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遺産分割をする際に、相続人のうち1人でも重い認知症にかかっていて、どのように遺産分割できるか判断できない人がいた場合、その人には後見人をつけるというのが、一般的な手続きです。
1,成年後見審判開始の要件
民法では、成年後見開始の審判をするための要件として、
「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる。」(民法7条)
とされています。
「精神上の障害」というのが、ここでいう認知症であり、「事理を弁識する能力を欠く」というのが、ここでいう遺産分割できるか判断できないということです。
2,成年後見の申立に必要な資料
成年後見人をつけるための申立に必要な資料は、最近では裁判所のホームページに載せられるようになってきました。
成年後見の審判が出されるためには、「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある」ことが要件となります。
これを証明するためには、医師の診断書で判断する運用がされてきました。
3,医師の診断書についての注意点
平成29年11月9日の日経新聞において、医師の精神鑑定をせずに後見開始の審判をしたことを違法として、後見開始の審判が取り消され、差し戻されたという記事がありました。
これは、家事事件手続法119条で、
「家庭裁判所は、成年被後見人となるべき者の精神の状況につき鑑定をしなければ、後見開始の審判をすることができない。ただし、明らかにその必要がないと認めるときは、この限りではない。」
とされていますので、この事件では「明らかにその(=精神鑑定の)必要がないと認める」ような場合ではなかったという判断だと思われます。
医師の診断書でも、寝たきりで反応を一切示さないなどの記載があれば、明らかに必要がないとして、鑑定をせずに後見開始の審判が出されることはあります。
4,成年後見人になれる人について
成年後見人は、弁護士などの専門職ではなく、親族でもなることができますが、遺産分割をするためとなれば、親族は利益相反の可能性があります。このような場合は、おそらく弁護士などの利害関係のない第三者が成年後見人に選任されるでしょう。
成年後見制度についてもっと詳しくは
名古屋総合法律事務所のページへ ⇛
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