その名は『ピラミッド』。
先月惜しまれながら歴史に幕を下ろした、
京都の名店オグルエドールのスペシャリテです。
過去にあえてオーダーしてこなかったのは、
これを自分の中でオグルエドールの『最終回用』に設定していたから。
❤️
早い段階で、というか、
開店した時から閉店日が設定されていたと思うので、
私はオグルニエドールの最後の最後にピラミッドを食べることを、
漠然とした目標に設定していました。
❤️
今時のケーキではないでしょう。
かといって、古典でもない。
現在進行形の日本の洋菓子文化に、
歴史を刻みこんだお菓子、そのものに違いありません。
❤️
ならば、1日でも遅く。
自分の感性が、1分1秒でも成熟した時に向き合いたいケーキだなと。
私が、より多くを感じとれるタイミング、
そのタイムリミットが、
必然的に閉店日になるわけなのでした。
❤️
まさか本当に閉店日に行けるとは思わなかったけれど、
それが叶ったのも運命だった気もしています。
❤️
ピラミッドの形、ピストレの質感、ムースの口当たり、チョコレートの味わい。
感じた全てを自分に刻み込むように、
全身全霊でいただきました。
❤️
もしピラミッドが、別の店の名の元に蘇ることがあっても、
私にとってのピラミッドはこれが最初で最後です。
そのスイーツに物語を作るのも、感じるのも、
人それぞれ。
背景の正誤は、必ずしも関係ありません。
❤️
私がこれを名店の名作の最後の味だと思ったなら、
私にとってはこれが、名店の名作の最後の味に違いないのです。
感謝していただけば、
どれだけ我儘に奔放に感じたっていい。
それが私の思うスイーツの価値観ですから。