怒りの感情が自律神経を乱す——心身を守るための「怒りとの付き合い方」
大阪城の櫓門ー巨石が石垣に積まれて威容を放ちます
昨日の夜のことです。
仕事を終え、ようやく夕食の支度と片付けを済ませ、「やっと座れる」と思ったその時、ふとサニタリーを覗くと、浴室乾燥と洗濯乾燥機の中に——乾いたまま放置された衣類が山ほど。
「なんで誰も片付けないの?」
その瞬間、心の奥からふつふつと怒りの感情が湧き上がるのを感じました。
けれど、ここで一歩引いて考えました。
怒りは、瞬間的には「正義感」や「疲労の反動」に見えますが、実は最も自律神経を乱す感情のひとつです。
■ 怒りが体に及ぼす影響
怒りの感情は、交感神経を強く刺激し、心拍数や血圧を上昇させます。
呼吸は浅く速くなり、筋肉は緊張し、胃腸の働きも低下します。
これを頻繁に繰り返すと、睡眠の質が下がり、免疫力が低下し、慢性的な疲労感に繋がります。
つまり、怒りを「外に出す」ことが、必ずしも健全な発散ではないのです。
怒りをぶつけるたびに、自分の自律神経が削られていく——それを知ってから、私は怒りの扱い方を変えました。
■ 怒りの対処法:瞑想的行動で「無」に戻す
昨日の私は、ポケットからスマホを取り出し、瞑想アプリを立ち上げました。
深呼吸を数回し、「いま、ここに集中する」と心のスイッチを切り替えます。
そして、「乾いた洗濯物をたたむ」という行為を、瞑想の一環にしてみたのです。
ひとつひとつの衣類の手触りを感じながら、たたんで、カゴに収める。
頭の中の「怒り」というノイズが、少しずつ静まっていくのを感じました。
怒りを抑え込むのではなく、「観察して手放す」。
それが、心と体を守る上で最も穏やかで、かつ実践的な方法だと思います。
■ 弁護士という職業と「心のセルフマネジメント」
弁護士の仕事は、感情に巻き込まれやすい場面の連続です。
理不尽な言葉を浴びることも、思うように進まない交渉もあります。
だからこそ、自分の感情をどう扱うかが、仕事の質を左右するといっても過言ではありません。
怒りのエネルギーを「攻撃」ではなく「洞察」に変える。
その訓練を日常の小さな場面——例えば洗濯物をたたむ時間——で行うことは、
法廷や交渉の現場でも冷静さを保つための練習になっています。
■ 結びに
怒りを感じるのは、人間として自然なこと。
けれど、その感情をどう扱うかで、自分も周囲も守れるかどうかが決まります。
もし今日、あなたの中に怒りが芽生えたら、
一度深呼吸して、その場の作業を「瞑想」に変えてみてください。
怒りを鎮めるのではなく、やさしく見つめて手放す——
それだけで、自律神経は静かに整い、心が少し軽くなるはずです。
