブ」を主導、95年4月、日米同盟はアジア太平洋の安定に不可欠とした「日米安保共同宣言」を結実、ブッシュ政権下では共和党のアーミテージ元国務長官とともに、日米同盟の深化を提案した「アーミテージ報告」をまとめ、オバマ政権ではオバマ外交の指針として「スマートパワー」を提唱している。民主党、共和党を超えて最強の日米同盟基軸論者のナイ氏を駐日大使に決めたオバマ政権の意図を、民主党は正しく受け止める必要がある。民主党に、日米同盟基軸弱体化ではなく、日米同盟基軸強化を迫っているのではないか。


来年、日米安全保障条約の締結50周年を迎えるが、次期衆院選で、日米同盟基軸の是非を改めて民意に問う時が来たと思われる。民意は、自民党でも民主党でも、対米関係は変わらないと思っている。しかし、49年前、国論を二分した安保闘争で、「日米安保改定は戦争に巻き込まれる」と主張し、国の進路を危うくした旧社会党と同じ路線の民主党に、政権を任せてもよいのか、ということが重大な選択肢となることが明らかになるだろう。民主党には対米路線を明らかにする義務がある。(1月25日記)


(参照記事)読売新聞「揺れる同盟」「オバマと日本」㊦


「1月18日、民主党大会の来賓祝辞で共闘を訴えた社民党の福島党首は唐突に話題を転じた。『ソマリア沖の海賊退治のための自衛隊派遣に反対です。法律を作ってもダメです。命が大事です』。会場の空気は白んだ。海賊対策の必要性は、少なからぬ民主党議員が主張してきたことだからだ。大会後の記者会見で、小沢代表は福島氏の発言について問われると、海賊対策は必要だとの立場を示しながら、『自衛隊を使ってどうするとかいう問題は、また別だ』と付言した。


次期衆院選の結果、民主、社民両党が連立政権を組めば、自衛隊を活用した国際貢献の議論が迷走するとの懸念が早くも出ている。もっとも、自民、公明両党の連立政権も、安全保障政策での迅速さを欠く。海賊対策のためのアフリカ・ソマリア沖への艦船派遣では、自衛隊の海外展開への公明党の慎重論や、現在の武器使用基準での海上自衛隊の護衛活動に対する自民党防衛族や浜田防衛相の消極姿勢もあり、中国、韓国の後塵を拝した。国際社会、ことに米国が日本の貢献拡大を求める中で、現在の政党の組み合わせは、スピード感ある対応という点で不安が多い。


一方、オバマ米政権はイラクからの米軍撤収で安保政策の大転換をしたが、在日米軍再編など日本と密接にかかわる安保政策は、ブッシュ政権からゲーツ国防長官が留任したこともあって、これまでの路線を踏襲すると見られている。沖縄県が日米両政府の合意案よりも沖合に移動することを求めている米海兵隊普天間飛行場(沖縄県宣野湾市)移設問題でも、見直しに応じることは予想しにくい。オバマ大統領に直接助言する立場のジェームズ・ジョーンズ大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は海兵隊司令官だった2001年、沖縄の負担軽減を求めた日本政府に、『すでに主要訓練のほとんどを沖縄以外で行っている』と告げた経緯がある。


年明け早々に訪米した沖縄県の仲井真弘多知事は9日にワシントンで記者会見し、『“びた1ミリ”動かさない考えはありえないと米側に話してきた』と訴えたが、この問題がこれ以上こじれ、再編改革全体が白紙に戻れば、同盟の核心である『信頼』が傷つく。来年は現在の日米安全保障条約の締結50周年を迎えるが、日英同盟が約20年で失効したように、永続する保証はなく、不断の見直しが必要だ。日米双方の知恵と胆力が求められる」