大阪の弁護士•長野智子(智聖法律事務所) -5ページ目

茨木のり子さんの生き方──『詩の心を読む』が生まれるまで

国語の教科書でおなじみの『詩の心を読む』。そこに込められた言葉の強さや透明感は、どのようにして生まれたのでしょうか。その背景には、茨木のり子さん自身の、静かで、しかし揺るぎのない人生の歩みがあります。



■ 医者の家に生まれ、「薬剤師になるべき」と言われた少女



茨木のり子さんのお父様は開業医。娘には安定した職を、と考え、「あなたは薬剤師になりなさい」と道筋を決めました。


しかし、のり子さんが本当に惹かれていたのは、数学でも化学でもなく──詩。


それでも反発せず、「最後のご奉公、親孝行」と心に決めて薬科大学へ進学し、見事資格も取得します。けれども、その後は一切薬剤の仕事には携わりませんでした。

どうしても詩を書きたい。 その思いだけが、静かに心の底で燃えていたのです。



■ 親から見ると「不適切に見える」文芸仲間たち



のり子さんは文芸仲間と集まり、詩作に打ち込みます。しかし、医家の常識から見ると、文学青年たちはどこか不安定で頼りなく映ったのでしょう。

「娘を落ち着かせたい」──そんな親心から、ある日、お見合い話が持ち上がります。



■ 見合いの席での“一目惚れ”



見合い相手だったのは、若き医師・安信さん。

その席で、驚くことに お互いが一目惚れ をしたと言います。


ふたりは25年間、とても仲睦まじく暮らしました。のり子さんの詩の背後に、安信さんという静かな支えがあったことは、よく知られています。



■ 「虎のように」泣いた日



しかし、幸せな時間は唐突に終わります。

安信さんは、がんであっけなく世を去ってしまうのです。


のり子さんはそのときのことを、

「虎のように泣いた」

と表現しています。言語化できないほどの悲しみ。それは、詩人であっても詩に変換するまで長い時間を要する痛みでした。



■ 廃人になるのではないか──友人が差し伸べた一本の糸



深い喪失感で自暴自棄になっていたのり子さんを見かね、親交のあった小学館の編集者が声をかけます。


「のり子さん、詩作について本を書いてみませんか」


仕事がなければ、精神的に立っていられないだろう──そんな気遣いから差し出された依頼でした。



■ 生きる支えとして書かれた『詩の心を読む』



のり子さんは、この提案を静かに受け入れます。

そして生まれたのが、後に国語の教科書にも掲載される名著 『詩の心を読む』 でした。


喪失から立ち上がり、再び言葉の世界に戻っていく。

その過程が、この一冊には静かに息づいています。




茨木のり子さんは、生きる道を指示されても、最後には自分の足で立ち、自分の言葉を選び取った人でした。

そして、深い喪失の暗闇の中から、なお光を見つめ続けた人でした。


彼女の詩がいまも私たちの胸に届くのは──

その言葉が、生涯のなかで何度も打ち砕かれ、それでもなお紡ぎ直された「本物」だからではないでしょうか。


北浜で出会う、究極のマリアージュ──ワインとビストロ Casa Viatta


大阪・北浜駅からほど近い路地に、通うほどに魅力が深まる小さなビストロがあります。

「Casa Viatta(カーサ・ヴィアッタ)」。

扉を開けた瞬間、温度のある光に包まれ、ふっと日常の緊張がほどける場所です。





■ 元・凄腕ソムリエの店主



この店を語る上で欠かせない存在が、店主。

国内外の一流レストランで経験を積み、ワインの世界を知り尽くした“凄腕ソムリエ”として名を馳せた人物です。


ただ知識を並べるのではなく、

「今日、一番おいしく感じられる一杯」を迷いなく導いてくれる。

ワインと人、どちらも理解しているからこそできる提案は、プロフェッショナルでありながら驚くほど柔らかです。





■ 料理を担うのは、名店で修業したシェフの奥様



Casa Viattaの魅力をもうひとつ支えるのが、キッチンを任されている奥様。

有名店で腕を磨いた実力派シェフで、素材の扱い、火入れ、味の含ませ方──どれも確かな技術に裏打ちされています。


派手さよりも「美味しさの核心」を大切にした料理は、ひと口目から静かに心をつかむもの。

皿の上に“品”があり、食べ進めるほどに余韻が広がります。





■ 二人が作り上げる、唯一無二のマリアージュ



驚くべきは、ワインと料理がまるで最初から出会うことを予定していたかのように響き合うこと。


凄腕ソムリエである店主のペアリングと、名店仕込みのシェフによる料理が、Casa Viattaの真価です。


・香りを引き立てるように構成された前菜

・ワインの余韻と調和する火入れ

・一杯ごとに表情を変えるソースや副菜


それぞれが互いを“完成させていく”ような体験は、ビストロでありながら極めて贅沢。

しかし肩ひじ張る必要はなく、どこまでも心地よい。





■ 北浜の夜に、ひとつ灯る「確かな場所」



金融街としての緊張感と、川沿いのゆるやかな空気が共存する北浜。

その街でCasa Viattaは、

「上質だが、気取らない」

という稀有なバランスを実現しています。


ワイン好きな方はもちろん、

「ペアリングを体験してみたい」「美味しいものを静かに楽しみたい」

そんな方にも、自信をもって勧められる一軒です。


北浜で、大切な夜をゆっくり味わいたいときに。

Casa Viattaはきっと、期待以上の一杯と一皿を用意してくれます。



ワインの物販も充実。一流ソムリエのご主人がこちらの好みを聞いて、自ら選んでくれます。3000円代のリーズナブルなものもすごく美味しいです。





【AO入試とは何か──“点数では測れない力”を見つける選抜方式】


近年、大学入試の多様化が進み、「AO入試(総合型選抜)」を選ぶ受験生が増えています。

AO入試は、従来の学力試験中心の入試とは大きく異なり、受験生の人物像や将来への意欲を丁寧に評価する選抜方法です。



■ 学力だけではわからない“その人らしさ”



AO入試の大きな特徴は、学力試験の点数が中心ではないという点です。

では、何を評価するのか。大学が見ているのは次の三つです。


  1. どれだけその分野を学びたいのかという意欲
  2. 大学・学部との相性(ミスマッチがないか)
  3. 高校生活で何に取り組んできたのか



実績が華々しい必要はありません。「続ける力」「自分の言葉で語れる経験」こそが価値になります。



■ AO入試が受験生にとって魅力的な理由



AO入試は、早い時期から自分の進路と向き合うことを促し、

“なぜこの大学なのか” “入学後にどのように学びたいのか”

といった問いへの答えを深めるきっかけになります。


学力試験では表現しきれない、価値観や考える力が評価される点も魅力です。

将来のイメージが明確な受験生にとっては、最も力を発揮しやすい入試方法と言えるでしょう。



■ AO入試が向いているタイプ



  • 自分の興味関心がはっきりしている
  • 文章を書くのが苦ではない
  • 面接で自分の考えを語るのが得意
  • 「大学で何を学ぶか」に明確なテーマがある



逆に、まだ進路がほとんど決まっていない場合は、一般選抜や学校推薦型選抜の方が合うこともあります。



■ まとめ



AO入試は、点数だけでなく“人としての魅力”を丁寧に見ようとする入試方式です。

高校で積み重ねてきた経験が思わぬ力を発揮することもあります。

自分の道を主体的に切り開きたい受験生にとって、AO入試は大きなチャンスとなるでしょう。