『落下の解剖学』 Anatomie d'une chute

 

を試写会にて1月30日に鑑賞した。

 

とっくに破綻しきってる作家同士の夫婦。

夫が疑惑の死に至ったことで妻に嫌疑がかかる法廷劇。

国際結婚、クィア、息子の視覚障がい。

複雑な問題が随所に散りばめられた物語。

 

この作品はカンヌのパルムドールを受賞している作品で、

映画好きは絶賛の様子だったから、楽しみに鑑賞。

 

・・・だけど、初めてかもしれない。パルムドール作品でこんなに・・・

Not for me だなんて。

 

152分という作品時間があまりに長くて、わたしには耐えられなかった。

 

描きたい細やかな要素や、

この夫婦が抱えている問題の切実さはよく分かる。

 

作家同士の夫婦で、しかも国際結婚。

今は夫の故郷であるフランスの山奥に住んではいるけれども、

二人の会話は英語。夫は、フランス語を話さない妻に対して文句を言うが、妻だって英語が母国語ではないドイツ人。

 

息子が事故によって視覚障がいを負ったことで、

もう作品が書けなくなったという夫。ベストセラー作家の妻。

妻はクィアな人物で、女性とも不倫をする。

 

こんなわがままな夫婦が抱えるには、

息子の視覚障がいという困難は、あまりに重い。

大人同士の二人の関係すら乗りこなせない二人には、もう到底無理な重さだった。

だって特別に?あるいは当たり前に?自分のことで手一杯な二人なんだよ。

 

わたしはこの作品に辟易としてしまったが、

一緒に鑑賞した妹は気に入っていて、誰の視点で物語を観るかが大事みたい。

 

息子と犬の視点で観るのが大事なんだと、丁寧に教えてもらった。

ここでは詳細を語らないけど。

息子こそが主人公みたい。

 

 

 

抑制の効いた繊細な物語で、誰の視点で作品を見るかで評価が変わるみたい。