南座顔見世興行 第1部
坂田藤十郎三回忌追善狂言の2題目は
『曽根崎心中』
坂田藤十郎さんが1400回お初を演じたという
坂田藤十郎さんの1番の代表作
と言っても 私は2015年2月の大阪松竹座 4代目鴈治郎襲名披露で藤十郎さんが一世一代のお初を演じた最後の一回しか見ていませんが
私の記憶って あやふやなもんなんです
粗筋は書きませんが 天満屋の場 最後の場面から
歌舞伎の曽根崎心中は 愛し合った徳兵衛とお初が 夜中に天満屋を抜け出して 心中するために 花道を手に手を取って裸足で駆けていく
この時2人は 一緒に心中することを確信しているし お初は死に装束の白無垢の着物をきて その上に黒小袖を羽織って店を出る
そこでスルスル黒い小袖を 忘れ形見のように落としていく
2人に時間はないので あわてているが 2人で死出の旅に行く喜び 嬉しさ とか 情熱を感じます
鳥屋に消えて行く2人を拍手で応援する
舞台は暗転して
天満屋店先から 曽根崎の森に変わる
花道をゆっくりと お初が出てくる
そのあと徳兵衛
道行です
手拭いを使ったりして たっぷり踊り戯れる
2人は明け七つの鐘を聴きながら コレが最後の鐘と
心中するのでした
私の記憶では 藤十郎さんの曽根崎心中では
恍惚とした表情に笑みを浮かべて
手を合わせているお初に
徳兵衛が短剣を構えるところで
幕だった気がするのです
(ロビーの坂田藤十郎舞台写真展より)
〝歌舞伎では主人公の死ぬところは表現しない〟
という慣習というか 暗黙の了解のもと 幕が引かれたように思うのですが
だから2017年の文楽初体験の日
文楽の『曽根崎心中』を見て 2人の絶命するところを見て リアルやなぁ 文楽だとそこまでやるんや 出来るんや
と思ったんじゃないかな
下にブログを書き始めて10日めくらいの昔のブログを引用します
今回の舞台の最後は
徳兵衛(鴈治郎)が持ってきた脇差しで
2人が立ったまま抱き合うようにして
お初(扇雀)の胸をひとつき
のけぞり倒れたお初
徳兵衛は そのお初の手をとって 2人で短刀を握るようにして
嬉しそうな顔をして
自分の首左側を切って心中する
お初の上に覆いかぶさり徳兵衛も絶命しました
そして幕が引かれた
文楽で見た お初と徳兵衛のように
本当に心中しました
もし 私のあやふやな記憶に間違いがなければ
歌舞伎史上画期的な演出だと思います
鴈治郎と扇雀兄弟が
若い観客にも通用する
世界の人に理解してもらえる
『曽根崎心中』を演出したのだと思います
最後の10分くらいの事しか書いていませんが
あとは 思い出すままに
第一場 生玉神社境内の場で
お茶屋から出てきたお初(扇雀)を見た時
ドキッとしました
藤十郎さんかと見間違えましたよ
徳兵衛(鴈治郎)の花道の出端も良かったですね
折編笠を深くかぶって ウキウキしたような 首を左右に振りながら足早に
舞台に置かれた赤い床几前で おこつく
お初が徳兵衛の折編笠を脱がせて
見つめ合う顔と顔
もう 成駒家満開
というところから話が始まる
徳兵衛の友達の油屋九平次(亀鶴)
こいつが嫌な奴 悪い奴
九平次に仕組まれて金を騙し取られて 公衆の面前で恥をかかされ心中する羽目になる
前回見た時は扇雀の九平次でした
まあ男前で品がありそうやのに冷淡で悪い悪い
今回は 見るからに悪そうな亀鶴
九平次なんて大嫌い!
徳兵衛の義理の父の平野屋久右衛門は梅玉
息子思いで 淡々として冷静な判断ができる久右衛門
梅玉さんにピッタリ役
上方の芝居の中に貴重な存在感ある
絵看板にあるように
天満屋の座敷の長暖簾が
紺色の地に藤十郎さんの家紋の「五つ藤重ね星梅鉢 」の紋が染められていた
後ろで藤十郎さんに見守られながら 芝居をしているような安心感がありました
いやー 曽根崎心中 良かったですよ
もう一回見てみたい!
無理だけどね
カメラが入っていたけど
ミレールでやるかなぁ