ある日、テストが返ってきました。
Aちゃんは0点。
Bちゃんは70点。
Cちゃんは100点。
クラスの平均点は70点。
Cちゃんは「すごいね!」と褒められ、
Aちゃんは「どうしたの?大丈夫?」と心配されました。
でも――
Bちゃんには、誰も何も言いませんでした。
「平均点ね」で終わりです。
ある先生がいました。
その先生は、Aちゃんが0点を取ったとき、ショックを受けました。
「こんなに時間をかけて教えたのに、伝わってなかったんだ…」
それから先生は、放課後にAちゃんを呼び、
毎日30分、個別で教えるようになりました。
Aちゃんはサボっていたわけでも、やる気がなかったわけでもなく、
ただ本当に“わからなかった”だけでした。
少しずつ理解できるようになり、数ヶ月後――
Aちゃんは70点を取りました。
先生もAちゃんも大喜び!
クラスのみんなも拍手で「すごいね!」と褒めたたえました。
でも、その様子を見ていたBちゃんは、
なんだか胸の奥がチクリとしました。
実はBちゃんも算数が苦手。
でも毎日1時間、誰にも言わずコツコツ勉強していました。
それでもテストは70点。
「私も頑張ってるのに、誰も気づいてくれない」
そんな気持ちが、心の中で静かに膨らんでいきました。
Aちゃんは「先生が毎日教えてくれるから分かるようになったの!」と話します。
Bちゃんは思いました。
「私は毎日1時間頑張って、やっと70点。
Aちゃんは先生と一緒に1ヶ月で70点。
なんだか不公平だな…」
同じ70点なのに、Aちゃんは賞賛され、
Bちゃんは「普通」扱い。
でも、どちらの70点にも、
努力の軌跡がちゃんとあります。
この世界ではまだ、「できない人」には手が差し伸べられ、
「できる人」には「あなたは大丈夫」と放っておかれる。
けれど本当は、
“ある程度できる人”こそ、少しのサポートで100点になれるんです。
そして
Cちゃんはいつも100点。
わからないことがあると、すぐに先生に質問します。
つまり――
Cちゃんも、Aちゃん同様「助けてもらう力」を持っているのです。
Aちゃんも、Bちゃんも、Cちゃんも。
どの努力も、どの70点も、どの100点も、
みんな同じように尊く、輝いています。
🌿今日の問いかけ
あなたの周りの「Bちゃん」は誰ですか?
そして、あなたの中の「Bちゃん」に、
どんな言葉をかけてあげたいですか?