事務所創立50周年特別企画“事務所の歴史を学ぶ大学習会”第3回学習会のご報告 | 名古屋第一法律事務所 お知らせ・ニュース
2018年08月03日

事務所創立50周年特別企画“事務所の歴史を学ぶ大学習会”第3回学習会のご報告

テーマ:お知らせ

先日投稿致しました『事務所の歴史を学ぶ大学習会・第1回学習会のご報告』記事でも記載致しましたが、2018年6月、当事務所は創立50周年を迎えました。この記念すべき年に、所内でも何か特別な事ができないか、という話をきっかけに議論を進める中で、「そういえば、所員の中でも昔の事件を知らない人が増えたんじゃない?」という事に気付きました。

 

 次の50年に向かう為にも、ここで一度、事務所の過去を学ぶ事も大切なのではないか、という事で、“事務所の歴史を学ぶ大学習会”と称し、5・6・7月に毎月1回、3テーマずつ、過去の大きな事件に携わった先輩陣に、若手陣が質問をする、という形式で発表をして頂く機会を設けました。

 

以下、7月9日(月)に行われた各発表のご報告です。

 

 

 

【たちばな事件】

(講師:前田弁護士、聞き手:松村弁護士)

 たちばな事件とは、1976年12月の総選挙において、12月2日中区橘小学校で田中美智子衆議院議員の個人演説会が開かれることから、演説会への参加の呼びかけが行われるであろうことを予測し、警察権力が計画的に張り込み、戸別の参加呼びかけを行った4人の銀行員を尾行した挙句、公職選挙法違反で逮捕した、意図的、計画的に仕立て上げられた政治的弾圧事件です。

 

 この裁判は、公職選挙法の違憲性を世の中に訴えることが目的でした。

 

 4人の銀行員は被告でありながら、原告のような立場になり、公判は80回以上に及びました。20年もの長い年月がかかったことから、「人間の記憶は薄れていくので、当時の事実を被告や被訪問者から早いうちに聞き取ってち密に確認しておく必要があった」という前田弁護士の言葉が印象に残りました。

 

 長い年月をかけ、弁護団が公職選挙法の違憲性を訴え闘った結果、この事件以降、戸別訪問や文書規制に対する弾圧事件は起こっていないそうです。

 

 何故、戸別訪問をすることが違法になるのか疑問に思いました。アメリカやイギリスでは、市民の政治参加を促す方法として盛んに行われているようです。戸別訪問が直接、買収などの行為につながるとは思えないので、公職選挙法にとらわれず、自由に活動ができるようになってもいいのではないかと感じました。

 

 

 

【新幹線公害訴訟】

(講師:高木弁護士、聞き手:小嶋弁護士)

新幹線訴訟は、昭和49年3月に、名古屋南部7㎞の沿線住民らが原告となり、新幹線の騒音・振動の差し止めと損害賠償を求めた事件でした。

 

争点は「新幹線沿線の住民の安住と新幹線の公益性、どちらに重きを置くか。」

 

一審・二審ともに、損害賠償の一部は認められたものの、差し止めについてはいずれも棄却されました。その後、事件は最高裁へ進みましたが、最終的には昭和61年4月に和解成立が成立しました。

 

約12年もの長きにわたった新幹線訴訟ですが、恥ずかしながら私は、今回、勉強の機会を与えて頂くまで、この事件の事を全く知りませんでした。

 

話を伺って一番疑問だったのは、一審・二審と有利な判決を得ていた筈の国鉄側が何故、最高裁で争わず和解に応じたのか?という点でした。

 

これについては、他の地域でも同じような問題が生じており、国鉄側に「一定の解決をしていく必要がある」という認識があった事が大きかった、との事でした。また、国鉄が民営化されたのも、きっかけの1つとなったそうです。

 

そして現在もJRは年に一度、騒音&振動チェックを行い、原告団と協議を積み重ね、残っている課題につき話し合いを続けている、とのこと。このお話を伺い、事件を今現在まで風化させずにいる事に、感銘を受けました。

 

最後になりましたが、今回の講師をして下さった高木輝雄先生は、当事務所の創立メンバーとの事で、設立当初の第一事務所の雰囲気等も教えて頂けました。諸先輩方が繋いでくださった50年分のたすきを次の50年に繋ぐためにも、日々研鑽を積んでいこうと固く心に誓いました。

 

 

 

 

【自衛隊イラク派兵差止訴訟】

(講師:川口弁護士、聞き手:堀江弁護士)

 平成20年4月27日、名古屋高裁民事第3部(青山邦夫裁判長)において、「航空自衛隊がイラクで行っている武装した米兵の輸送活動は憲法9条1項に違反する」との画期的な違憲判決が下されました。

 

 私はこの歴史的、画期的な違憲判決がでた時には、まだ当事務所で勤務していませんでしたので、この判決についてはニュース等で知ってはいましたが、どこの事務所のどの弁護士が関わっていたのか等詳しいことまでは知りませんでした。

 

 入所後この訴訟の弁護団事務局長を担っていたのが、当事務所の川口弁護士だと知りましたが、正直どういう経緯で訴訟提起に至ったのかとか、この判決を得るまでにどういう苦労があったのか等を学ぶような機会はありませんでしたので、今回の勉強会において川口弁護士からお話しを聞ける機会を頂いたことはとても良かったと思います。

 

 私が今回の勉強会の話しの中で一番印象に残ったことは、「事実を徹底的に追求していこうという考えで訴訟を進めた」という言葉でした。地道に新聞を整理し続け書面を作り、イラクの深刻な事実にしっかりと向き合ってきたことが、原告との信頼関係を深め、また、裁判官に違憲判断を迫った最大の力だったのだということが、この言葉にすべて込められていると思いました。当事務所内に川口弁護士を応援する弁護士がいて、なおかつ積極的に関わった事務局がいたこと、また、そういう当事務所だからこそできるんだ、と原告からの信頼も厚かったからこそ継続できた訴訟であったことがよく分かりました。

 

 今後は平和活動における当事務所の役割を意識して、日々の業務に努めていきたいと思いました。

 

 

 

 

3ヶ月に渡り学んだ事務所の歴史をしっかりと糧にし、NEXT50を切り開いていきたいと、所員一同、気持ちを新たに致しました。