「Kiramune Presents Hiroshi Kamiya Live 2016  “LIVE THEATER ” 」
日時:2016年9月3日18:00開演、9月4日16:00開演
会場:幕張メッセ イベントホール

行ってきました。
言いたい事はいろいろあったのですが、皆さんの上手な文章をうんうん頷きながら読んでたら全然自分の言葉が出てこなくなってびっくり。細かいことは、また言いたくなったら呟きます…

とりあえず、今書けることだけ。

 

一番印象的だった、2日目Wアンコールの『贅沢な時間』について。
昨年『ハレバレハート』で明るく元気に終わったので、今年もその系統だと思い込んでいました。だから出てきてすぐ「一緒に歌ってほしい」と言われた時は、そんな曲あったっけー?と、アホのようなコメントしてました。恥ずかしい。
でも曲名を言うまでに、照れ臭そうな表情で何度も「僕のわがまま」というから、はっとしました…
ファンに会う時に神谷さんが思ってくれていること。そして、ファンにも”こう思っていて欲しい”と願いを込めてくれた曲。
声に出させるなんてニクいなあ!でも泣けちゃってあまり歌えませんでした。
求めてもらえると嬉しいって去年言ったじゃん~~~~~ずるい!

神谷さんがセンターステージにいて、客電が点いて、尊い曲をみんなで歌うなんてこと、やらないと思っていたし、できないと思っていました。
神谷さんがそんな物理的にファンの声を求めてくれるなんて思わなかったから。ファンのイメージともちょっと違ったし。
だからとんでもなく温かい空間が出来上がった時は驚きました…神谷さんと神谷さんのファンがこんなに心温まる空間を作れるのか、と。
みんな神谷さんのこと大好きなんだなーってことも分かりました。
神谷さんが涙を堪えようと頭を振ってるのを見た時は、あ、ちゃんと届いてるって思ったし、新しい扉開いた!と思いました。

MCでは、あの空間をしつこいくらい「ホーム」と呼んでくれていました。それと、神谷さんが言う「正しく」に敏感になっているオタクとしては「皆さんなら正しく受け取ってくれる」と信じてくれたこともとっても嬉しかった。


そして裏方の人達にスポットライトを当てた『Theater』と『LIVE THEATER』、私が好きな神谷さんの考え方を明確に形にしてくれたと思いました。

今回のMCで感じたのは、神谷さんは言っている事が全然変わらないということ。
アニメを作るにしても舞台を作るにしても、たくさんのお仕事があってたくさんの人達の力が必要で、総合芸術なのだという話はずっと聞いてきました。
本当にその通りだと思っているので、各セクションの仕事をちゃんと尊重できる人が大好き。

初日、MCから曲に移る時にバンドに向かって「準備OKですか?」って聞いたあと、「カメラさんもOKですか?」「ケーブルさばいてる方も大丈夫ですか?」ってスタッフさん達の存在を口にした時は、ラジオ番組でスタッフさん達の名前をあえて出すのと同じワザだ!と思いました。さりげなく言っているけど分かりやすいぞ。好き。というか、こういう風に周りの人を立てるのはその場の計算じゃなくてもう癖みたいに染みついているような気がします。
バンドメンバーのことも、カッコイイと褒めながらも「えっちなおじさん達」とキャラ付けしていて同じように感じました。

裏方の人間って、私にはものすごくかっこよく見えます。
声優さんに興味を持ったのも、多分もともと裏側知りたがりマンだったから。
でも「エンタメの裏側を見せるのはご法度」という感覚もよくわかります。知りたくないと思う人の気持ちもわかるし、知るタイミングも大事。裏側を強制的に見せるのは確かに違います。 華やかなエンタメの裏側を知るか知らずにいるかは、選択肢があるといい。

そもそも裏方である声優さんの話を聞こうとすることは、十分エンタメの裏側を知ろうとする行為にあたると思います。極論かもしれませんが。
一切知りたくないという人は、声優さんのトークを聞いたりインタビューを読んだりしなければいいのです。これは自分で選択できること。
だから、本業であるお芝居とかナレーション以外のお仕事まで追っている人は、多少なりとも裏側に興味がある人、ということだと思います。そういう人達に向けてエンタメ作品の制作過程や他の作り手のことを知らせるのは全然おかしいことではないよね。裏方である声優さんに興味を持った人、裏側を知ることを選択した人には、せっかくだから他の作り手のことも知ってほしいと神谷さんは考えている、と解釈しています。自分は裏方の一部に過ぎないと伝えるのと同時に、他の裏方を知ってもらうきっかけになれたら…という感じでしょうか…
実際、私は神谷さんが関わった作品のスタッフさんや共演者さんが他に何をやってるんだろうと調べて新しいコンテンツに触れることもあって、本当に世界が広がっています。感謝。
2日目の『シアター』の前のMC、以前リーディングライブの挨拶で全く同じ話をしていたことを思い出したし、その前からもずっとこういうことを言っていたはず。本当にこの人はブレてないと思いました。

シンガーソングライターでもない、顔出しの俳優さんでもない、裏方である声優さんが掲げるテーマとして、すごくいいよね。普段スポットライトが当たらない人達の事を、実際に裏方である声優さんが語るというのは説得力が違う。
今回のアルバムは、様々なジャンルを演じる役者さんらしい曲達でもあり、エンターテインメントへの向き合い方を教えてくれる曲達でもあり、よくできているなあと思いました…(上から?)

音楽活動を始めた当初のネガティブな感情の要因はいろいろあっただろうけど、ざっくり言えば、「声優は裏方なのに」という思いが強かったのだと思います。
でも最近は「裏方の声優だから」できる活動を精力的にしているように感じます。裏方だからこそできることを今回ハッキリと形にしてくれました。
根本的な部分は全然変わっていなくて、声優という裏方の職業に変わらず誇りを持っている。それを大事にしたうえでの、アプローチの仕方が変わってきたのだと思います。

もちろん、全ての声優さんの音楽活動がこういうスタンスであるべきだというわけではありません。ここでは神谷さんらしいと思う部分を書いただけで。


技術的なことはさておき、声優さんが作るものとして今回のコンセプトは究極のような気がするので、私の中でこれを超えるものが生まれるかどうか…正直今は今後のことは考えられません。