時には昔の話を

作詞作曲:加藤 登紀子



時には昔の話をしようか
通いなれたなじみのあの店
マロニエの並木が窓辺に見えてた
コーヒーを一杯で一日


見えない明日をむやみにさがして
誰もが希望をたくした

揺れていた時代の熱い風に吹かれて
体中で瞬間を感じた
そうだね

道端で眠ったこともあったね
どこにも行けないみんなで
お金はなくてもなんとか生きてた
貧しさが明日を運んだ


小さな下宿屋に幾人も押しかけ
朝まで騒いで眠った

嵐のように毎日が燃えていた
息がきれるまで走った
そうだね

一枚残った写真をご覧よ
髭面の男は君だね
どこにいるのか今ではわからない
友達もいく人かいるけど


あの日の全てが空しいものだと
それは誰にも言えない

今でも同じように見果てぬ夢を描いて
走り続けているよね
どこかで



【補足】

1987年に発表され、スタジオジブリ作品『紅の豚』のエンディングテーマとして採用された曲。

昔のことや仲間のことを思い返している歌詞が郷愁を誘います。


『紅の豚』自体がスタジオジブリ作品の中で1番好きなんですが、音楽もとても魅力的なんです。



時には昔の話を/加藤登紀子



カバー画像:PHOTO AC