所有者がわからない土地の総面積は九州より広い | 名古屋市の登記専門司法書士 相続・不動産・会社登記ブログ

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今年の6月下旬のニュースで、こんな記事がありました。
http://www.asahi.com/articles/ASK6R3VX0K6RUUPI002.html

1. はじめに

相続登記が未了などの理由で所有者がわからなくなっている土地の面積は、九州より広い約410ヘクタールに達するそうです。
もちろん土地だけでなく、建物についても同じ問題が起こっています。

なぜこれほどまでに多くの不動産が所有者不明となってしまうのでしょうか。

2. なぜ不動産が所有者不明となるのか?

理由の一つとして、「不動産の権利に関する登記は義務ではない」ということがあると思います。

不動産の売買や相続で所有権が移転したとしても、登記義務はありません。登記しないことによる罰則もありません。
(これに対して、建物の新築や、土地を宅地から駐車場に変更するなど、不動産の物理的な状態を公示する登記(表示登記)には登記義務があります)

不動産を相続したけれど、登記申請手続きが面倒でなんとなくそのままになっているというケースはとても多いと思います。

3. 不動産が所有者不明となる例で解説します。

(1) 花子さんの息子さんは3人いました。花子さんが亡くなって相続が発生しました。

例えば…
花子さんには、一郎さん、二郎さん、三郎さんという子供がいます。(相続人はこの3名のみ)

花子さんが死亡して3人の子供で話し合った結果、花子さんの土地・建物を一郎さんが相続しました。

(2) 息子の一郎さんは、受け継いだ土地の相続登記をしないまま亡くなりました。

一郎さんは「登記をしたら登録免許税もかかるし、申請手続きも面倒だなあ。兄弟でちゃんと話し合ったんだし、登記はすぐにしなくても大丈夫だろう」と考えて相続登記をしませんでした。

その後、相続登記をしないまま一郎さんが死亡しました。

(3) 一郎さんの相続が発生します。相続人が増えて、さあ大変!

一郎さんの相続人全員で話し合った結果、一郎さんの長男Dさんが当該土地・建物を相続することになりましたが、その頃には二郎さん、三郎さんも死亡して、それぞれの財産を妻と子供が相続しています。

このような状況で花子さんの相続登記をするには、一郎さんの相続人のみならず、二郎さんと三郎さんの相続人全員の関与が必要になってきます。

相続登記をせずに、二世代、三世代と経過してしまうことによって、相続人の数はどんどん増えていきます。場合によっては相続人の数が50人を超えてしまうことも!

こうなってしまうと、遺産分割協議は不可能に近くなってしまいます。

4. 相続人が増えると他にも問題が発生するかも!?

また、相続人が増えると具体的には以下のような問題が発生することがあります。

  • 会ったこともない遠い親戚と遺産分割協議をしなくてはならない
  • 相続人中に外国に住んでいる人がいる
  • 相続人の一人が高齢で認知症になってしまい、協議をするために成年後見の申立てが必要になる
  • 相続人が行方不明

相続が発生してから、時間が経過すればするほど、権利関係はどんどん複雑になっていき、登記が難しくなってしまいます。

 

5. まとめ

このような不動産が、日本のあちこちに存在しているのです。

現在の所有者がわからないということは、

  • 空き家が処分できない
  • 道路拡張工事など、公共事業を行うことが出来ない
  • 大災害などが起こった場合の復旧工事の妨げになる

など、さまざまな問題が起こります。
みなさま、相続登記はお早めに!

【参照】

朝日新聞デジタルhttp://www.asahi.com/articles/ASK6R3VX0K6RUUPI002.html

一般財団法人国土計画協会 所有者不明土地問題研究会http://www.kok.or.jp/project/fumei.html

国土交通省 所有者不明土地問題に関する制度の方向性等について検討を開始しますhttp://www.mlit.go.jp/report/press/totikensangyo02_hh_000102.html

 
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