国土利用計画〜将来の日本の国土利用をどうするか
第83回神奈川県国土利用計画審議会に出席しました。
我が国日本は2050年には、現在、人が居住している地域の約2割が無居住化するとされ、人口減少などを背景とした国土の管理水準の悪化が懸念されています。
(総務省資料)
このほか、大規模自然災害に対する脆弱性や、自然環境の悪化や生物多様性の変化、そして景観等の悪化も国土利用をめぐる課題となっています。
(国交省資料)
こうした課題を受け、令和5年7月、国土の利用に関する基本的な方向を示す第六次国土利用計画(全国計画)が閣議決定されました。
国土利用は、全国的な視野からの発想と同時に、地域レベルからの発想を踏まえることが、実効性を確保するために重要で、国土利用計画法第7条、第8条では、都道府県や市町村においても、国土利用計画を定めることができるとされています。
神奈川県の区域における国土の利用に関しても、国土利用計画法第9条の規定に基づき、国土利用計画(全国計画)を基本とし、県土利用に関する基本的事項の全体像を示す計画として神奈川県土地利用基本計画を定めています。
【国土利用をめぐる課題とは?】
国土利用をめぐる課題にはどんなものがあるのでしょうか。
まずは、人口減少・高齢化等を背景とした国土の管理水準の悪化と地域社会の衰退が挙げられます。ちょっと考えてみると、人口が減少しても国土は減らないため、一人当たり管理面積がどんどん上がっていくと捉えれば容易に、管理水準の悪化を想像することができるでしょう。すでに中心市街地の空洞化が進行しており、所有者不明土地等の低未利用地や空き家等が増加しています。また、担い手減少による農地等の管理水準の低下や荒廃農地の増加も懸念されています。
また、大規模自然災害に対する脆弱性の解消と危機への対応も大きな課題です。つい最近も台風10号の猛威がありましたが、気候変動の影響により、風水害が激甚化しており頻発化しています。同様に、巨大地震や津波による広域にわたる甚大な被害が発生する可能性も懸念されています。
そして、自然環境や景観等の悪化と新たな目標実現に向けた対応にも注目する必要があります。良好な自然環境の喪失・劣化が目立ちますし、生物多様性の損失に関するニュースも流れています。そんな中で2050年カーボンニュートラルや30by30目標といった国際公約の実現に向けた取り組みが重要視されています。
そこで、国土利用計画は持続可能で自然と共生した国土利用・管理の実現に向けて、次のような基本方針を掲げています。
- 基本方針① 地域全体の利益を実現する最適な国土利用・管理
- 基本方針② 土地本来の災害リスクを踏まえた賢い国土利用・管理
- 基本方針③ 健全な生態系の確保によりつながる国土利用・管理
- 基本方針④ 国土利用・管理DX
- 基本方針⑤ 多様な主体の参加と官民連携による国土利用・管理
第六次国土利用計画のこうした基本方針を踏まえて、本県は令和7年3月を目処に神奈川県土地利用基本計画改訂を目指しています。
国の方針を踏まえて、より良い県土利用の方向性となるよう各方面からのチェックが欠かせません。