教誨師と死刑囚のお話。
でも教誨師によって死刑囚が罪を悔い改めていくというお話ではありません。

真宗の僧侶であり教誨師でもある主人公・顕真は、
大学時代に登山サークルで一緒だった関根が
若い男女を殺した罪で死刑囚となっていることを知る。

かつて関根に命を救われた顕真にとって、
人を殺すというのはイメージが合わないものだった。

会わなかった期間に何があったのか、
なぜそんなことになってしまったのか、
それを知りたくて教誨師の立ち位置を超えて調べ始めた顕真は、
関根の冤罪を確信していく。

そんな中、死刑執行の命が下されてしまう……


というお話です。

ちょっと顕真にイラつく時もあるんだけど(笑)
いい味方や上司(門主)に恵まれたのは顕真の人徳なのかなとも思う。
ただひとつ思ったのは、
僧侶のお話ってありがたいものだったり人を導くものだったりするんだろうけど、
それは「聞きたい」「教えを請いたい」「救ってほしい」と思っている人にしか届かないよなということ。
少なくとも、心を開いているというか、求めるまでいってなくても聞く耳を持っている人にしか届かない。
なぜなら説法・説諭って、誤解を恐れずに言えば現実味がないというか。
だから、最初から聞く気がない人には届かない。
結局は僧侶としてではなく、人としての本心からの言葉が人の心をこじ開けるんだなって。

やっぱり、最後は人間、心と心だな。