初めての作家さん。
インスタとかで見掛けて気になってた作品です。

ショッピングモール「スワン」で起こった無差別銃撃事件で生き残った主人公・いずみ。
同じく生き残りの小梢が、いずみは自身を守るために他の人の命を差し出したと暴露したことから、
初めは「かわいそうな被害者」だったいずみへの世間の目がガラッと変わる。
ひたすらにバレエに打ち込んでいたいずみの生活は一変し、
バレエどころか学校にも行けなくなっていた。

そんなある日、1通の招待状が届く。
それは事件で命を落とした女性の家族が謎を解明するために、
生き残った人たちを集めた「お茶会」だった。

それぞれ偽名を名乗り、主催者の代理である徳下の質問に答える参加者たち、
お互いの言動に不信を抱きつつ、重ねられるお茶会。
やがて参加者のひとりが行方不明となり、事態は大きく動き出す。


というお話。
この家族が解明したい謎については、私も読んでいて「なんで?」となっていたので知りたかったけど、
それよりも、ネット社会の怖さというか、想像力の欠如というか、
そういうものの恐ろしさに震えながら読みました。

「犯人が悪い…ではいけないの?」
「たくさん言葉を使っても、たぶん、ほんとうを伝えることはできない」

ほんとにその通りで。
もし自分がこの人たちの立場だったら自分はどうするだろう?
何ができるだろう?
いや、そもそも何かできるのかな?
その時に瞬間的に選んだことは、その人がその瞬間にベストと思って選んだり、それしか選べなかったりした訳で、
もしかしたら冷静に考えたらもっといい方法があったのかもしれないけど、
そんなことは後から考えるから、もしくはその場にいなかった人だから言えることで
その時はその選択しかなかったんだと思う。
安全な場所から、何も危険な目にあってない立場から、その人のその選択を攻撃するのはおかしいと思う。
でも現実には、そうやって攻撃する人は多いんだろうなと想像がつく。
被害者なのに、そういう意識の暴力に怯えなければならない。
ただでさえも、自分の中の疑問や後悔と闘い続けなければならないのに。

そんな世の中では、平穏に生きていけることの方が奇跡なのかもしれない。