ドコモ「当社は保険会社でないのでぴったりの保険を選べます」という募集ペーパーは許されるのか? | なか2656の法務ブログ

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先日、スマホの不具合のため、久しぶりに地元のドコモショップに行ってきました。NTTドコモが保険の乗合代理店(来店型保険ショップ)となり、日本生命や東京海上日動など複数の保険会社の保険募集を始めたということは約1年前の新聞記事で読んでいたのですが、実際にドコモショップのなかに保険の営業のためのブースができているのは興味深い光景でした。

ところでスマホの不具合の相談をするため順番待ちをしていたところ、机の上に保険の営業のための説明ペーパー(募集資料)が何枚か置いてあり、時間が余っていたので読んでみました。



とりわけこのペーパーのなかで赤字で書かれたつぎの部分が気になりました。

ドコモは保険会社ではないので、9社の保険会社の商品からお客様にぴったりの保険を選べます。



この点、金融庁の保険会社向けの通達である、「保険会社向けの総合的な監督指針」の「II -4-2-9 保険募集人の体制整備義務(法第294条の3関係)」の(4)はつぎのように規定しています。

(4)保険会社のために保険契約の締結の代理・媒介を行う立場を誤解させるような表示を行っていないか。

(注)単に「公平・中立」との表示を行った場合には、「保険会社と顧客との間で中立である」と顧客が誤解するおそれがある点に留意する。

つまり、来店型保険ショップとも呼ばれる保険の乗合代理店は、日本生命や東京海上日動などから保険募集を受託して、来店する顧客の相談に応じつつ保険募集を行い、保険契約が成立したら、その保険会社から報酬手数料を受け取ることにより業務を営んでいます。

保険会社によって報酬手数料の額や割合など条件は異なりますし、同じ会社の商品でも乗合代理店の受け取る報酬手数料は商品により異なります。ドコモは9社の保険会社から保険募集の受託を受けていますが、日本には生命保険会社だけで約50社もの会社が存在します。さらにドコモが9社の保険会社から受託している保険商品はその会社の商品のほんの一部です。

乗合代理店も営利法人ですから、収益のよい商品をより多く販売したいと考えるのはある意味当然です。

ですから金融庁は、「(乗合代理店、来店型保険ショップなどが)保険会社のために保険契約の締結の代理・媒介を行う立場を(顧客に公平・中立な第三者機関であるかのように)誤解させるような表示を行っていないか。」との指針を規定しているのです。

そこでドコモの募集ペーパーの赤字部分をみると、たしかに「公平・中立」という文言そのものは使用していませんが、しかし、「ドコモは保険会社ではないので」「ぴったりな保険が選べます。」と、ドコモが顧客からみてあたかも保険会社から距離をとった第三者機関であるかのように顧客に誤解を招くおそれがあるのではないかと思われます。

したがってこのペーパーの赤字部分は、金融庁の監督指針の「II -4-2-9 保険募集人の体制整備義務(法第294条の3関係)」(4)に抵触しかねないグレーな記述であると思われます。

ドコモ本社の乗合代理店事業における募集管理部門やコンプライアンス部門などは、今一度自社の各募集資料が金融庁の監督指針などに抵触していないかチェックが必要なのではないでしょうか。

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