ツイッターを見ていたら、
ある図書館司書のつぶやきが流れてきた。
どうやら、
両手がふさがっていたり、
本が重そうな図書館利用者の手伝いをしたり
手の震えでうまく書けないご老人の、代筆をしたのを
上司に見咎められ、反省文の提出を求められたらしい。
けっこうな数のコメントがついていたので
その時点の、すべてのコメントに目を通してみた。
賛成・共感が8割、冷静な意見が2割
そんな割合だったかな。
なるほどねー、と思いながら読みつつ
何年か前の出来事を思い出した。
ある講座を受けに行っていたとき、
講座後の飲み会でのことだ。
その場にいた近場の数人で
仕事の話（グチとか）をし始めたのだが、
私の前に座っていた女性が
以前の職場のことを話し出した。
彼女の前職はホテルウーマン。
お客様に対して、細やかな気配りをして
日々、おもてなしを心がけていたそうだ。
ある日、彼女は当時のマネージャーに呼ばれ
「お前を表から外す」
「他の従業員は、お前のようには仕事はできないよ」
と、告げられ、
その言葉どおり、彼女は裏方に回された、と
当時のことを思い出して悔しそうに
泣きながら話してくれた。
お客様を大事に思い、
自分の仕事に誇りを持ち、
勤め先であるホテルを愛していたからこそ
自分にできることを、
できる限りしていたんだろう。
だからこそ、彼女はマネージャーに対し
わかってもらえなかった悔しさ、悲しさが
その時までずっとくすぶっていたんだろう。
私は彼女に敢えて言ってみたんだ。
「マネージャーはさ、あなたを守ったんだよ」
どういうことか？と、彼女も含め、その場にいる
飲み会参加者が私の顔を見た。
「あなたはホテルのエースだったんだろうね。
だけれど、エースと同じことを、他の従業員も
同じようにできるわけじゃない。
能力にはどうしたって差がある」
「お客様が、いつでもあなたのサービスを
受けられるわけじゃない。
他の従業員が対応したとき、
『彼女はこうしてくれたわよ』と
言われてしまったら？」
「その従業員は恥をかいてしまうし
お客様に、がっかりさせてしまう」
「ではあなたが普通にこなせる事を、
マニュアル化したとして
やっぱりそれでも、全員ができるとは限らない。
マニュアルってのは、
上に合わせて作るものじゃない、
下の方に合わせて作るんだ」
「均一化したサービスの質を保つには、
ある程度のレベルで留めておく必要がある。
あまりに出来すぎる人間は、
他の者から疎まれてしまう」
「そして、人というものは
サービスを受け続ければ
ソレを当たり前だと思う生き物だ。
なくなれば、権利だなんだと叫びだす」
「それを見越したマネージャーが
敢えて自身を悪者にしてでも、
あなたを裏方に回すことで
あなたが叩かれるのを守った」
「エースが潰されるのを防ぐために」
「…まあ、これは私の勝手な視点だけどさ」
私は、そのマネージャーを知らない。
会ったこともない。
だけれど、マネジメントの観点で考えたら
サービスの質を守る事、社員を守る事、
お客様の満足度を上げる事、
この3つを達成させるための方法は
今回私が推測したような事になるのでは
ないだろうかと至ったんだ。
で、当の彼女の現職は？というと
自営で、アロマテラピーとマッサージを
しているそうだ。
お客様に喜んでいただくのが大好き、
人と接するのが大好き、
そういう女性だからこそ、
元同僚からしたら過剰サービスとも思えるような
もてなしになったんだろうね。
※3つとも押してもらえると嬉しい※
